
2012年1月20日(金)つくばカピオ別棟「カフェベルガ」(茨城県つくば市)にて、第31回産総研サイエンスカフェを開催しました。
今回テーマは、「もっと使おう地熱エネルギー!〜資源大国ニッポン 地熱利用の可能性〜」、話題提供者は地圏資源環境研究部門 地熱資源研究グループ 安川香澄主任研究員です。また、テーブル担当として同研究部門 内田洋平主任研究員と柳澤教雄主任研究員にもご参加いただき、寒い冬にふさわしい“熱い”テーマをご用意いたしました。
現在、エネルギーについては、価格高騰や枯渇問題、自然への影響から再生可能エネルギーの有効利用が注目を集めています。その再生可能エネルギーの中でも、日本のような火山国において大きな可能性を秘めていると言われているのが「地熱発電」です。そんな今注目の地熱発電について、安川さんにわかりやすくお話をしてもらいました。
また今回はサブテーマが「地熱利用の可能性」ということで、地中の「熱」を利用して室内の温度を調節する「地中熱利用」についても紹介してもらいました。
前半は、地熱発電の特長についてです。
地熱発電とは、文字通り「地熱」を利用した発電で、火山近くの高温地域の地下にある自然の水蒸気の圧力を利用して発電します。地熱発電の燃料は天然の水蒸気なので、火力発電などに比べて二酸化炭素の排出量が少ない「環境に優しい」クリーンエネルギーです。
次に、「発電量が安定」しています。再生可能エネルギーの中で普及している太陽光発電や風力発電と異なり、天候や昼夜、季節を問わずに発電が可能です。そのため需要に対し、安定的な電力供給が可能です。
日本には地熱資源が多く、地熱資源量は火山数とほぼ比例するそうです。つまり日本は世界でも屈指の地熱発電の可能性を秘めた国と言えるのです。
しかし、こうした利点がある中で、日本ではなぜ地熱発電開発が進まなかったのでしょうか?(国内の電力供給量のわずか0.2%しかないそうです。)安川さんからは、「初期投資の費用が高い」「資源のほとんどが国立公園内にあり開発が不可能である」「地元温泉業者の理解が得られなかった」と、幾つかの理由が挙げられました。
そして、こうした弊害を乗り越える可能性を持つ画期的な技術として、「人工地熱システム(EGS:Enhanced Geothermal System)」について紹介してもらいました。
これは、自然条件(いわば偶然の産物)でできる地熱発電の条件を人工で揃えてしまおうというものです。これは、「(上記の)地熱発電開発の今までの問題点を乗り越えるだけでなく、他のエネルギー源が持つ国際的な問題、外交上の問題が少ないのです。」と安川さんは言います。
現在は技術的に難しい点もあるそうですが、実際に使用している国もあるとのことです。これができれば地熱発電がもっと普及するとのことで今後の研究への期待が膨らみます。

後半では、熱を有効に利用する例として、東京スカイツリーにも使われているという「地中熱利用システム」を紹介してくれました。このシステムを利用することにより東京スカイツリーでは40%の省エネ効果が期待できるそうです。
地中の熱は年間を通してほぼ一定で、夏は外気より冷たく、冬は外気より暖かいのです。「地中熱利用システム」とは、これを冷暖房として利用し、室内の温度を調整しようとするものです。これは外気の温度を取り込んで温度を調節するエアコンよりも使用電力を大幅に減らすことができそうです。実際に一戸建てで利用している例や、スウェーデンにおける集団利用の紹介がありました。


今回のサイエンスカフェでは、ディスカッションの時間を多く設け、テーブル毎に意見を交わすことを重視しました。「地熱発電の開発費を電気料金に上乗せするとしたら幾らまで許せる?」「もっと地熱発電を普及させるには?」など、幾つかの話題について話し合っていただいたところ、「被災地をモデル地域として推進していってはどうか?」「個人ではなく、公共の投資で進めてほしい。」「日本では共同で一つの施設を利用するという習慣があまりないのでは。」など、次々と意見が出ました。
それぞれのテーブルで今回のテーマに相応しい“熱”を帯びた活発な議論が行われ、中にはサイエンスカフェ終了後もテーブルで議論を行っている姿が見られるなど、参加者の方々の関心の高さが窺えました。
次回の「産総研サイエンスカフェ」は、3月9日(金)にカフェベルガで開催されます。テーマは「温泉地でIT技術!? 〜サービス工学を使った街づくり〜」です。興味がある方は是非ご参加ください!
| 日時 | 2012年1月20日 金曜日 18時30分 〜 20時00分 (終了後、30分程度フリーで話題提供者とお話いただく時間をご用意しています。) |
|---|---|
| 会場 | カフェ・ベルガ 〒305-0032 つくば市竹園1-10-1(つくばカピオ別棟) ※駐車場は、周辺の有料駐車場をご利用ください。 |
| 主催 | 産業技術総合研究所 広報部 |
| 定員 | 30名 ※要予約 |
| 参加費 | 無料(ドリンク・菓子付き) |
| 申込方法 | 参加申込につきましては、お申込フォーム、Eメール、電話でお願いいたします。
[1]サイエンスカフェ専用お申し込みフォーム [2]Eメール:必要事項を記入の上、事務局宛に送信 [3]電話:必要事項をお伝えください |
| 問い合わせ先 | 産業技術総合研究所 広報部 産総研サイエンスカフェ事務局 〒305-8568 つくば市梅園1-1-1 中央第2 つくば本部・情報技術共同研究棟8F 電話:029-862-6211 Eメール: ※「産総研サイエンスカフェ」では、お子様のご参加はご遠慮いただいております。 ※「ラヂオつくば」の番組制作に協力するため、会場で録音させていただく場合があります。 ※「産総研サイエンスカフェ」を紹介する目的で、Web等で動画公開するためのビデオ撮影を行うことがあります。 |
| 産総研サイエンスカフェのページ(開催報告などを掲載) | |