濡れ性制御技術
濡れ性制御技術は、自動車のドアミラーやウインドグラス、住宅用外壁、液晶テレビ、電極配線、農業フィルム、バイオテンプレートなどたくさんの製品製造に用いられる重要な技術です。これまで、濡れ性制御技術は、材料のもつ親水特性や撥水特性を利用するものが一般的であり、スプレー塗布やディッピング法などの湿式法や真空成膜などの乾式法で有機材料や無機材料を塗布する手法が行われてきました。
しかし、これら親水材料を塗布する場合、塗布プロセスのコストも無視できず、特に乾式法では、面積が広くなるとともに塗布コストが上がってしまうという問題がありました。さらに、汚れなどによって濡れ性制御の持続時間が短くなることも問題であり、光触媒などを使わない場合には、長期にわたって性能を維持できないという難点がありました。
開発した親水技術
産総研のもつ光ディスク開発で得られた大面積ナノ構造体金型作製技術/ナノ構造体転写技術と、株式会社 ハウステックの保有する親水基材応用技術/親水評価技術を融合することで、転写プロセスだけで簡便に作製でき、親水維持性にも優れた、撥水性プラスチック基板の親水化技術を開発しました。
大面積ナノ構造体を用いた親水基板は、光ディスク製造装置を応用したナノ加工装置で大面積ナノ構造体金型を作製し、ナノインプリント法でフィルムにナノ構造体を転写して作製します(写真)。この技術は転写プロセスだけでプラスチック基板を親水性に変化させることができるため、大面積化でき、短時間の製造サイクル(例えば産総研の装置では20 秒/枚、ナノインプリント製造装置に依存します。)で撥水性プラスチック表面を親水化できます。
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| 窓ガラス表面に平板フィルムとナノ構造付フィルム(開発品)を設置した時の濡れ性 |
今後の展開
開発したナノ構造付フィルムは、多くの産業分野で利用の可能性を検討していただけるよう、随時サンプル出荷を行う予定です。また、1 m2 以上の面積をもつ親水性フィルムの実現のために、ロールインプリントプロセスを用いたナノ構造体転写技術を開発し、さらに大面積化・高速製造化を進めていきます。

栗原 一真 くりはら かずま