開発の背景
リニアエンコーダは、移動ステージや工作機械に内蔵されて、その移動量を測定する測長器です。近年ではその高分解能化が進んでおり、数十ピコメートル(1ピコメートルは 1メートルの1兆分の1)の分解能をもつリニアエンコーダが発売されており、半導体露光装置や液晶露光装置に内蔵され先端産業を支えています。これまで、このような高分解能リニアエンコーダの測長性能の評価は、それを評価する標準がなかったため、各メーカーで独自に行われてきました。しかし、高精度化が進む最先端産業においては、サブナノメートルの測長性能の差でさえ、できあがり品に大きな違いを生む状況になってきました。そのため、高分解能リニアエンコーダの測長精度を正しく評価する標準への要求が高まりました。
そこで私たちは、サブナノメートルの精度で長さを正しく測定する装置をつくり、リニアエンコーダの測定精度を評価することにしました。
光ズーミング干渉計による高分解能・高精度化
私たちはまず、高分解能・高精度な移動ステージをつくるため、「光ズーミング干渉計」を開発しました。この装置は、二つのレーザー干渉計を組み合わせてテコのように二つの移動ステージを制御することにより、高分解能(数十ピコメートル)の移動ステージを実現します。また、一般的なレーザー干渉計がもつ周期誤差も低減することができ、高精度化が可能です。この干渉計で高精度に測長するためには、安定な二波長光源が必要となるため、多数の安定した波長を含む光源である光コムに、2台の半導体レーザー(LD)を安定化させて利用しました。このシステムにより実現された高分解能・高精度移動ステージに、性能を確認したい高分解能リニアエンコーダを取り付け、不確かさサブナノメートルで高精度な校正を行います。最高測定能力(k=2) は、線形性の不確かさ2×10-3、非線形残差の不確かさ0.6 nmです。
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| 図1 リニアエンコーダ校正の仕組み | 図2 校正装置 |
今後の展望
2011年3月より、このシステムを利用した、高分解能測長器の校正サービスを始めました。現在は測定範囲1 µm までですが、広く利用していただけるよう、対応できる測長器の拡大や高精度化も含めて検討していきたいと考えています。

鍜島 麻理子 かじま まりこ
