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高性能なNANDフラッシュメモリーアレイ

[ PDF:1.1MB
次世代半導体不揮発メモリーの実用化へ前進

酒井 滋樹と高橋 光恵の写真
酒井 滋樹 さかい しげき(左)
酒井連絡先
ナノエレクトロニクス研究部門
新材料・機能インテグレーショングループ
招聘研究員
(つくばセンター)
強誘電体ゲートトランジスタの実用化を目指して、トランジスタ微細化と集積回路メモリの研究を行っています。

高橋 光恵 たかはし みつえ(右)
高橋連絡先
ナノエレクトロニクス研究部門
新材料・機能インテグレーショングループ
主任研究員
(つくばセンター)
次世代不揮発メモリ素子である強誘電体ゲート電界効果トランジスタの作製とその回路応用の研究をしています。


NANDフラッシュメモリーの課題

 パソコンやサーバーのハードディスクドライブに代わる大容量データ記憶装置として、より小型軽量で低消費電力のソリッドステートドライブ(SSD)が注目されています。しかしSSDの基本部品である半導体不揮発メモリーのNANDフラッシュメモリーは、書き換え可能回数が約1万回と少なく、情報処理量の多いデータセンターのサーバーに用いるには書き換え可能回数をより多くすることが望ましいと考えられています。また、集積度を高めるために今後もNANDフラッシュメモリーセルの寸法を縮小し続ければ、書き換え可能回数はさらに減少してデータの信頼性に不安が生じると言われています。このため、書き換え耐性がより高く、メモリーセルの寸法縮小も可能な、次世代半導体不揮発メモリーの開発が必要です。

Fe−NANDフラッシュメモリーアレイの作製

 私たちは、強誘電体ゲート電界効果トランジスタ(FeFET)をメモリーセルとして用いる強誘電体NANDフラッシュメモリー(Fe−NANDフラッシュメモリー)に注目し、FeFETの集積化技術により、初めて全ビット測定が可能な64キロビット(kb)Fe−NANDフラッシュメモリーアレイの作製に成功しました(図1)。

図1
図1 今回作製したチップの全体写真(左)とチップの右下隅を拡大した光学顕微鏡写真(右)

 この64 kb Fe−NANDフラッシュメモリーアレイを用いて、ブロック消去、ページ書き込み、データ非破壊読み出しを行い64 kbのすべてのメモリーセルにアクセスできることを確認しました。さらに、全ビットの消去と書き込み、市松模様状書き込みの3通りのパターンを書き込み、これらの読み出しに成功しました。また、ブロックレベル(2 kb)で2日間の測定による良好なデータ保持特性(図2)のほか、セルレベルでは1億回書き換え可能であることも確認しました。

 将来的には、Fe−NANDフラッシュメモリーのデータ書き込み時のビット線電圧は1 V、ワード線電圧は6 Vまで下げることができ、これまでのNANDフラッシュメモリーと比べて消費電力は約7分の1になると見込まれます。

図2
図2 ある1ブロックにおける1分後、1日後、2日後のしきい値分布(a)と2日間の測定によるデータ保持特性(b)
E :ブロック消去後、P :全ビット書き込み後

今後の予定

 今後はFe−NANDフラッシュメモリーセルの微細化を進め、シリコンデバイスにおける目安のサイズの一つであるゲート長0.18 µmを達成し、その後、さらに小さいゲート長0.05 µmのFe−NANDフラッシュメモリーを数年以内の実用化を目指します。低消費電力で1億回の書き換え可能回数をもつ特性を活かし、データセンター向けSSDを最初の実用化のターゲットとしたいと考えています。


関連情報:
  • 共同研究者
    竹内 健(東京大学)、Zhang Xizhen、康(前産総研特別研究員)、Le Hai Van、Zhang Wei(産総研特別研究員)
  • 用語説明
    *ソリッドステートドライブ(SSD):データを記憶する媒体として半導体不揮発メモリーであるフラッシュメモリーを用い、これに電気信号を与えてデータの消去・書き込みと読み出しを行うデータ記憶装置。
  • プレス発表
    2011年9月28日「高性能な64 kb強誘電体NANDフラッシュメモリーアレイを作製
  • この研究開発は、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)省エネルギー革新技術開発事業の支援を受けて行いました。

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