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シリーズ:進化し続ける産総研のコーディネーション活動(第31回)
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イノベーションの基(もと) −産学・地域連携、異分野連携−


産学官連携推進部 産学・地域連携室長、イノベーションコーディネータ 尾崎 浩一(おざき こういち)

イノベーションコーディネータへの道

 筑波移転直後の旧機械技術研究所に入所し、軸受・シールなどの機械要素、エネルギー機械、マイクロマシンの分野の研究に従事しました。独法化後、旧ものづくり先端技術センター、旧デジタルものづくり研究センター、先進製造プロセス研究部門にて、中小製造業の技能や高度な技術を集積しインターネットに公開する「加工技術データベース」の構築と普及に参加しました[1]。2011年9月イノベーションコーディネータとなり、2012年4月から産学・地域連携室が本務となっています。研究者としてものづくり中小企業の技能継承や競争力強化にかかわった経験を活かしていきたいと考えています。

ものづくり中小企業の技術力と産総研の支援

 「加工技術データベース」の構築に当たっては、産総研内だけでなく公設研や企業で長年にわたり加工の実施や研究に従事してきた多くの方々にご協力をいただきました。また、ものづくり中小企業における多くの高い技術力に接することができました。これらは日々直面する現場ニーズを解決するための不断の努力とその成果の蓄積によるものです。一方、これまでの市場が縮小しつつある日本の製造業においては、高度な技術力だけでは不足で、それをコアとして新分野に進出していく研究開発型企業として生き残りを賭けることが必須となっています。産総研の技術シーズを提供するとともに、中小製造業の高度なものづくり技術によって産総研の技術シーズを実用化するという、中小製造業と産総研の相互補完的な連携は、イノベーションの基(もと)として極めて重要であると考えます。

産学・地域連携室の活動

 産学・地域連携室は共同研究や技術相談などを通した中小企業の技術向上を支援する活動、ならびに公設研と産総研との協力体制である産業技術連携推進会議(産技連)の事務局的機能を含めた地域産業の活性化を支援する活動を行っています。特に中小企業の技術向上支援においては、産総研OBなど各分野のベテランからなる産業技術指導員が技術相談や地域の企業を訪問して企業ニーズの収集を行い、産総研の先端技術を解説しながら普及、共同研究のコーディネートや公的研究資金獲得を支援する活動を行っています(写真)。また中小企業が本格的な研究開発を行うために公的資金の獲得を目指す前段階において、産総研のシーズ、設備、ノウハウを活用して提案準備を支援する「中小企業共同研究スタートアップ事業」など、産学・地域連携室としての事業を行っています。

これからの連携

 例えば「新機能材料開発⇔特殊加工実現⇔新機能デバイス開発⇔新システム実現」など、それぞれの分野で高度な技術をもつ企業が縦に連携して、これまでにない、他の追随を許さない技術の実用化を図ること、これがイノベーションにつながる道であると考えます。産総研の特徴は広い分野で多くの研究者を抱える多様性にあります。産総研内における異分野研究者の連携を核とし、企業における異業種の連携を先導することがイノベーションの基であり、幅広い知見と人脈を活かして異分野の連携を具体的にマッチングするイノベーションコーディネータや産業技術指導員の役割は大変重要であると考えます。

産業技術指導員会議の風景写真
産業技術指導員会議の風景
活動報告と専門分野を超えた情報交換、相互助言のために定期的に開催している。右側手前が筆者。

参考文献

[1] 尾崎 浩一:産総研 TODAY, 11(5), 6-7 (2011).

このページの記事に関する問い合わせ:イノベーション推進本部 https://www.aist.go.jp/aist_j/collab/inquiry/inquiry_coordinator.html

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