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シリーズ:進化し続ける産総研のコーディネーション活動(第5回)
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農商工連携に向けて 〜地域での経験から〜


関東産学官連携センター長
産学官連携コーディネータ 森 和男(もり かずお)

森 和男の写真
沖縄の金型企業で技術支援活動中の筆者(左端)

産学官連携コーディネータへの道

 “何をどう作るか”という生産情報はものづくりに不可欠な要素の一つです。この研究に産総研の前身である機械技術研究所時代より四半世紀以上携わってきたため、産総研の発足と同時にものづくり中小企業の競争力強化プロジェクトにかかわることになりました。さらに地方公設研で3年間勤務する機会にも恵まれ、2009年3月末に再び産総研に戻ってきました。こうした経験で、現在は中小企業の支援を主なミッションとする関東産学官連携センターでの業務を通じ、コーディネーション活動を展開しています。

農商工連携は地域活性化の大きな流れ

 ものづくり産業は地域産業振興の中核を担ってきましたが、リーマンショック以降そうした役割が急速に低下し、多くの地域ではそれに代わる活性化策の必要性に迫られています。そこで、新たな振興役としての機運が急速に高まったのが農商工連携です。規模や生産性など多くの問題を抱える第一次産業ですが、どの地域にも共通する産業であり、人間にとって生きるうえで不可欠な産業です。地域が農商工連携に目を向けるのは当然の流れと言えるでしょう。

農商工連携のおもしろさ

 公設研在職時にいくつかの農商工連携に携わりましたが、その中の一つをご紹介しましょう。GABA(γ−アミノ酪酸)入りの焼き菓子の製造技術の開発です。

 町のお菓子屋さんから、「メタボ防止に効くGABAをたくさん含有する大麦でクッキーを作りたいので協力してもらえないか」という相談を受けたのがきっかけです。GABAに関してはまったくの素人でしたが、公設研の食品技術研究者の知見を頼りに、高温で壊れやすいGABAの性質を克服するための低温焼成技術の開発と大麦に含まれるGABAを富化する技術を開発すれば、目標に辿り着けそうなことがわかりました。

 ある程度の開発費が必要なため、大学も含めたコンソーシアムを組織し、公的資金の獲得を目指しました。申請書に必要な具体的な目標を始めとして、開発課題の設定と解決のアプローチ、事業計画などで支援し、何とか獲得に成功しました。その後2年間の開発期間を経て、商品として市販するに至っています。

 この事業を通じて得た農商工連携の醍醐味は、製品化するまでの期間が比較的短いこと、一般にもなじみやすい食品が対象になるためマスコミが取り上げやすいことです。特に後者では、NHKテレビでも放映されて世間の関心を呼び込むことができ、製品の事業利益よりも大きな効果を得たものと思っています。

今後の農商工連携に向けて

 農商工連携の出口は食品が主ですが、出口に向けてのアプローチは大きく分けて二つあります。一つは、工業の先端的なプロセス技術を一次産品加工に導入して新しい製品を作り出すこと。もう一つは、工業の進んだ生産管理技術を導入して高効率な一次産品の生産プロセス法を開発することです。両者とも産総研がもっている多くの技術シーズが貢献できると思います。特に、生産管理技術は私たちの専門とする生産情報技術の応用そのものです。次の農商工連携には、このアプローチで貢献したいと思っています。

図
「農商工連携」で目指す典型的な取り組み

このページの記事に関する問い合わせ:産学官連携推進部門 http://unit.aist.go.jp/collab-pro/ci/coordinator/contact/tsukuba.html


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