独立行政法人産業技術総合研究所
現在位置広報活動 > 出版物 > 産総研 TODAY Vol.11(2011) 一覧 > Vol.11 No.04 > ダイヤモンドパワーデバイスの高速・高温動作を実証

ダイヤモンドパワーデバイスの高速・高温動作を実証

[ PDF:1.2MB
高温・高電力密度省エネ素子の実現に向けた基本性能を確認

梅沢 仁の写真梅沢 仁 うめざわ ひとし
梅沢連絡先
ダイヤモンド研究ラボ
主任研究員
(つくばセンター)

ダイヤモンドは優れた材料特性から究極の半導体ともいわれていますが、社会に役立つ材料となるまでには、ウエハーから材料評価、プロセスまでさまざまなブレークスルーが必要となります。ダイヤモンドエレクトロニクスは日本がリードする分野であり、実用化を目指して技術を育てていきます。

パワーデバイスの現状

 パワーデバイスは電気機器の電力制御に不可欠な半導体デバイスであり、最近では省エネルギー効果に加えて高電圧・大電流動作や高い信頼性が得られるため、ハイブリッド自動車などのモーター駆動やエアコン、産業機器などに急速に普及しています。パワーデバイスの高性能化によって電力エネルギー使用量を大幅に削減できるため、この開発は重点的に取り組むべき革新技術の一つです。

 現在、パワーデバイスにはシリコン(Si)半導体が使われていますが、耐熱性、耐電圧、電力損失、電流密度などの性能に限界があるため、新材料の開発が進められています。ダイヤモンドも新材料の一つで、耐熱性に優れ高温でも電流密度が高く保たれるなどの特異な物性をもつことから、冷却システムの大幅な簡易化や高耐電圧、大電流密度などが実現できると期待されています。

開発したダイヤモンドパワーデバイス

 今回開発したショットキー型ダイヤモンドダイオードは、産総研で合成したダイヤモンド半導体にルテニウム(Ru)ショットキー電極を組み合わせて作製しました。このダイオードは、ダイヤモンドやRu電極の特性から、高温動作や、低損失・大電力密度動作などを可能にします。電極サイズが小さいため、最大破壊電圧が1.8 kVのダイオード7個をワイヤで並列接続し、高温動作もできるように耐熱封止材を用いて封止しています。駆動用トランジスタには市販のSi MOSFETを用いた回路を作製して、試作ダイヤモンドダイオードのスイッチング特性を評価しました。

 スイッチング特性の計測では、10ナノ秒程度の高速スイッチングを確認できたほか、エネルギー損失が抑えられることがわかりました。また、高温でもエネルギー損失とスイッチング速度が小さく抑えられ、良好な動作をすることがわかりました。

ダイヤモンドショットキーバリアダイオードの模式図 スイッチング特性図
ダイヤモンドショットキーバリアダイオードの模式図
高温動作ダイヤモンドショットキーバリアダイオード写真
高温動作ダイヤモンドショットキーバリアダイオード スイッチング特性(動作温度依存性)

今後の予定

 今後は、実用パワーデバイスに必要な大電流が流せるように、1 cm角サイズのデバイス実現を目指し、大面積の基板製造技術、低欠陥高品質膜成長技術やデバイス設計・プロセス技術の開発に取り組みます。またショットキー型ダイオードだけではなく、トランジスタ素子の研究も並行して進め、省エネルギー高温パワーエレクトロニクスシステムの実現を目指します。


関連情報:

戻る産総研 TODAY Vol.11 No.04に戻る