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シリーズ:進化し続ける産総研のコーディネーション活動(第17回)
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イノベーションコーディネータとは研究のプロデューサー


上席イノベーションコーディネータ 松木 則夫(まつき のりお)

イノベーションコーディネータの役割

 イノベーションコーディネータには、産総研研究者と企業との単なる仲介役ではなく、新たな価値を創り出す、創造的な役割があります。「産総研の研究」を「映画の制作」に例えると、研究者は監督や俳優であり、また、イノベーションコーディネータはプロデューサーであるといえます。

 映画監督・脚本家・俳優を選び、出資者・配給会社などと交渉し、作品の新たな価値を生み出しているのはプロデューサーです。作品を興業として成功させるためには、
 (1)監督や俳優の能力を最大限に引き出す環境作り
 (2)作品のクオリティを保ちながら、観客(社会)の欲求を満足させるための工夫
 (3)微妙なバランスを保ちながら、かじ取りをする
などが求められます。イノベーションコーディネータはプロデューサーとして、「産総研の研究」という“作品”を新たな価値のある成果として社会に還元していく役割があります。

専門のイノベーションコーディネータの必要性

 産総研研究ユニットのリーダークラス(ユニット長・副ユニット長)も、日々、イノベーションコーディネータと同様に研究のプロデューサーとして活動しています。2009年度に産総研が行った共同研究実績のおよそ4分の3は、研究ユニットが主体となり産業界との連携を積極的に推進したものです。一方、このような研究ユニット自らの連携推進と併せて、イノベーション推進本部に所属し専門的に活動するイノベーションコーディネータの存在も重要です。その意義の一つとして、「客観的な視点」があります。研究現場から離れ、さまざまな企業ニーズを踏まえ、また、今までの自分の研究、仲間の研究、そして産総研全体の研究を客観的に見ることができれば、一見関連性がないようなものでも、個々の研究や個々の成果のつながりを発見し、新たな価値ある“作品”に結びつけることができます。また、仲間の研究を贔屓(ひいき)せずに、研究および成果の重要度を判断することができ、産業界・大学・公的研究機関などとの連携構築の活動においては、相手方の視点を理解し、マッチングを図るためにも、この「客観的な視点」が役立ちます。

イノベーション

 ここで、イノベーションコーディネータがプロデュースする「イノベーション」について、あらためて考えてみたいと思います。これまでの常識を覆して、新たな製品が市場を席巻したり、全く新たな市場を創出したり、というように、社会的なインパクトをもった「事件」のようなことがらが、本来の意味での「イノベーション」だと考えます。したがって、常識を覆すものであるが故に、周囲からは厳しい批判を浴びるのが常です。また、イノベーションの主導者(イノベーター)はほとんどが企業人であり、大学・研究機関がイノベーションを主導することは、近畿大学のクロマグロの完全養殖のような例外もありますが、とても難しいのが現状です。このような困難な状況を突破するために、イノベーションコーディネータは、“何をイノベーションと考え”“産総研はどのような役割を果たせるのか”と常に考える心構えが求められます。

上席イノベーションコーディネータとしての責務

 2010年10月から創設された上席イノベーションコーディネータの責務は、
 (1)イノベーション議論の深化の先導
 (2)新たなプロジェクトの企画・立案
 (3)チーム体制による効果的な企業対応
です。各イノベーションコーディネータが、プロデューサーとしての重要な役割を果たすため、および各々の能力を十分発揮できるように、上席イノベーションコーディネータとしてともに責務を果たしていく所存です。

図   松木 則夫の写真
イノベーションコーディネータが目指す主な役割
 
ユニットイノベーションコーディネータ会議で発表する筆者

このページの記事に関する問い合わせ:イノベーション推進本部 http://unit.aist.go.jp/col/ci/coordinator/contact/tsukuba.html

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