独立行政法人産業技術総合研究所
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シリーズ:進化し続ける産総研のコーディネーション活動(第2回)
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金融を巻き込め!〜産学官「金」連携の仕掛け役として〜


産学官連携コーディネータ 池田 喜一(いけだ きいち)

池田 喜一の写真
「産学官エキスパート研修」で講演する筆者(2009.9.25)

産学官連携コーディネータへの道

 1998年12月から2001年3月までの間、大分県産業科学技術センターに出向した際に「竹製車いすの研究」に携わったことが、産学官連携にかかわるきっかけとなりました。同年4月に産総研に戻り、産学官連携推進部門に配属となりました。途中1年間研究部門に戻りましたが、これまで約7年間産学官連携に携わってきました。2007年4月より産学官連携コーディネータに就任し、ナノテクノロジー・材料・製造分野における連携構築や、今回紹介する金融機関との新たな連携構築などを主導しています。

産学官連携コーディネータとしてのパッション

 産学官連携コーディネータとしてのパッションは、企業からは課題解決、所内研究者からは人や資金の提供という観点から感謝され喜んでいただくことにあります。また、企業や当所の研究者など、多くの方々を知ることになり、そこにも喜びを感じています。

産学官「金」連携の構築

 産学官「金」連携とは、金融機関との連携を通し、中小企業のさまざまな課題(ニーズ)へ対応する仕組みを作ることです。金融機関が中小企業への融資事業によって得たさまざまな企業課題のうち、技術的な課題については産総研の技術シーズを基に、きめ細かい対応ができるようになります。また、資金的なニーズに対しては、金融機関を背景に支援が期待できるので、企業がもつ多くの課題解決が期待できます。

 金融機関と公的研究機関という全く異なる機関が連携していくには、超えるべきさまざまなハードルが存在します。しかし、疲弊(ひへい)した地域経済を再建するために両者の強みを活かして企業ニーズに対応することで、ソリューションの飛躍的な向上を可能にしました。例えば、商工中金を経由した企業からのセンサー精度向上の技術相談があります。産総研研究者、コーディネータ、企業の意見交換を基に特許申請を行うとともに商品化のために補助金を獲得して、現在共同で研究活動を行っています。このように効果的に連携を進めております。今後も種々の課題解決に向け、全力を注ぎます。

今後のドリーム

 課題を抱えた企業や、能力はあるがまだ陰に隠れている研究者のための連携のキューピッドになりたいと思っています。

図
「産学官『金』連携」のイメージ図

金融機関の声

 商工中金は、2008年4月に金融機関として初めて産総研と「相互協力に関する協定書」を締結しています。以降、製品開発や既存製品の改良などで悩んでいる取引先中小企業に、池田コーディネータと訪問し、取引先の抱える技術的な課題についてのアドバイスや専門研究者の紹介を行っています。また、全国各地の支店での取引先中小企業への講演会などにおいて、産総研の概要や商工中金との連携事例を紹介させていただき、今後の技術相談につなげる活動を行っています。

 このような活動を通じ、取引先中小企業からは、「親身に相談に乗っていただき、今後の研究開発に活かすことができた」「専門研究員をご紹介いただいたことで、共同開発につながり、製品化のめどが立った」などの評価を数多くいただいており、一層の取引推進につながるケースも出てきています。商工中金としては、引き続き取引先中小企業の技術面の課題の解決に向け、産総研との連携をより一層推進していきたいと考えています。(商工中金 ソリューション事業部長 住元 正博)


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