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2007年3月25日に発生した能登半島地震の震源域を中心とする海域において、同年7月に高分解能マルチチャンネル音波探査を実施しました。調査海域は従来から断層の存在が報告されていた場所でしたが、ほぼ同じ場所で長さ21 km以上の活断層を確認しました。断層は約2万年前に形成された最終氷期浸食面とそれを覆う堆積物に変位を与え、その変位量は下位に向かって大きくなります(図1)。最終氷期浸食面の変位量は最大で約6 mあります。断層は海岸から西方約10 km地点でステップ状に折れ曲がっており、その地点より東部が2007年能登半島地震の震源域に相当すると推定されます。その断層の直上の海底面には、部分的に断層直上に傾斜の変化が認められ、断層の南東側が数10 cm隆起するような地殻変動が海底で生じたと考えられます。このような海底の傾斜の変化は、1988年に産総研(当時の工業技術院地質調査所)が行った調査では認められないことから、2007年能登半島地震で海底に生じたものと考えられます(図1)。今回の調査で用いた音波探査装置は、これまでに使用されてきた音波探査装置に比べ高分解能で、最近約2万年間の地層中に断層運動による累積的な変形がみられ、過去約2万年間に4回程度活動していることが明らかになりました。さらに、陸側にも最近約2万年間の地層をも最大約5 m変位させる断層の存在が明らかになりました。この調査により、これまではっきりしなかった沿岸部の活断層の分布や形状および活動履歴を明らかにすることができました。
この調査に使用した装置は、産総研が民間企業と共同で開発した高分解能マルチチャンネル音波探査装置です(図2)。海岸に近い沿岸域は大型船が入ることが困難であり、調査は小型船によって行われます。そのため音波探査装置は小型で簡易なものに限定され、従来は地質構造のイメージングは海底下浅部に限られていました。この装置の特徴は、反射信号が弱い深部からの反射波でも高い信号対雑音比を得るため、反射信号の受信部を従来の1チャンネルから12チャンネルとしたこと、横方向への地層イメージング高分解能化のために各チャンネル間隔を2.5 mと狭くしたことです。受信ケーブルの全長は約60 mであり、受信装置・音源装置とも小型のため漁船を用いて少人数での調査が可能です。これまで以上の多種類のデジタル信号処理が可能となり、高い信号対雑音比の反射信号が得られるため、海底下150 m以上までの高品質な地層イメージングと地質構造断面が得られます。さらに、横方向と深度方向への高分解能化によって、断層活動で生じた堆積層の変位・変形の読みとり精度が2 m程度まで向上したことから他の海域活断層の活動度評価への適用が期待されます。
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図1 断層周辺における1988年の記録断面(左)と2007年能登半島地震後の記録(高分解能マルチチャンネル音波探査装置記録:右)の比較
今回用いた高分解能マルチチャンネル音波探査装置によって高分解能・高品質の記録が得られる。また地震発生前後で比較すると発生後に断層直上の海底に部分的な傾斜の変化が認められる。 |
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図2 新開発の音波探査装置の模式図
(A)沿岸域高分解能マルチチャンネル音波探査概念図
(B)受信ケーブルのマルチチャンネル化による反射信号の重合処理とS/N比向上の概念図 |
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地質情報研究部門 村上 文敏、井上 卓彦
活断層研究センター 岡村 行信
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