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水や石油のより正確な流量測定を目指して

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JIS B7552「液体用流量計の校正方法及び試験方法」


JIS B7552の生い立ち

 流量は温度、圧力と共にプラント計測の三大パラメーターと呼ばれており、大変重要な測定量です。特に水や石油などの液体の流量計測は、プラント計測以外でも燃料や上水の取引、酒税・石油諸税の徴税などさまざまな場面で欠かせないものです。JIS B 7552は流量計メーカーやユーザーが液体用流量計の測定値を管理する方法を明確にするための規格として、1982年に「液体用流量計−器差試験方法」という標題で制定されました。そして、近年増大する計量トレーサビリティーの要求や計量法校正事業者登録制度(JCSS)の普及に対応するため、産総研と日本計量機器工業連合会の協力のもと2011年5月に大幅改正が行われました。

改正の要点

 今回の改正では旧規格で取り扱われていた「器差試験」に加えて、液体用流量計の校正方法を新たに規定しました。「校正」とは、より正確な標準と比較して流量計の補正値などを求めることで、校正によって計量トレーサビリティーを確立するためには、国家標準につながる標準を使用することに加えて、校正結果の不確かさを求める必要があります。改正後のJIS B7552では、規格が適用できる条件を明示し、その条件の中でなるべくシンプルな不確かさの計算が規定されています。これにより、煩雑になりがちな不確かさの計算が簡略になり、規格の利用者の負担が軽減されています。また、実践的な校正の例が解説に掲載されており、初めての利用者の理解を助けています。

 校正に用いる標準器はJCSS事業者によって校正された標準流量計であることが原則であり、標準流量計および被試験流量計からの出力値を比較して校正します。これは一般にマスターメーター法と呼ばれる方法で、図1に概略を示します。

図1
図1 標準流量計による校正の概略図

改正の効果

 このJISに新しく採り入れられた流量計の校正方法は、図2のようにJCSSと現場を橋渡しする役目があるので、JCSSおよび計量トレーサビリティーのより一層の普及を通じて、わが国で生産された流量計の国際競争力の向上が期待できます。

図2
図2 この規格とJCSS制度との関係

寺尾 吉哉の写真

寺尾 吉哉 てらお よしや
寺尾連絡先
計測標準研究部門
流量計測科
研究科長
(つくばセンター)

1983年旧工業技術院計量研究所入所。博士(工学)。専門は機械工学。標準渦流量計の開発、水の流量標準の開発、微風速標準の開発などに従事してきました。計測標準研究部門流量計測科流量標準研究室室長などを経て2010年4月より現職。現在はアジア太平洋計量計画(APMP)流量技術委員会(TCFF)の主査にも就任しています。


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