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サブマイクロメートル球状粒子作製法を開発

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レーザー照射による瞬間的な高温状態を利用

越崎 直人の写真越崎 直人 こしざき なおと
越崎連絡先
ナノシステム研究部門
フィジカルナノプロセスグループ 研究グループ長
(つくばセンター)

レーザーやスパッタなどの物理的な手法を利用してナノ粒子やマイクロ−ナノ階層構造などの作製法について研究を進めてきました。物理的なプロセス技術では、作製可能な量がとても小さいことが最大の問題点です。化学法では得られないナノ構造体を実用に耐えうる量で供給できる技術の開発を目指しています。

図1
図1 原料ナノ粒子の選択的レーザー加熱・溶融による球状粒子合成

球状粒子作製技術

 最近、球状粒子はその等方性・安定性・分散性などの性質から、さまざまな応用が期待されています。この球状粒子は、マイクロメートル以上のサイズは機械的な手法で、ナノメートルサイズはミセル構造を利用して作製されます。一方、サブマイクロメートルサイズではガラスやポリマーなどの非晶質物質の球状粒子は市販されていますが、結晶性機能材料では一部の貴金属を除いて作製が困難でした。これは、結晶性物質では安定な結晶面が組み合わさった形態を取りやすいためでした。

開発した球状粒子の作製法

 球状粒子は、原料粒子のみを加熱して表面張力により球状液滴をいったん形成させ、これを固化させることで作製できます。しかし、高温材料の場合、粒子だけを急速に加熱・冷却することが通常の加熱法ではできないため、球状粒子の作製は困難でした。

 私たちはこれまでに有機溶媒中に分散させた原料のホウ素ナノ粒子に弱いパルスレーザー光を集光照射することで炭化ホウ素球状粒子を反応合成することに成功しました。この考えを発展させることで、液体中に原料のナノ粒子を分散させ、弱いエネルギーのパルスレーザーを非集光照射(図1)することによりさまざまな物質のサブマイクロメートル球状粒子の作製に成功しました(図2)。ナノ粒子に吸収されたレーザー光のエネルギーが熱に変換することで急速に粒子の温度が上昇して融解し、エネルギー供給停止後ナノ粒子の温度が急速に低下して球状粒子が生成します。このように、この手法の最大の特徴は、溶融に必要なエネルギーを必要なナノ粒子に必要な時間だけ投入していることで、生成速度や効率が大幅に向上しています。

図2
図2 レーザー照射による酸化銅ナノ粒子の形態変化

今後の予定

 今後は、サブマイクロメートル球状粒子の生成量のさらなる増加を目指した研究開発を進めるとともに、この手法により初めて作製できるようになったサブマイクロメートル球状粒子の医療、光学、機能表面などさまざまな分野での応用を目指した研究に取り組んでいきます。


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