レアメタル資源探査の背景
金属資源には、鉄、銅、アルミニウムのように産業の基幹材料として大量に消費されるものと、消費量はごく少量ながらハイテク産業に必須なレアメタルと呼ばれる希少金属があります。中でも希土類元素は、ハイブリッド車や家電製品に組み込まれたモーター用磁石に必須な金属で、使用量が年々増大しており、その安定供給は、わが国の産業活動の発展にきわめて重要です。しかし希土類元素は、現状では生産の9割以上が中国に集中しているため、同国の政治・経済・鉱業事情の変化による影響を受けやすく、将来の安定供給が懸念されています。そこで、地圏資源環境研究部門 鉱物資源研究グループでは、希土類元素の輸入先の多角化を進めるために、中国以外での海外資源探査に取り組んでいます。同研究グループの希土類資源探査に関する詳細は、本誌2008年5月号[1]および本号の4〜5ページの記事にて紹介されていますので、ここではその取り組みのコンセプトを記します。
資源ポテンシャル評価とは
鉱物資源研究グループの資源探査は、未開発の鉱床における資源ポテンシャル評価を目的としています。資源ポテンシャルとは、目的の元素の埋蔵鉱量・品位などに基づく鉱床の開発可能性のことです。鉱山開発のリスクを軽減し確実な生産につなげるには、質の高い資源ポテンシャル評価が求められます。一般に埋蔵鉱量は、地表踏査、ボーリング調査、化学分析などに基づく鉱床の立体的構造や品位分布の情報によって計算されます。しかし希土類鉱床の場合、それに加えて、希土類元素の存在形態の把握が不可欠です。例えば、希土類元素が炭酸塩鉱物に含まれていれば酸処理によって容易に抽出できますが、ジルコンなど難溶性鉱物に含まれている場合は、通常の採算ベースでは抽出が困難です。抽出が難しい部分は、埋蔵鉱量の計算から除かなければなりません。何という鉱物にどの希土類元素が何ppm含まれるかという鉱物学的情報が加わって、はじめて希土類鉱床の正確な資源ポテンシャル評価ができるようになります。
今後の展開
鉱物資源研究グループによる海外資源探査は、民間企業および独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構と共同で実施しております。現在、いくつかの有望な希土類鉱床を絞り込んでいる段階で、2014年頃までに新たな鉱山を立ち上げることを目標に調査研究を推進しています。
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カナダ北部トアレイク鉱床における現地調査 |
トアレイク鉱床の鉱石 |
地圏資源環境研究部門
高木 哲一(たかぎ てついち)


