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徳島大学大学院工学研究科電子工学専攻修士課程を修了し、1986年四国工業技術試験所(現産総研四国センター)に入所。入所以来、ロボットやクレーンなどのメカトロシステムの制御とカオス解析、太陽光発電システム、光ピンセットなど、多様な分野の研究テーマに従事してきました。入所当時の最初のテーマであった果実収穫ロボットも、研究者の夢としていつか実現できればと願っています。 |
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田中 芳夫(たなか よしお) |
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本格研究ワークショップより
本格研究 理念から実践へ |
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"健幸"社会の実現に向けた本格研究
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[ PDF:1.4MB ] | |
光ピンセットと高度自動化技術の融合によるマイクロ操作 |
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本格研究シナリオの2面性私の所属する健康工学研究センターでは、活力ある長寿社会の実現、すなわち、健幸(HP)3※社会の実現に向けて、生命科学、化学、応用物理などの異分野の研究者が、各自の得意とする専門分野での第1種、第2種基礎研究の成果を挙げつつ、それと並行して重点研究や大型予算プロジェクトに基づく研究協力の実施により、基礎研究の成果を互いに融合・統合し、成果実用化に向けての本格研究を推進するというシナリオで、チーム、さらにはユニットとしての研究を展開・推進しています。 このように、本格研究の推進には、広範囲な分野をカバーできるチーム研究が理想的な形態であることは明白です。しかし一方で、チーム研究では構成員が明確な目的意識(成果実用化に向けた本格研究の推進)を共有できていない場合、本来は自律性・夢をもって研究を遂行すべき研究者が、単なる組織の歯車の1つとしての研究、表現が適切でないかもしれませんが、いわゆる消化研究を行ってしまう危険性を持ち合わせていると思います。このような本格研究推進に係わる組織研究の危険性を回避するには、組織と個人という本格研究遂行シナリオの2面性を常に意識して研究することが重要だと思います。個人としての本格研究遂行シナリオとは、各自が第1種、第2種基礎研究で生み出したシーズを、研究者の夢の実現として人類・社会に直接役立つ実用化のレベルまで育て上げようとする意識を、常に持ち続けることであると考えます。 光ピンセットと高度自動化技術の融合化計測制御を専門とする私は、第2種基礎研究を主軸として、非接触マイクロ操作技術である光ピンセットと高度自動化技術である画像処理や制御技術を統合・融合化することでマニピュレーション機能の高度化・高精度化を図り、光学顕微鏡下の汎用マイクロ操作技術としての確立(学術的貢献)を目指すとともに、健康・医療に係わる新規Micro−TAS開発などへの応用展開(成果実用化)を念頭において、チームと個人レベルの2つのシナリオの下で研究を展開してきました。 以下、個人レベルのシナリオ部分の成果について紹介します。計測制御は、本来、分野横断型の学問であるため、特定の分野にとらわれない普遍的・抽象的アイデアを創出することを得意としました。しかし必要に応じて異分野の技術を統合・融合するという第2種基礎研究を主軸に置いたことで、私がこれまでに従事した研究プロジェクトで獲得した画像処理、ロボット工学、光ピンセットなどの異分野の知識を活用することで、個人レベルでも本格研究遂行シナリオを比較的容易に描くことができました。 図1は、光ピンセットと高度自動化技術という2つの技術の融合・統合化で生み出される技術シーズと応用の期待できる4つの分野を示しています[1]。個人レベルのシナリオにおいても、最終応用形態をイメージすることで解決すべき課題が明確になり、その結果、第1種、第2種基礎研究の成果として「光てこ」[2]や「多点光クランプ」[3]というこれまでの光ピンセットでは操作できなかった球以外の形をした珪藻やウイスカなどの微小物を精密操作できる新たなマイクロ操作法を生み出すことができました。これらは、伝統的な応用物理(光学)を主軸とした研究アプローチでは、決して生まれなかった技術シーズであると思います。また、多数の光ピンセットと画像処理の融合化による並列化・自動化・知能化という視点で、DNAチップなどの静的なマイクロチップにかわる技術としての「動的微粒子アレイ」という、より実用化に近いレベルの研究も進めています。これも、これまでの化学工学を主軸とした第1種基礎研究では、決して生まれてこない研究アプローチであると考えています。
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今後の展望と取り組み本格研究シナリオの最終ステージである実用化・製品化には、応用分野は大まかにイメージできているものの、既存の光ピンセット関連特許との差別化など、具体的製品としての成果実用化という指標では、これら技術シーズの可能性に興味を持っていただける企業探しを含め、これからという段階です。しかし、第2種基礎研究を主軸においた本格研究遂行シナリオにより、伝統的な第1種基礎研究に主軸をおいた研究では発想しないアプローチを採れたことは、競争的外部予算を獲得し、先に述べた技術シーズを生み出す上で大きな強みとなりました。本格研究の遂行においては、チームと個人という2つのシナリオを常に念頭において研究を展開することが、悪夢を乗り越え、夢の実現に向けて生き生きと研究する上で大切だと思います。今後も、健幸社会の実現に少しでも寄与できる新たな技術シーズの創出とその実用化に向けて、一歩一歩着実に本格研究を遂行していきたいと考えています。なお、今回紹介した成果の一部は、科研費(科学研究費)基盤研究(C)とJST(独立行政法人 科学技術振興機構)シーズ発掘試験Aの助成を受けて行われました。関係各位に感謝いたします。 参考文献 [1] 田中芳夫: 電子情報通信学会誌, 85(10), 736-739 (2002). ※…健幸(HP)3:健康を捉えなおす新たな健康観、(HP)3とは健幸社会を構成するマトリックスである、Health、Happiness、Humanity、Prevention、Prediction、Participationの頭文字である3つのHとPを表している。 |
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