リチウムイオン電池とリチウム−空気電池の現状
リチウムイオン電池はモバイル電気製品の電源として広く使われ、電気自動車の用途に向けて大容量化の研究開発が行われています。しかし、現在のリチウムイオン電池には、電気自動車用にはエネルギー密度が足りないという問題があるため、理論的にはエネルギー密度が高いリチウム−空気電池が注目されています。これまでのリチウム−空気電池には、反応生成物が空気極に析出する欠点があり、それを解決するため、2009年にハイブリッド電解液を用いて、放電が長時間可能な燃料電池型のリチウム−空気電池を開発しました。また、大容量かつリサイクルが簡単なリチウム−銅二次電池も開発しました。
開発したリチウム−銅・空気電池
2009年開発のリチウム−空気電池とリチウム−銅二次電池の延長として、今回はハイブリッド電解液(有機電解液/固体電解質/水性電解液あるいは水性ゲル電解質)を用い、正極には、金属銅フォイル(あるいは銅の粉)のみ使うリチウム−銅・空気電池を開発しました。銅は空気中の酸素により腐食され、酸化銅となります(4Cu + O2 → 2Cu2O)。放電によって、酸化銅(2Cu2O)が還元され(Cu2O + H2O + 2e− → 2Cu + 2OH−)、銅に戻りますが酸素があれば、腐食現象によって酸化銅に戻ります。この電池では銅が触媒と導電助剤の二つの役割を果たしています。既に、安定した長時間放電が確認されています。
このリチウム−銅・空気電池は、正極(=空気極)に単純な金属のみを使っているため、空気極の簡素化と低コスト化が期待されています。また、最適な使用形態に応じて、2009年に開発したリチウム−銅二次電池と合わせて使うこともできると考えています。さらに、この正極にはほかの金属の腐食の利用も考えられます。
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| リチウム−銅・空気電池の原理 | リチウム−銅・空気電池の放電曲線 |
今後の展開
電気自動車用などに開発したリチウム−銅・空気電池のエネルギー密度は高いのですが、出力密度が制約されています。これを向上させるために、分離膜として用いた固体電解質のリチウムイオン伝導率を高めることが必要となります。リチウム−銅・空気電池の実用化を目指して、今後さらに研究開発を進めていきます。


