生活支援分野のロボット技術
生活支援分野におけるロボット技術は、大きな市場に発展する可能性があります。生活支援ロボットの産業化には、単にロボットを試作するだけではなく、想定されるユーザーにも実際に開発に参加してもらい、ユーザーが満足する性能を備えたロボットを開発するとともに、ユーザーが購入意欲をもてる価格にすることが重要となります。また、将来の安全認証を視野に入れ、安全性にも配慮する必要があります。
開発したRAPUDの特徴
産総研では、産学官連携プロジェクト 産業変革イニシアチブの「ユーザ指向ロボットオープンアーキテクチャの開発(以下「UCROA」という)」で大きな市場が期待できる次世代ロボットRAPUDを開発しました。RAPUDは、UCROAで開発した三つのプロトタイプロボットの一つであり、対人サービスロボットの実用化研究の一環として開発されました。
上肢に障害のある人が自分自身で操作できる生活支援用小型軽量ロボットアームの開発を目的としました。また、産業化できる価格水準の設定を目標に、安価な部品を開発するとともに、既存の技術を統合したシステム開発を目指しました。
リスクアセスメントの結果から、ひじ回転関節の代わりに直動伸縮機構を採用し、服や物などがジョイント部分に挟み込まれるリスクを減らすとともに、外装に鋭角部分がない適切な形状を採用することにより、高い安全性を確保しました。また、直動伸縮機構を樹脂ブロックの結合により構成することで小型軽量のロボットアームを実現し、高さ約75 cm、全長40〜100 cm、可搬重量0.5 kg、全体重量約6 kgと小型軽量であるため、ユーザーの使用状況に合わせて、ワンタッチでRAPUDの取り付け、取り外しができます。例えば、ベッドサイドに取り付けられたRAPUDを電動車いすへ付け替えることが簡単にできます。
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電動車いすに取り付けられたRAPUD(左)とテーブルに取り付けられたRAPUDでのユーザ評価実験(右) |
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今後の展開
ロボットアームは身の回りのものとの物理的な接触を伴うために事故リスクをゼロにすることができず、売り切りの製品として市場に出すことは困難です。専門家の指導の下で操作訓練を行い、利便性とリスクを見極めて利用可否の判断を行うといった、運用面(ソフト面)でのバックアップが必要です。今後も、上肢に障害のある人から被験者としての協力を得つつ、作業療法士などの専門家とも連携し、運用面での技術開発も継続して行く予定です。

尹 祐根 Woo−Keun Yoon ゆん うぐん
