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エネルギー・環境関連分野で米国の6 つの国立研究機関と研究協力覚書を締結

 産総研は、エネルギー・環境分野における米国との研究協力の強化・推進を図り、低炭素社会の実現に向けた技術開発を加速するため、5月初旬、二階経済産業大臣訪米に野間口理事長が同行し、エネルギー省傘下の5研究機関および商務省傘下の国立標準技術研究所と研究協力覚書を締結しました。

 産総研と米国の研究機関との研究協力は、2006年8月の二階経済産業大臣のニューメキシコ州訪問を契機に活発化し、2007年12月にはロスアラモス国立研究所との燃料電池・水素分野での共同研究が開始されました。2009年1月に発足したオバマ政権は「グリーン・ニューディール」政策を掲げ、エネルギー・環境分野を中心とした研究開発の推進により、持続発展可能な地球社会の実現に向けた新産業創出を目指しています。わが国政府もこれに呼応し、2009年2月の日米首脳会談において、日米間におけるエネルギー・環境分野の研究協力を推進することを確認するなど、両国間の本分野における協力の気運は急速に高まってきています。

 これらを背景に、本年初めより産総研のエネルギー・環境分野の専門家が経済産業省の担当者などとともに数次にわたり訪米し、米国国立研究所と意見交換を行い、研究協力覚書を締結する運びとなりました。今回、研究協力覚書を締結した研究機関と具体的な研究協力分野の候補は以下の通りです。

(1)ロスアラモス国立研究所(LANL): 燃料電池・水素、材料に関する計算科学、CCS(二酸化炭素地下貯留)の分野で協力。
(2)サンディア国立研究所(SNL): 太陽光発電、ナノ電子・ナノ材料、材料に関する計算科学の分野での協力と、ナノテク共同利用施設の相互利用。
(3)国立再生可能エネルギー研究所(NREL): 太陽光発電、バイオ燃料(セルロース原料)、エネルギー分析の分野で協力。
(4)ローレンスリバモア国立研究所(LLNL):バイオ燃料(セルロース原料)、燃料燃焼の分野で協力。
(5)ローレンスバークレー国立研究所(LBNL): バイオ燃料(セルロース原料)、エネルギー用ナノ材料、CCS(二酸化炭素地下貯留)の分野で協力。
(6)商務省国立標準技術研究所(NIST):主に国際標準化を目指す研究開発において協力。

 今回の訪米において、野間口理事長は、5月1日にニューメキシコ州アルバカーキにて、経済産業省と同州政府との協力覚書の締結式に同席し、リチャードソン知事やサンディア、ロスアラモス両国立研究所長と面会しました。5月4日午前には、メリーランド州ゲイサーズバーグの国立標準技術研究所を訪れ、研究協力覚書を締結しました。同日午後には、ワシントンDCのエネルギー省にて、二階大臣とチュー・エネルギー長官との会談に同席し、会談後に、エネルギー省傘下の5研究所と研究協力覚書を締結しました。

 これらの研究協力の実施にあたり、本年度は20人弱の研究者を派遣するとともに、今後の共同研究の実施、研究者交流など、さまざまな研究協力活動の円滑な遂行を図るための連携研究拠点の整備を図ることとしています。

経済産業省とニューメキシコ州との協力覚書締結式の写真
経済産業省とニューメキシコ州との協力覚書締結式

ギャラガー国立標準技術研究所副所長と 野間口理事長の写真
ギャラガー国立標準技術研究所副所長と 野間口理事長

アルビズ国立再生可能エネルギー研究所長と野間口理事長の写真
アルビズ国立再生可能エネルギー研究所長と野間口理事長
野間口理事長と5研究所代表者の写真
研究協力覚書の締結後、二階大臣、チュー・エネルギー長官とともに記念写真に収まる野間口理事長と5研究所代表者

セルビア共和国副首相、秋葉原事業所来訪

ジェーリッチ副首相(左)と握手する小野副理事長の写真
ジェーリッチ副首相(左)と握手する小野副理事長

 4月17日に、セルビア共和国ボジダル・ジェーリッチ副首相が、在東京セルビア共和国大使館イヴァン・ムルキッチ大使とともに産総研秋葉原事業所を訪問されました。

 当日は、小野副理事長の歓迎挨拶、国際部門からの産総研の概要説明に続いて、意見交換が行われました。また、今井情報セキュリティ研究センター長より、当研究センターにおける研究の概要を説明しました。当研究センターでは、セルビア共和国出身のミハイエビッチ博士が2006年から招聘(しょうへい)研究員として研究に従事しています。

 旧ユーゴスラビア社会主義連邦共和国と日本は1981年に科学技術協力協定を調印していますが、その協定は現セルビア共和国にも引き継がれています。副首相からは、セルビア共和国における科学技術への取り組みの現状、同共和国のFP7やCERNなどの欧州のプログラム・プロジェクトへの参画の紹介、科学技術協定をベースとしての、日本、とりわけ産総研との協力の発展への希望などが述べられました。さらには同副首相が、本年秋にも日本に再訪される折りに産総研を再訪したいとの意欲を表明されました。

 今回の副首相ご来訪が、人的交流を含む幅広い研究協力の契機になるものと期待されます。

第17回化学・バイオつくば賞受賞

第17回 化学・バイオつくば賞表彰式の写真
第17回 化学・バイオつくば賞表彰式

 化学・バイオつくば賞は、財団法人化学・バイオつくば財団が、茨城県つくば市とその周辺に拠点を置く研究所や企業で、化学およびバイオ関連の分野において優れた業績を挙げた研究者に授与するものです。今年度は5月26日に表彰式があり産総研から次の業績が受賞しました。

 「内部熱交換型蒸留塔の基礎研究とプロセス開発」中岩 勝(産総研環境化学技術研究部門)、野田 秀夫(関西化学機械製作株式会社)、堀内 均平 (丸善石油化学株式会社)、中西 俊成 (木村化工機株式会社)、高松 武一郎 (京都大学名誉教授)

新しい生命現象と創薬シーズ探索のための「ゲノム暗黒物質」の研究
バイオメディシナル情報研究センター 機能性RNA工学チーム 廣瀬 哲郎(ひろせ てつろう)(臨海副都心センター)

廣瀬 哲郎の写真1
研究室にて

 バイオメディシナル情報研究センターでは、遺伝子産物であるタンパク質やRNAの構造と機能を解析し、その機能を制御する物質を提供する一連の創薬基盤技術の開発を産学官の連携により進めています。また、全遺伝子産物の統合データベースの作成と公開を行っています。

 廣瀬さんは、機能性RNA工学チームの研究チーム長として、最近注目を集めている非翻訳RNA(ncRNA)の機能解析や、解析技術の開発を行っています。主に疾患(しっかん)や再生分化などの医療分野における成果の利用が期待されています。

廣瀬 哲郎写真2廣瀬さんからひとこと

  ncRNAは機能がほとんどわからないことから「ゲノムの暗黒物質」とも呼ばれ、ゲノム産物として今世紀に入ってから注目されています。ヒト特有の脳機能や難治疾患に関わり、ライフサイエンス分野に新しい潮流をもたらす可能性を秘めていますが、その研究には未開拓分野を切り開くたいへんな困難がつきまといます。そんな中でRNAの独自機能を妥協なくつかみ取るために、日々奮闘しています。タンパク質を中心に展開してきた生物学の世界で、暗黒物質ncRNAがどのような裏のプログラムを動かしているのかを明らかにし、画期的な創薬開発基盤を確立したいと考えています。


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