産総研は憲章に「社会の中で、社会のために」と掲げ、持続発展可能な社会の実現に向けた研究開発をはじめ、社会的な取り組みを行っています。 |
重要文化財「メートル原器」の公開
今年、産総研が所有するメートル原器ならびに関係原器が重要文化財に指定されました。長さの単位「メートル」の定義は、1889年から1960年まで国際メートル原器に基づいていました。日本のメートル原器は、国際メートル原器と同時に作られた原器30本のうちの1本で、日本がメートル条約に加盟した際に注文され、1890年に日本に到着しました。当時、実用的には尺も広く用いられていたため、後にメートル副原器とともに尺原器なども国際度量衡局に製作を依頼しています。これらは、それまでのわが国の複雑かつ多様な度量衡制度を国際的な基準に準拠する体系的なものとした原器であり、日本の近代における度量衡の原点に位置する資料として歴史上および学術上の価値が認められ、重要文化財の指定に至りました。
産総研初の重要文化財として、2012年7月21日の産総研つくばセンター一般公開においてメートル原器および関係原器を展示しました。メートル条約締結の背景や「メートル」の定義の変遷、メートル原器の材料や形状、長さを示す目盛線などについて研究者が解説し、多くの方々に本物がもつ魅力に触れていただきました。「サイエンス・スクエアつくば」では、メートル原器の精巧なレプリカを常設展示していますので、ぜひご覧下さい。
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一般公開で展示されたメートル原器ならびに関係原器 |
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一般公開での展示の様子 |
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ドイツ・フラウンホーファー研究機構と包括研究協力覚書を締結およびフランス・ハイレベルフォーラムへの参加
2012年7月6日に、産総研は野間口理事長の訪独に際し、シュトゥットガルト市において、フラウンホーファー研究機構と包括研究協力覚書(以下、「包括覚書」)を締結するとともに、開催されたラウンドテーブルに参加しました。続いて、野間口理事長は訪仏し、9日および10日、グルノーブル市において開催されたフランス原子力庁主催のハイレベルフォーラムに、市原つくば市長を含む後述する皆様とともに参加しました。
産総研は、18カ国・地域の34機関の研究機関と包括覚書を締結しており、このたび、野間口理事長は、ヘルムホルツ協会、ユーリッヒ研究センター、カールスルーエ技術研究所に続いて、ドイツでは4機関目(全世界35機関目)となるフラウンホーファー研究機構との包括覚書にブリンガー理事長とともに署名しました。フランホーファー研究機構とは人材交流、連携ワークショップの開催、共同研究の実施などの連携が進んでおり、包括覚書締結を機に、今後の研究連携が一層促進されるものと期待されます。また、ラウンドテーブル・ディスカッションでは、ナノカーボン材料のリスクアセスメントなどに関して有意義な意見交換を行いました。
グルノーブル市で開催されたハイレベルフォーラムは、世界中の産学官連携拠点の代表者を集めて、イノベーション推進に関する意見交換を行うことが目的であり、11カ国・地域から参加する中、日本からは野間口理事長のほか、市原つくば市長、潮田物質・材料研究機構理事長、米倉筑波大学副学長、瀬戸産総研理事が参加しました。フォーラムではイノベーション拠点の成立経緯、現在の活動状況、今後の展開などについて、4つのラウンドテーブル・ディスカッションが行われ、各地の産学官連携拠点の状況の報告が行われました。
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ブリンガー理事長(左)と 野間口理事長(右) |
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ハイレベルフォーラムにて
左から、在京フランス大使館イルジック氏、瀬戸理事、野間口理事長、フォーラム事務局員 |
「日本を元気にする産業技術会議」主催イベントの開催報告
2012年6月8日に、日経カンファレンスルームにて、シンポジウム「再生可能エネルギーとしての地中熱活用に向けた将来展望」を開催し、産学官の各界から195名の参加がありました。シンポジウムでは、東京大学 生産技術研究所 大岡教授の基調講演および企業、NPO法人、産総研の計4名による講演が行われました。続いて、講演者によるパネルディスカッションが行われ、地中熱の事業化の展望ならびに事業化に向けた企業・技術者の育成について、議論されました。
また、7月9日には、産総研臨海副都心センターにて、インテレクチャルカフェ「IT社会インフラの未来像〜生活者主導で公共情報サービスを構築するために〜」を開催し、産学官の各界から107名の参加がありました。インテレクチャルカフェでは、企業、大学、自治体、産総研の計5名による講演が行われました。続いて、講演者によるパネルディスカッションが行われ、利用者主導で大規模情報システムや、公共サービスを持続可能にするための方法論・基盤技術について討論されました。
「日本を元気にする産業技術会議」に関するお問い合わせや、活動内容、各種行事の詳細については下記の連絡先、URLをご参照ください。
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会場の様子(シンポジウム) |
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パネルディスカッションの様子(インテレクチャルカフェ) |
牧野聖修経済産業副大臣 つくばセンター訪問
2012年6月11日、牧野聖修経済産業副大臣がつくばセンター苅間サイトの生活支援ロボット安全検証センターを訪問されました。一村副理事長による歓迎のあいさつに続き、知能システム研究部門の比留川研究部門長から「NEDO生活支援ロボット実用化プロジェクト」についての説明がありました。その後、牧野副大臣は試験ロボットや衝突安全試験の様子を見学され、ロボットの安全に関する試験認証事業に向けた取り組みについて説明を受けられました。
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試験ロボットをご覧になる牧野副大臣(中央) |
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衝突安全試験をご見学される牧野副大臣(中央) |
中根康浩経済産業大臣政務官 つくばセンター訪問
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人工的に合成したメタンハイドレートをご覧になる中根政務官(右端) |
2012年7月13日、中根康浩経済産業大臣政務官が研究現場ご視察のため、産総研つくばセンターを訪問されました。一村副理事長から歓迎のあいさつ、脇本理事による産総研概要説明に続き、メタンハイドレート研究センターの成田研究センター長からは、同研究センターにおけるメタンハイドレート資源開発研究について、先進パワーエレクトロニクス研究センターの奥村研究センター長からは炭化ケイ素(SiC)半導体パワーデバイスについて、それぞれ研究内容・現場の紹介がありました。これらを通して、グリーン・イノベーションを推進する研究開発や企業・大学と連携した研究開発に関する活発な意見交換が行われ、最先端のエネルギー開発や省エネルギーの研究成果を社会へつなげる産総研の取り組みについて理解を深めていただきました。
ベルギーIMECの総裁来訪
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講演の様子(スクリーン前が、Luc van den Hove総裁 兼 CEO) |
2012年6月13日、IMEC(Interuniversity Microelectronics Center)の総裁兼 CEO であるLuc van den Hove氏がつくばセンターを訪問され、野間口理事長および金山理事と会談するとともに、「IMEC の最新の状況と将来」について講演されました。
産総研は、2010年11月にIMECと包括研究協力覚書(MOU)を締結しており、ナノテクノロジー、エレクトロニクスなどの分野における共同研究や人材交流などを通じて協力関係を深めています。
総裁より、会談および講演をとおして、IMECには73カ国からの研究者が集まっており、研究者・研究機関の国籍に関して中立の組織であること、IMECが標準関係で欧州において中心的な役割を果たす研究機関であること、さらに、今後IMEC 日本代表部の機能を拡充することなど、IMEC概要説明がありました。
続いて、地球温暖化、高齢化社会、都市化などの現代の諸問題に関して、IMECの中心技術となる情報通信技術、健康管理技術、エネルギー技術の活用などの説明があり、講演に参加した産総研の研究者との意見交換も行われました。
駐日南アフリカ共和国大使 つくばセンター訪問
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左から、ペコ駐日南ア大使、野間口理事長 |
2012年3月に駐日南アフリカ共和国大使に就任されたモハウ・ペコ氏がセシル・マソカ公使とともに、2012年6月29日つくばセンターを訪問され、野間口理事長および瀬戸理事と会談されました。
産総研は、同国の地質調査所と 独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構との3者による包括研究協力覚書を締結しており、レアアースなどの共同探査およびクリーンコール関連研究において研究者・学生間の交流も行っております。
会談では、ペコ大使より、クリーンコールテクノロジー分野における研究者の交流および連携の促進およびその他の分野の優秀な研究者・ポスドク・大学院博士課程学生らの受け入れを求められました。
また、両者は来年2月にワークショップを開催することで合意し、クリーンコールテクノロジーや水素関連技術などと並んで、イノベーション推進メカニズムについても議論する方向で調整することになりました。
世界的な太陽エネルギー研究機関3者が研究協力覚書を締結
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覚書締結式の様子 |
産総研太陽光発電工学研究センターは、米国国立再生可能エネルギー研究所およびドイツフラウンホーファー研究機構 太陽エネルギーシステム研究所とともに、2012年7月10日、米国・サンフランシスコにおいて3者研究協力覚書に調印しました。
3者はこれまでも個別に協力関係を構築してきましたが、ともに類似の研究計画と目標をもっていることから、このたび、3者間で研究協力覚書を結び、さらなる連携の強化を推進することで合意しました。この覚書の締結により、3者間でこれまでよりも萌芽(ほうが)的・基盤的な領域での研究協力が促進され、共通の目標に向かって研究を加速的に進展させることが期待されます。
この締結により、研究者の相互派遣などを行い、太陽エネルギー利用技術の開発において主導的な役割を果たしている3者の連携の強化を図るとともに、近年の太陽光発電の急速かつ世界的な低価格化と普及に対応するための研究をより一層推進していきます。
産総研 一般公開
今年も全国各地の産総研で「一般公開」を開催しています。今回は、つくばセンター(7月21日)での体験コーナー、展示コーナーなどを報告いたします。
第6回AIST−VASTワークショップ
2012年6月18〜19日の2日間、ハノイにて、産総研と包括研究協力覚書(MOU)を締結しているベトナム科学技術院(VAST)との第6回ワークショップが開催されました。産総研からは、瀬戸理事ほか、環境・エネルギー、ライフサイエンス、情報通信・エレクトロニクス、地質の各分野の研究者など12名が参加し、VASTからは、ミン院長、ハイ副院長をはじめ、15の研究所から所長らが参加し、総参加人数は100余名となりました。
ワークショップでは、2004年のMOU締結以降の環境・エネルギー、バイオマス、ジオグリッド、情報技術などを中心とした連携協力について情報交換が行われました。また、NEDO予算による排水処理技術、科振費予算による宇宙関連技術などが両機関によって実施されている中、ベトナムの宇宙観測分野でVASTが大きな役割を果たしていることもあり、産総研のジオグリッド関連部門との連携、および両機関で重要視している水分野における連携などを今後推進していくことが確認されました。
また、ベトナムはハノイ市西部に建設しているホアラック・ハイテクパークをベトナムにおける研究学園都市として構想していることから、つくば研究学園都市についての情報交換、さらにVASTが高い関心をもつ宇宙衛星データの活用やマリンバイオ研究についても、活発な意見交換が行われました。
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VASTの玄関にて |
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ミン院長(左)と瀬戸理事(右) |
半導体生産ラインの課題解決に向けた現場計測技術の研究開発
生産計測技術研究センター プラズマ計測チーム 笠嶋 悠司(かさじま ゆうじ)(九州センター)
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実験室(オープンイノベーションスペース)にて |
生産計測技術研究センターは、生産効率の向上や社会の安全確保などに資する新たな計測技術を生産現場へ適時・迅速に提供するための研究を行っています。プラズマ計測チームでは、材料メーカー、装置メーカー、計測機器メーカーなどの川上企業との共同研究を通して、川下の半導体企業の生産ラインで生産効率や製造品質を低下させているプラズマエッチング装置の共通課題の解決に取り組んでいます。川上企業と共同して実用的なソリューションを提供することを目的とし、主としてオープンイノベーションスペースに設置した量産用プラズマエッチング装置を用いて研究を進めています。
笠嶋さんからひとこと
使用しているプラズマエッチング装置は量産機で、実際の生産ラインにおける量産条件を再現できる装置です。わたしたちは生産現場を支える川上企業と共同して実用的なソリューションを提供することを目指していますので、現場が抱えるさまざまな問題に対して、あえて量産機による「その場」計測技術を研究しています。実験室に居ながらも、実際の生産ラインでの課題を再現させることが、開発した計測技術の適時・迅速な提供につながると考えています。
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