高性能な二酸化炭素吸着材
安価で大量合成が可能な材料でありながら、大気圧以上の圧力で二酸化炭素を10 wt%以上吸着でき、大気圧まで圧力を下げるだけでその大部分を放出できる、高性能なSi(ケイ素)−Al(アルミニウム)系二酸化炭素吸着材を開発しました。
高性能無機系吸着材の開発
今回開発した無機系二酸化炭素吸着材の合成は、まずケイ素源(例えばオルトケイ酸ナトリウム水溶液)とアルミニウム源(塩化アルミニウム水溶液など)を混合し中和します。その後1日加熱を行うこと(水熱合成)で、部分的にイモゴライト構造をもつ非晶質アルミニウムケイ酸からなる二酸化炭素吸着材が得られます。特殊な試薬は必要なく、一般的なゼオライトの合成にも用いられる安価なケイ素源とアルミニウム源から合成できます。また、収量も1 ℓあたり数10g程度と、工業的な生産が可能なレベルに達しており、合成コストも市販のゼオライトと同じレベルまで下げられると推測します。さらに、無機系であることから、300 ℃程度の耐熱性があります。
図は大気圧をゼロ基準(大気圧101 kPaを0 kPaとして圧力軸をシフト表示し、大気圧からどれだけ加圧されたかを示す)としたときの二酸化炭素吸脱着等温線で、開発した吸着材の二酸化炭素吸脱着等温線(赤)と、現在圧力スイング吸着法(PSA)用吸着材として用いられているゼオライト13 Xの吸脱着等温線(青)を示します。開発した吸着材は、大気圧以上の圧力では、圧力を高めると二酸化炭素の吸着量が増加し、また吸脱着ヒステリシスがほとんどないことから繰り返し利用できます。0 kPa(大気圧)〜約900 kPa(10気圧)の圧力範囲での二酸化炭素吸着量は、ゼオライト13 Xの2倍以上です。また、0 kPa(大気圧)まで圧力を下げると、吸着した二酸化炭素はほとんど放出されます。
ゼオライト13 Xは真空から大気圧までの吸着量が多いのですが、脱着に際してはかなりの低真空まで圧力を下げる必要があります。PSA法による二酸化炭素の回収には、低真空〜大気圧程度までの領域で二酸化炭素の吸脱着を行うよりも、大気圧以上の領域において二酸化炭素の吸脱着を行う方がエネルギーとして効率的といえ、この技術の吸着材が有利です。
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今後の展開
今後PSA材料としての適性を検討するとともに、吸脱着を行う圧力範囲、共存ガスの吸着選択性や性能への影響などについて研究を行います。また、今回開発した二酸化炭素吸着材は、大気圧以上の圧力範囲でも吸脱着ができるという特徴的な吸着性能をもつので、新しい用途の開発を目指した研究も進めていきます。

鈴木 正哉 すずき まさや