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シリーズ:進化し続ける産総研のコーディネーション活動(第3回)
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地球温暖化対策のための産学官連携の推進


産学官連携コーディネータ 古宇田 亮一(こうだ りょういち)

古宇田 亮一の写真
地球温暖化対策を解説する筆者(2009.11.30)

産学官連携コーディネータへの道

 これまで資源地質学・情報地質学を主に研究してきました。鉱山調査をする上では、鉱山を開発する「産」、学問的に解明する「学」、環境・安全規制をかける「官」、地域の「民」と密な関係を保つことが研究上必須でした。この経験で不足と感じてきたことを、今度は産学官連携コーディネータとして支援側で実現することを心がけています。

地球温暖化対策

 地球温暖化対策は、地球大気の変動に対処するものです。日本は2020年までにCO2排出量の25 %削減(1990年比)を目標に掲げ、国際的な協調・連携と日本の技術力を活用しようとしています。

 CO2排出削減には、排出量取引など商取引的な方法と技術的な方法があります。後者には、
(1)高効率・省エネルギー機器の開発・普及、低CO2排出源エネルギーへの転換
(2)CO2回収・資源化、CCS(回収・貯留)による地中貯留や大気CO2の直接削減
などがあります。

 また、総合科学技術会議が2009年10月8日に決定した「グリーンイノベーション」では、以下の3施策を重点的に推進するとしています。
(1)エネルギー効率の高い技術の世界的普及の促進
(2)太陽電池やCO2回収・貯留等の革新的技術のさらなる加速
(3)新たな科学的・技術的知見の「発掘」と「統合」によるブレイクスルー技術の研究開発

 日本のエネルギー供給全体を考えると、自然エネルギーが化石燃料を代替するには程遠く(図)、経済活動を維持しつつCO2削減を図るならCCS技術を避けて通ることはできません。現状では、コストを下げることと安全性を確保することがCCSの技術的な課題です。

 そこで産学官連携により、工場近傍に存在する一般帯水層や地層そのもののCO2固定能力を高める固定技術の開発などが重要性を増しています。これらはIPCC(気候変動に関する政府間パネル)でも主要技術とされ、世界的な技術開発の主流の一つで、将来的には大気そのもののCO2削減にも寄与できるでしょう。

温暖化対策に果たす産学官連携の推進

 CO2排出量の25 %削減の目標もあり、企業経営者から自社工場のCO2排出削減についての相談を多くいただいています。課題はコストと安全性で、これをオープン・イノベーションで進めるのが世界的な傾向です。産学官連携の推進により、地球温暖化における地域の課題と世界的な課題の解決に寄与できるよう努めたいと思います。

図

エネルギー源別国内供給動向(資源エネルギー庁資料から作成)


産業界の声

 CO2の25 %削減のうち、いわゆる真水部分(国内削減分)がどの程度に設定されるのかは、セメント、非鉄製錬を中心に国内に工場基盤をおく三菱マテリアルグループとしても関心が高くなっています。また、当社が鉱山開発などで培ってきた環境保全と地下開発の技術は、CCS実現に寄与できるものと思います。産総研とは、これまでも共同研究などで良好な連携協力を進めてきたところですが、古宇田コーディネータによる多分野融合の地球温暖化対策に当社も連携して、安全性が高くコスト的にも合理的なCCS技術の研究開発や、グループ各社のCO2排出量削減に取り組みたいと考えています。(三菱マテリアルテクノ株式会社 副社長 秋山義夫)


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