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熱変化に耐える窒化ケイ素系セラミックス

[ PDF:1.1MB
窒化ホウ素の微粒子を分散させ耐熱衝撃性を飛躍的に向上

日向 秀樹の写真日向 秀樹 ひゅうが ひでき
日向連絡先
先進製造プロセス研究部門
セラミック機構部材プロセス研究グループ 研究員
(中部センター)

民間会社勤務10年の後、産総研に入所しました。入所後は一貫して、構造セラミックスの高効率プロセス開発を軸として、特に非酸化物セラミックスの微構造制御や信頼性向上に関する研究を行っています。今後、セラミックス材料が環境負荷低減に貢献できる役割を産業界へ提案することを目指して、新規製造プロセスや高機能材料などの研究開発を行っていきます。

アルミニウム鋳造から鉄系材料の鋳造へ

 世界的なCO2排出規制の動きの中で、排出量の多い鉄鋼や非鉄金属の製造過程における熱損失の低減と鋳造部材の保守間隔の長期化が必要です。これらの課題への対応としてアルミニウムの鋳造ラインには、耐熱性・耐食性に優れる窒化ケイ素セラミックスが活用されています。しかし、アルミニウムの鋳造に比べて、遥かに高温で、激しい熱衝撃に晒される鉄系材料の鋳造ラインに使用するには、窒化ケイ素の耐熱性と耐熱衝撃性は不十分であり、耐熱衝撃性・耐熱性が飛躍的に高く、かつ大型化してもその特性が発現できる窒化ケイ素系セラミックスの実現が望まれていました。

開発した窒化ケイ素セラミックス

 産総研は三井金属鉱業株式会社と共同で、これまでの窒化ケイ素セラミックスの耐熱衝撃性と耐熱性の向上を目指した研究開発を進めてきました。耐熱衝撃性の向上には熱伝導率の向上と弾性率の低減が有効ですが、窒化ケイ素セラミックスの粒界相は通常非晶質であり、熱伝導率を低下させる要因の一つとなっていました。そこで、粒界相の主成分を構成する焼結助剤として、結晶化すると耐熱性の高い粒界相を形成する酸化イッテルビウム(Yb2O3)を用い、その分散量を最適化し粒界相を結晶化させることにより熱伝導率を向上しました。また、弾性率の小さい窒化ホウ素微粒子を分散させ熱衝撃時に生じる応力を緩和すると同時に、繰り返しの熱衝撃において生じた微細亀裂が進展しないようにしました(図)。こうして得られた窒化ケイ素系セラミックスは、1,400 ℃の熱衝撃に対しても、強度劣化がなく、これまでに比べて飛躍的に耐熱衝撃性を高めることに成功しました。

図
開発した材料の微構造のイメージ図

今後の予定

 開発した材料を、アルミニウム鋳造用だけでなく、鋳鉄や鉄鋼系の鋳造など、より過酷な条件で使用される大型生産部品をターゲットとして部材化技術を確立し、実用化を目指していきたいと考えています。


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