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AIST Network

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新研究センター紹介 2009年4月1日に2つの研究センターが発足しました。

活断層・地震研究センター Active Fault and Earthquake Research Center

 今後30年間の東海・東南海・南海地震の発生確率は50%以上に高まっており、また、21世紀に入って内陸地震が多発していることから、今世紀の前半の日本列島は、複数の大きな地震に襲われる可能性が高いと考えられています。これらの地震による被害をできる限り小さくするために、地震の予測が期待されています。産総研では、地形・地質・地球物理・地震工学などの専門分野の研究者が活断層および地震の研究を融合的に推進して、「地震を総合的にとらえる研究」を開始します。

 当研究センターは、ミッションとして(1)内陸地震の評価手法の高度化、(2)海溝型地震の評価手法の高度化、(3)地震災害予測モデルの高度化を掲げ、今後発生する地震の場所・規模・発生確率の予測精度を向上させるとともに、さらに被害を予測するための研究を進めていきます。

図
活断層・地震研究センターが目指す分野融合的な研究の展開

メタンハイドレート研究センター Methane Hydrate Research Center

 世界の大陸縁辺部の海底下や永久凍土層の下に、高圧・低温条件下に存在しているメタンハイドレートは、メタンと水からなる包接水和物であり、その体積の約160倍のメタンガスを含むことから、新たな天然ガス資源として注目されています。わが国の排他的経済水域(EEZ)内においても、多量の存在が確認あるいは推定されており、その原始資源量はわが国の現在の天然ガス年間消費量の数十年分に相当するとされています。

 当研究センターは、この資源から安全で経済的に天然ガスを生産する技術の開発に取り組み、CO2排出量の少ないエネルギーの安定供給の確保と新たなエネルギー産業の創出に貢献することを目標としています。また、開発した技術を遅滞なく商業化するために、企業への技術移転や人材育成を進めていきます。このように、わが国のエネルギー供給の多様化とその長期的な安定供給確保に大きく貢献することを目指します。

東部南海トラフのメタンハイドレート層から採取した天然試料(左)と微小領域のX線CTスキャン像(右)の写真
東部南海トラフのメタンハイドレート層から採取した天然試料(左)と微小領域のX線CTスキャン像(右)緑:メタンハイドレート、赤:水、青:メタンガス、灰色:砂

文部科学大臣表彰

 平成21年度科学技術分野の文部科学大臣表彰が、4月14日に行われました。以下3つの部門に、産総研から20名が受賞しました。

 <科学技術賞 研究部門>
 わが国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究または発明を対象とした賞
 「超高真空用高精度冷却試料ゴニオメーターの開発」 相浦 義弘
 「グリーン調達対応プラスチック標準物質の開発」 日置 昭治・大畑 昌輝・衣笠 晋一・松山 重倫
 「窒化アルミ薄膜の圧電特性の解明と振動センサの研究」 秋山 守人・上野 直広・田原 竜夫・岸 和司・野間 弘昭
 「科学技術計算用グリッドミドルウエアの研究」 関口 智嗣・田中 良夫・中田 秀基
 「世界最高精度の平面度標準実現のための研究」 高辻 利之・尾藤 洋一・大澤 尊光

 <若手科学者賞>
 高度な研究開発能力を有する若手研究者を対象とした賞
 「初期知覚系による情報の選択・統合の研究」 小村 豊
 「骨導超音波知覚の解明と新型補聴器への応用に関する研究」 中川 誠司

 <創意工夫功労者賞>
 優れた創意工夫により技術の改善向上に貢献した者を対象とした賞
 「密度浮ひょう用衡量法校正装置の改善」 福田 健一
 「地質図類メタデータ作成とデータベース公開の考案」 渡邉 和明

平成20年度「産総研イノベーションスクール」修了式

 産総研は2008年7月31日に産業技術の研究開発・技術開発に携わる人材の育成を目指す産総研イノベーションスクールを開校しました。2009年3月23日に修了式を行い、受講生に修了証書の授与を行いました。来賓として、経済産業省 産業技術環境局 産業技術政策課 小林課長および住友電気工業株式会社 研究企画部 祖川主幹を迎え、小林課長からは「自分の幅を広げる」、祖川主幹からは「キャリアに1つの広がりをもたらした」、吉川理事長からは「研究者として非常に深く研究すること」、小野副理事長(スクール長)からは「研究者に欠けているところを補い、よりパワーアップした」、伊藤理事(副スクール長)からは「若い多彩な方々が心を1つにして相乗効果を発揮したときにイノベーションは起きる」、景山産業技術アーキテクト(副スクール長)からは「自信を付けた、説明の仕方に迫力が出てきた」と、お祝いや励ましの言葉をいただきました。最後に、受講生代表者から「広い視野と、企業・大学・研究所での文化の違いや進め方の違いを学んだ」と挨拶があり、8ヶ月にわたる平成20年度のスクールを閉じました。

修了式の集合写真
修了式での集合写真

「作り方」の科学から「使われ方」の科学へ
産総研サービス工学シンポジウム開催報告

 「サービスイノベーションで持続型社会へ」というテーマで、3月24日に産総研サービス工学シンポジウムを開催しました。このシンポジウムは、サービス産業界の自主的な生産性向上運動の実施母体であり、産総研が2007年12月6日に相互協力協定を締結したサービス産業生産性協議会と共催し、経済産業省の後援を受けて開催されました。

 シンポジウムは、経済産業省でサービス工学政策を所掌する商務情報政策局 サービス政策課の田中 茂明課長と、サービス産業生産性協議会の常任幹事であり、また財団法人 社会経済生産性本部(2009年4月1日に財団法人 日本生産性本部に組織名を変更)の谷口 恒明理事長より来賓挨拶をいただき開会しました。そして、今後の製造業とサービス産業がどのように関係すべきか、特にメンテナンスやリユースなどの環境サービスという視点から講演とパネルディスカッションを行いました。

 基調講演は産総研と産業界から行い、産総研サービス工学研究センター長でもある吉川 弘之理事長(当時)より製造業とサービス産業がどのように関係し、相互が連携することによって、産業が持続的に進化していくことが報告されました。次に、産業界の事例として、株式会社 三洋電機エコロジー研究所の小澤 芳男氏より食品スーパーなどの具体的な事例も使い、IT技術を活用し、店舗での空調機器の計測による継続的“カイゼン”活動を通じて省エネ・ソリューションを深化させること、そして今後は実験室での開発や機器生産現場から積極的に飛び出し、機器が使われる日常の現場へ活動領域を展開して、技術開発を行っていくことの重要性が指摘されました。

 パネルディスカッションには、大阪大学大学院工学研究科の梅田 靖教授、株式会社 ガリバーインターナショナルの村田 育生専務取締役、澁谷工業 株式会社の村中 志有ITソリューション部長とともに、産総研から先進製造プロセス研究部門の手塚 明副研究部門長とサービス工学研究センターの本村 陽一大規模データモデリング研究チーム長が参加し、モデレータはサービス工学研究センターの内藤 耕次長が務めました。

 議論では、日常のサービス現場で利用される製品にはさまざまな利用履歴情報が蓄積され、これらの情報がメンテナンスやリユースを通じて抽出され、サービスや製品の再設計により新たな価値を生んでいること、そして、日常のサービスと製品製造の結節点にあるこれら「環境サービス産業」の生産性向上とイノベーションが喫緊の課題であり、持続型社会の構築に向け重要であることが議論されました。これを実現するために、研究開発をこれまでの新たな製品の「作り方」から、製品自体の「使われ方」の研究に転換すると同時に、実験室から日常の現場に出ていかなければならないことが指摘されました。

平成21年度「産総研イノベーションスクール」の開校

 昨年度に引き続き産総研イノベーションスクールの開校式を、経済産業省 産業技術環境局 大学連携推進課 谷課長、日本電気株式会社 ナノエレクトロニクス研究所 田原所長および住友化学株式会社 筑波研究所総務部 藤田部長をお迎えし、4月15日に産総研で行いました。このスクールは平成20年度に産総研独自の取り組みとして始めたものです。研究ユニット長などの講義や研修、企業の協力による実践的なOJTなど、特徴のあるカリキュラムを実施することにより専門分野の知見と、より広い視野やコミュニケーション能力を養います。また、大学、公的研究機関、企業という3つの異なるセクターすべてで研究の実績を積み、企業などで即戦力となる人材の育成を目指すという、今までにない取り組みです。今後はほかの独立行政法人や大学などへの広がりも期待しています。昨年度は10名でスタートしました。今年度は、定員の3倍以上の応募があり、67名を選考しました。開校式では歓迎の言葉だけではなく、決して受け身の態度ではなく、自らがスクールの重要なプレーヤーだということを自覚するようにとの檄(げき)も飛びました。

開校式の集合写真
開校式での集合写真

世界最大規模の産業見本市 ハノーバー・メッセ2009に出展

産総研ブースの写真
メンタルコミットロボット「パロ」(地元紙にも掲載された)などが人気の産総研ブース

 産総研は、4月20日〜24日にドイツ・ハノーバー市で開催された産業見本市「ハノーバー・メッセ2009」に出展し、「サステナブル社会の実現に貢献する産総研」というコンセプトのもと、産総研が開発した最先端技術の中から、環境に優しい新素材・プロセス、省エネルギー技術、加工技術、人間生活を支援するデバイスやロボットなどに関する技術を展示しました。

 世界的な不況にもかかわらず、メッセへの来場者および出展社は昨年と比べて微増しました。産総研の出展にも多くの方が訪れ、また、本年2月に包括協定を締結した韓国産業技術研究会(ISTK)の韓 郁理事長などVIPの訪問もあり、優れた技術を持つ産総研の存在を国際的にアピールする絶好の機会になりました。

平成21年春の叙勲

 瑞宝中綬章 小川 克郎  元工業技術院地質調査所長

 瑞宝中綬章 鈴木 修   元工業技術院生命工学工業技術研究所長

 瑞宝小綬章 佐藤 庄平  元工業技術院総務部筑波研究支援総合事務所長

 瑞宝双光章 松尾 伸介  元工業技術院九州工業技術研究所総務課長

安全・安心なIT社会へ向けて
情報セキュリティ研究センター セキュリティ基盤技術研究チーム 繁富 利恵(しげとみ りえ)(東京本部)

繁富 利恵の写真1
チームミーティングにて

 情報セキュリティ研究センター(RCIS)は、名前の通り、情報セキュリティに関する研究を行っています。現状よく行われがちな穴(セキュリティホール)を見つけて取りあえず埋めるということではなく、世の中を抜本的に安全な世界へ導き、同時に使いやすくなる世界へ導く技術開発を行っています。

 繁富さんは、プライバシー保護技術を専門とし、暗号技術を基にした個人情報を保護しながらセキュリティを確保する技術の研究に取り組んでいます。一例として、認証を行いながら誰であるか特定することができない技術として匿名認証の研究があげられます。ここでは、理論的な研究だけでなく実装も行うことにより、より安全で、かつ使いやすい技術へ向けた研究を行っています。また、プローブカーにおける個人情報保護に関する国際標準化への取り組みや内閣官房情報セキュリティセンターの施策策定にもかかわっています。

繁富 利恵の写真繁富さんからひとこと

 暗号は、難しいし、よくわからないと言われます。それをセキュリティに適用したといっても、どうやって、なんで、という問いかけを常に受けます。しかし、難しいことをできる限りわかりやすく表現することは、研究にはとても大事なことです。自身で行う匿名認証だけでなく、基本的な公開鍵暗号の説明など、少しでも皆さんにご理解いただけるような説明をしなければなりません。また、セキュリティがなぜ大事か、という問いにも明解に答えていけるよう心がけたいと思います。


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