数値化の必要性
金めっきはプリント基板やコネクターなど多くの電子部材に使用されていますが、金めっきのムラ、シミ、変色などの外観異常については、目視によって検査が行われているのが現状です。このため、検査者ごとの検査結果のバラツキや製造者側とユーザー側の基準のずれなどが生じ、製品品質に関するトラブルや過度の不良品発生などを招いています。これらの問題を解消し、製品の信頼性を向上させるには、客観的な検査基準を整備する必要があります。また、不良品発生の低減と製品品質の安定化のためには、光沢ムラなど、外観異常の原因となる表面性状を数値化し、めっき工程へのフィードバック機能を強化することが求められています。
数値化の手順
そこで私たちは検査対象物の外観異常について、原因となる物理量を決定し、その計測方法を考案し、汎用画像特徴抽出法と統計処理法の組み合わせによって数値化して、検査対象物の良否の判別を行う手法を検討しました。
光沢ムラの原因には有機物などの付着もありますが、ほとんどの場合は表面の粗さの違いによる正反射・拡散反射光*の違いが光沢ムラの原因であること、すなわち異常光沢部は正常光沢部に比べて表面粗さが小さく拡散光成分が小さいことを見いだしました。また表面粗さは、光の各偏光成分**の反射にも影響を及ぼすことを明らかにしました。図1に金の表面粗さと直線偏光(Is/Ip=1/1)を入射したときの拡散光の偏光成分比(Ψ=tan-1(Is/Ip))の関係を示します。この結果から、拡散光の偏光成分比を基にして表面粗さを求められることがわかりました。
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| 図1 金めっきの表面粗さと拡散光の偏光成分比の関係 |
図2にフレキシブルプリント回路基板(FPC)の金めっきパッドに対する光沢ムラ検査の概要と実施例を示します。まずFPCサンプルの金めっきパッド部について、各点の拡散光の偏光成分比から表面粗さ分布に対応した画像を取得します。次に、画像から形状的な特徴量(例えば最小長方形)を抽出し特徴量空間を形成します。その空間から判別分析を行うことによって、光沢ムラの程度を数値化し、良否判定を行うことができることを明らかにしました。
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| 図2 FPC金めっきパッドの光沢ムラ検査の概要と実施例 |
今後の予定
今後は現場適応性の検証を経て装置の製品化を進めるとともに、検査法の規格化・標準化に向けた取り組みを行っていく予定です。

野中 一洋 のなか かずひろ
