独立行政法人産業技術総合研究所
現在位置広報活動 > 出版物 > 産総研 TODAY Vol.9(2009) 一覧 > Vol.9 No.11 > AIST Network

AIST Network

[ PDF:1.3MB
[ PDF:390KB

つくば6研究機関男女共同参画合同シンポジウム「好奇心が開くつくば発共同参画文化の扉」開催報告

 文部科学省 科学技術振興調整費「女性研究者支援モデル育成」事業を実施し、つくば市に拠点を置く6研究教育機関(物質・材料研究機構、森林総合研究所、産業技術総合研究所、筑波大学、農業・食品産業技術総合研究機構、農業環境技術研究所)が、科学技術分野における男女共同参画社会の実現へ向けた連携の推進を目的として、9月8日(火)、つくば国際会議場において合同シンポジウムを開催しました。

 岡島 敦子・内閣府男女共同参画局長、福地 伸・茨城県理事兼科学技術振興監、市原 健一・つくば市長、川端 和明・文部科学省基盤政策課長による来賓あいさつの後、神田 紅氏(講談師)と小川 美奈氏(宇宙航空研究開発機構)による特別講演が行われました。女流講談師の草分けとして入門した際の苦労話や講談、月探索衛星「かぐや」打ち上げの際の24時間勤務体制におけるメンバー間のサポート意識など、たいへん参考になる内容でした。

 28機関が参加したポスターセッションをはさみ、6機関の長によるパネルディスカッションを行いました。男女共同参画に関する問題意識、各機関における理念や具体的な取り組み方針などについて、理事長や学長が自らの言葉で述べ、また質問にも熱心に回答しました。パネルディスカッションの最後に、共同宣言「6研究教育機関による男女共同参画宣言」を、野間口理事長が発表しました。

 自治体、機関の男女共同参画の関係者、一般の方々など約300名の参加者があり、報道機関による取材も入るなど、この問題に対する関心の高さがうかがえました。

パネルディスカッションの写真 野間口理事長の写真
パネルディスカッション
共同宣言を読み上げる野間口理事長

野間口理事長の南アフリカ共和国訪問(4研究機関でワークショップ開催)

野間口理事長とCSIR理事長の写真
野間口理事長とCSIR理事長(後列右から二人目)との会談後の記念写真

 産総研は、2007年11月の甘利経済産業大臣(当時)の南アフリカ共和国訪問の際、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と南ア地質調査所(CGS: Council for Geoscience)との3者間で研究協力覚書を締結し、レアメタル資源評価の共同研究を実施しています(産総研Today、2008年1月号)。

 本年9月中旬、野間口理事長の国際標準化機構(ISO)総会出席(ケープタウン)にあわせ、9名の研究者などが同行して同国プレトリアを訪問し、理事長が科学技術省次官および三つの公的研究機関(CGS, Council for Science and Industrial Research (CSIR), Mintek)のトップと個別会談を行うとともに、4機関で合同ワークショップを開催しました。

 CSIRは、南ア版産総研ともいうべき研究所で、環境・エネルギー、材料・製造技術、ICT、ライフサイエンスなどの分野で、国家プロジェクトを中心に、主として“第2種基礎研究”を推進しています。一方、Mintekは、冶金(やきん)、金属材料分野を中心に、積極的な産業応用の研究を行っています。今回のワークショップでは、研究協力実施中の地質分野に加え、環境・エネルギー、ナノテクノロジー・材料の3分野での今後の研究協力について協議しました。

 初日に野間口理事長の冒頭あいさつに続き、4機関がそれぞれ概要紹介を行い、各機関について理解を深めました。2日目は3分野の分科会を行い、参加研究者の研究紹介により相互理解を深めるとともに、研究協力の可能性について議論しました。最後に、全員が集合して分科会での議論を報告し、全体として今後の協力のあり方について討議しました。また、産総研研究者が3機関の研究施設を訪問し、研究機器や研究環境について理解を深めました。

 今回の南ア訪問にあたり、駐日南アフリカ大使館には3機関との調整にご尽力いただき、また、現地では小澤大使をはじめ駐南ア日本大使館に全面的バックアップをいただきました。両国政府関係者の産総研の研究協力に対する期待は高く、この訪問を契機に南アとの研究協力を一層推進させていきます。

直嶋経済産業大臣つくばセンター来所

 直嶋 正行 経済産業大臣をはじめ、増子 経済産業副大臣、近藤 経済産業大臣政務官が2009年9月28日に産総研つくばセンターを来訪されました。野間口理事長による産総研の概要説明に続き、午前中は「カーボンナノチューブ大量合成技術の実用化」、「高効率・長寿命太陽光発電の開発」の研究現場を訪れ、大量合成装置や大規模実証試験装置などを視察されました。

 昼食後は「ロボットの安全研究拠点」に関する研究開発、およびヒューマノイドロボット、癒やし系メンタルコミットロボット「パロ」やインテリジェント車いすのデモンストレーションをご覧になり、研究者と質疑を交わされました。その後、つくば西事業所のスーパークリーンルームに移動し、同施設内の装置を直接ご覧いただくとともに、「世界最高水準のナノエレクトロニクス研究開発拠点の確立」に関する取り組みを視察されました。産総研が行っている研究開発や今後の展開について、一層の理解を深めていただく機会とすることができました。

直嶋大臣(右)と増子副大臣(左)の写真 直嶋大臣の写真
メンタルコミットロボット「パロ」を手にとる直嶋大臣(右)と増子副大臣(左)
太陽光発電の説明を受ける直嶋大臣

産総研顧問 石原舜三氏がSGA−ニューモント−ゴールドメダルを受賞

 2009年8月19日(水)にオーストラリアのタウンズビルで開催された第10回鉱床地質学会(The Society for Geology Applied to Mineral Deposits(SGA))大会において、石原 舜三 産総研顧問がSGA−ニューモント−ゴールドメダルを受賞しました。この受賞は、この学会が1990年に発足して以来2人目の栄誉あるものです。

 受賞理由は、「花崗岩における金属鉱床の成因に関する科学的貢献」です。

 石原顧問は、花崗岩マグマが固まる際の酸素含有量によって異なった金属鉱床ができることを発見し、その理論が普遍的で応用範囲が広いことからこの表彰となったものです。

 石原顧問は、日本海側と太平洋側の花崗岩周辺の金属鉱物の濃集分布が異なることから、この理論を見いだしました。プレート運動によって太平洋の海底下深く沈んだ堆積岩中の炭素が、花崗岩質マグマから酸素を奪うことで花崗岩が還元的になり、スズやタングステンを濃集します。そのようなことのない日本海側では、花崗岩は酸化的なままで磁鉄鉱を含み、モリブデンや銅、鉛、亜鉛などの鉱物鉱床が発達することになります。

 この理論によって鉱床を探索することが容易になり、世界の資源開発に貢献しています。

環境浄化およびクリーンエネルギー開発分野におけるレアメタル対策
サステナブルマテリアル研究部門 物質変換材料研究グループ 冨田 衷子(とみた あつこ)(中部センター)

冨田 衷子の写真1
実験室にて

 近年、希少金属(レアメタル)の世界的な需要増大に伴い、資源に乏しいわが国における産業の持続的発展のため、レアメタルの需給逼迫(ひっぱく)の改善に向けた研究開発が、その重要性を増しています。物質変換材料研究グループは2009年1月に発足し、環境浄化やクリーンエネルギー開発分野におけるレアメタルの代替や省使用化を目標として、触媒や電極触媒材料の高性能化や高機能化を目指しています。これらを実現するために、金属・酸化物ナノ粒子やナノ多孔質材料およびイオン導電性材料を利用しています。冨田さんは、これまでの燃料電池やセンサーに関する研究経験を活かし、現在、イオン導電体を利用した触媒や電極触媒の反応選択性や活性の向上を目指した研究に取り組んでいます。

冨田 衷子の写真2冨田さんからひとこと

 燃料電池やセンサーのような電気化学セルでは、電極上での触媒反応が電気化学反応に大きく影響します。例えば、電極触媒上での反応を制御することで特定のガスに対する選択性を持たせることができれば、電気化学セルによるガス検知が可能となります。逆に電気化学反応が触媒反応に影響を与えることもあり、これを利用したのがイオン導電体を担体とした環境浄化触媒です。私は、電気化学反応と触媒反応の相乗効果を利用して、環境浄化やクリーンエネルギー開発分野で用いられるレアメタル低減に貢献したいと考えています。


戻る産総研 TODAY Vol.9 No.11に戻る