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酸と塩基の純度の標準

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中和滴定のための無機高純度標準物質


酸・塩基と中和滴定法

 酸と塩基は、化学物質の最も基本的な分類の1つといえます。代表的な酸としては、塩酸、硫酸、酢酸など、塩基としては、水酸化ナトリウムなどがあります。これらの物質は、生活用品、医薬、肥料、洗剤、化成品の原料として世界中で大量に生産、消費されており、その過程でそれらの濃度や純度の決定が恒常的に必要になりますし、各種化学分析においても酸と塩基に関係する定量は重要です。

 酸と塩基を用いた中和滴定法は、純度または濃度が決まっている酸(または塩基)を基準に、滴定することによって塩基(または酸)の純度または濃度を決定する方法です。これは、古典的な分析手法ですが精度は高く、JISや日本薬局方などで現在もなお広く利用されています。

 最近、電量中和滴定法を用いて、酸・塩基の濃度の一次標準として使えるアミド硫酸および炭酸ナトリウムの2つの標準物質の開発を行いました。アミド硫酸は酸の純度の標準であり、例えば水酸化ナトリウム溶液の濃度の決定に利用できます。炭酸ナトリウムは塩基の純度の標準であり、硫酸や塩酸の濃度の決定に利用できます。これらの標準物質の利用により、トレーサビリティの確立した分析が容易に行えるようになりました。

電量中和滴定法

 電量中和滴定法とは、電気分解に関するファラデーの法則に基づく精密な測定法です。この方法では、電解液中の水を電気分解し、次のような反応で水酸化物イオンを発生させます(2H2O → H2↑ + 2OH)。この水酸化物イオン(OH)は塩基として働き、目的物質の酸を中和できます。電気分解で発生した水酸化物イオンの量(モル)は、流れた電気量(電流値×時間)から計算できますから、電気量の測定によりほかの化学物質を基準とせずに酸を定量できます。この方法を用いて、アミド硫酸の酸としての純度(質量分率)は99.986 %±0.010 %(包含係数k=2)、炭酸ナトリウムの塩基としての純度(質量分率)は電量滴定法で決定した硫酸を用いた逆滴定法によって99.970 %±0.016 %(包含係数k=2)という高い精確さで決定されました。

 今後も、電気化学的手法の高度化を中心に研究を進め、ニーズのある高純度物質の純度決定・供給を行っていく予定です。

電量中和滴定装置の反応セルの写真

電量中和滴定装置の反応セル
白金作用電極(右側)および銀対極(左側)を有し、両極を寒天層と複数のガラスフィルターで分離している。試料は右側に入れ、複合ガラス電極で反応終点を決定する。


朝海 敏昭の写真

朝海 敏昭 あさかい としあき
朝海連絡先
計測標準研究部門 無機分析科
無機標準研究室
研究員
(つくばセンター)

2008年に入所。入所前から標準物質データベースや計量行政など標準物質に関係した業務に携わってきました。入所後は、無機の高純度物質の純度決定法の高度化、標準物質開発を行っています。今後も外への広い視野をもってニーズに即した研究・開発を行い、分析の信頼性向上に貢献していきたいと考えています。


関連情報:

●共同研究者
日置 昭治(産総研)

 


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