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| 図1 チューブ型マイクロSOFC(1 W出力) |
燃料電池の現状
燃料電池とは燃料と空気(酸素)の化学反応から電気を直接取り出す発電装置で、高いエネルギー変換効率が実現できるため、次世代のエネルギー源として実用化が期待されています。固体高分子形(PEFC)、溶融炭酸塩形(MCFC)、リン酸形(PAFC)、固体酸化物形(SOFC)など、さまざまな材料による燃料電池が開発されていますが、これらの中で最もエネルギー効率が高いのはセラミックス材料から構成されるSOFCです。しかし、SOFCは作動温度が700〜1,000 ℃と高温のため、これまでは大型発電設備用などに用途が限られていました。
開発した高性能マイクロSOFC
産総研はファインセラミックス技術研究組合(FCRA)の協力を得て、先に開発したセリア系材料による高性能チューブ型マイクロSOFCの製造技術を発展させ、さらに電解質の薄膜化と高度な電極構造(気孔率や触媒構造)の制御を可能とする新しいマイクロSOFC製造プロセス技術を開発しました。この製造プロセス技術を従来材料であるジルコニア系材料に適用し、これまでになかった低膜厚電解質と高気孔率の電極構造をもったジルコニア系SOFCを実現しました(図1)。
このマイクロSOFCの燃料極の気孔率を変化させて、発電性能を比較したところ、このマイクロSOFCの電極抵抗は燃料極の気孔率に大きく影響を受けることがわかりました。その結果をもとに、マイクロSOFCの燃料極気孔率を54 %として550 ℃と600 ℃の作動温度で発電試験を行ったところ、それぞれ最大0.5と1.1 W/cm2の電力が得られました(図2)。
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| 図2 チューブ型マイクロSOFCの電極抵抗と燃料極気孔率の関係および燃料極気孔率54 %セルの発電特性(電子顕微鏡写真は還元後の燃料極構造) |
今後の展開
今回得られた知見を元に、コスト面で有利なジルコニア系SOFCのさらなる性能向上と実用化適用性検討を行います。一方、これまでにセラミックリアクター開発プロジェクト内においてはFCRA、日本特殊陶業株式会社、東邦ガス株式会社と共同でチューブ形マイクロSOFCの200 Wプロトタイプモジュール実証まで進捗しているところです。最終的には、低炭素排出社会の実現に向けた新エネルギーデバイスとしてのSOFCの用途拡大とその普及促進を図っていきたいと考えています。

鈴木 俊男 すずき としお
