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シリーズ:進化し続ける産総研のコーディネーション活動(第1回) |
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コーディネーションの実際と連携構築への情熱 |
本シリーズの連載にあたって技術の高度化・短ライフサイクル化や消費者ニーズの多様化などに伴い、迅速・効率的な研究開発が求められています。それを提供する方法として、産学官がオープンな形で連携し最先端の技術や知識を組み合わせることにより新たな価値を生み出す「オープン・イノベーション」の重要性が高まっています。内部にない優れた技術を外部から取り込んで効率的に研究開発を進め、新たなビジネスモデルを創出することがイノベーション創出の近道といえます。 産総研は、先端的な研究開発や基盤的研究を実施するとともに、多彩な連携制度により企業と年間約1,500件の共同研究を行うなど、企業への技術開発支援にも力を入れています。また、全国9ヶ所(北海道、東北、臨海副都心、つくば、中部、関西、中国、四国、九州)の産総研研究拠点と東京本部および秋葉原事業所、ならびに産業技術連携推進会議(産技連)を中心とする公設試験研究機関(公設研)とのネットワークをもとに、技術情報の流通の結節点「イノベーション・ハブ」としての役割も担っています。 この役割を効果的に推進するため、産総研では、産学官連携の構築を主導する専門家が、さまざまなコーディネーションに携わっています。具体的には、産総研のシーズと企業のニーズとのマッチングをはじめ、内外の大学や研究機関との連携構築、知的財産の創出と技術移転、地域振興や異業種連携の仲介、研究プロジェクトのマネージメント、ベンチャー創業支援など、多岐に渡る専門家がいます。これら専門家には、企業などのニーズに合致する産総研の研究成果を発掘し、展開させる構想力や、潜在的な企業や社会のニーズを顕在化させる企画力が求められています。 このシリーズは、このようなコーディネーションに携わる専門家にその経験や熱意を率直に語ってもらい、それを通して産総研におけるイノベーション創出活動への理解を深めていただくことを目的としています。組織を支えるのは人です。それぞれの専門家がどのようにプロジェクトにかかわり、何をなし得たか、日々進化する活動の中で感じるさまざまな想いをお伝えできればと思います。 皆様方におかれましては、この紙面を通して産総研をますます身近に感じていただき、連携し活用いただけることに結びつきましたら望外の喜びです。
産学官連携コーディネータ 伊藤 日出男(いとう ひでお)
産学官連携コーディネータへの道 産学官連携コーディネータになるには、 私は、1984年に電子技術総合研究所に入所し、情報技術研究部門の研究グループ長を経て2006年4月に産学官連携推進部門の企業・大学連携室長になりました。そして、2009年4月に産学官連携コーディネータになり、主に情報通信・エレクトロニクス分野を担当しています。 産学官連携コーディネータのミッションとパッション産学官連携コーディネータのミッションとは、一言でいうと産総研の使命である「技術を社会へ」の推進です。対外活動では、大企業や大学などとの包括協定に関する具体的な分野別共同研究の橋渡し、個別企業と具体的な共同研究の橋渡し、産業技術連携推進会議の部会運営などを行います。所内調整では、共同研究締結に関するガイドライン調整・技術内容チェック、申請課題の審査、中小企業案件の取りまとめなどを行います。 パッションとしては、関係するさまざまなアクター(所内、企業、大学、独法、自治体…)の顧客に連携を通して満足感を与えたい、スター研究者(の卵)育成の一助になりたい、産総研がハブとなって活躍できるような新たな連携研究企画を作りたい、という想いがあります。 「理想的な産学官コーディネーション」の実現に向けて攻めのコーディネーションでは、新市場創生を見据えた産学官連携体制の立案とネゴシエーション、幹部やスター研究者などによるトップセールスなどをさらに強化することを目指します。一方、受けのコーディネーションでは、連携構築に向けて組織的に構築されたワンストップサービス体制の確立、窓口(コールセンター、技術相談、展示会など)業務からの情報の一本化・共有と機動的対応の実現を目指していきます。さらに、コーディネーション活動の支援施策として、スター研究者の卵を育成支援する制度や、研究ユニットと研究関連部門の積極的な交流推進がますます重要になると考えています。 コーディネーションに必要なスキルコーディネーションを行っていくためには、例えば以下のようなスキルが必要になります。
私自身も全てを究めているわけではないので、これらの能力を高めるために日々研鑽(けんさん)し、より効果的なコーディネーションを行っていく所存です。 今後のドリーム産総研内外から「名軍師」といわれ、「連携ではお世話になった」と心から感謝されるようになりたいですね。 |