土壌汚染のリスク評価
最近、鉱物油、揮発性有機化合物、重金属などによる複合的な土壌汚染の事例が多く報告されています。産業や人間活動においては常に化学物質による環境リスクを伴うため、汚染を最小限にとどめるための土壌汚染対策とともに、事業所や市街地における土壌・地下水汚染のもたらすリスクを適切に管理することが必要です。このため、汚染現場の地質調査や観測によって取得したデータを用いて汚染状態の程度、規模、広がりなどの科学的な評価を行い、リスクの時間的・空間的な分布を定量的に把握することが必要です。
GERASの新たな機能
産総研は、2006年11月に土壌・地下水汚染を科学的に評価するための地圏環境リスク評価システム(GERAS)を開発し、“スクリーニングモデルGERAS−1”と“サイトモデルGERAS−2”を公開しました。これらは、すでに国内外の1,000を超える工場や事業所、自治体、大学などで利用されています。
2009年9月には、新たに複合的な汚染物質の3次元的なリスク解析にも対応できる“詳細型モデルGERAS−3”を完成し、公開しました。鉱物油、揮発性有機化合物、重金属などの多様な土壌・地下水汚染を対象とし、環境リスクの時間的、空間的な分布が詳細に表示できるようになりました。また、対策費用の削減とリスクの低減を同時に達成できるといったメリットもあります。環境汚染問題で苦慮している工場や自治体などを対象として、自主的なリスク管理や浄化工法の検討に広く使用されることを期待し、無償で配布しています。
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| 複合的な土壌・地下水汚染を対象とした詳細なリスク評価 多様な汚染物質を対象として、表層土壌から地下水に至るまでの3次元的な広がりとリスクの分布を表示できるコンピューターシステムの開発 |
今後の展開
わが国の土壌や地下水の調査を進め、データベースの拡充や信頼性の向上を目指します。また、配布先よりGERAS−3を活用した評価データをフィードバックしていただき、システムに反映させ、土壌・地下水環境中にある汚染物質の挙動把握の高精度化を図ります。事業所などにおける土壌汚染対策による自主的な環境リスク管理を目的として、改良を進めたGERASの、産業や社会への普及、技術の移転や啓発活動を推進します。

駒井 武 こまい たけし