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霧島火山2008年噴火の緊急調査

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噴火の規模の迅速な把握にむけて


火山噴火の噴出量

 火山噴火は時として大きな災害を引き起こします。今後、噴火がより激しい活動に向かうのか、あるいは終息に向かうのかといった噴火推移の予測は、災害対応にとってきわめて重要な役割を果たします。噴火推移の予測のためには、地球物理学的・地球化学的な観測とともに、噴火によって地表にもたらされた噴出物の地質学的手法による解析から得られる知見が重要な手がかりになります。

 地質学的手法により得られる観測量として重要なのは、噴火によってどれだけの量が地上に放出されたかを示す“噴出量”で、噴火のエネルギーを見積もる重要なパラメーターの1つです。広範囲に飛散する火山灰の総量を正確に知るためには、降灰地域のどの地点にどれだけの量の火山灰が降下したかを測定し、その分布をある関数で近似し、それを積分して算出しますが、火山灰の分布を再現する関数については大気中における火山灰粒子の挙動に関するさまざまな物理モデルからその妥当性が議論されています。私たちは、噴煙が拡散するにつれて単位面積当たりに降下する火山灰の量が「べき乗則」に従って減衰するモデルを採用し、さまざまな噴火事例に適用してその妥当性を検討しています。 

霧島火山2008年噴火

 2008年8月22日、宮崎・鹿児島県境にある霧島火山の1つである新燃(しんもえ)岳火山が49年ぶりに噴火し、その後の活動の活発化が心配されました。私たちは直ちに現地調査を行い、各地点における火山灰の量を測定するとともに試料を採取しました。このような少量の火山灰は噴火後の風雨によって容易に乱されるため、正確な情報を得るためには噴火直後の迅速な調査が欠かせません。調査の結果、今回の噴火による噴出量は約20万トンと推測されました。この噴出量は当初考えられていたよりも多く、2000年3月31日に発生した有珠山の噴火とほぼ同じ規模であることが判明しました。また噴出物の構成粒子の解析から、今回の噴火は火山体内部の熱水活動が大きな役割を果たしていたこともわかりました。

 しかし、火山活動についてはまだわらないことがたくさんあります。例えば今回の噴火がなぜ発生したのかについても、私たちは十分な科学的な裏づけを持って説明できる段階にはありません。こうした問題を解決するためにも、私たちは実際の噴火観測や過去の噴出物の調査などを通して、火山活動を支配する地下のマグマや熱水の活動メカニズムの解明を目指しています。

霧島火山新燃岳2008年噴火による火山灰の写真
霧島火山新燃岳2008年噴火による火山灰
降灰分布地域内の多くの地点で層の厚さあるいは単位面積当たりの火山灰重量を測定し、その分布図を作成する。こうした火山灰層は風雨などで容易に失われるので、噴火直後の迅速な調査が求められる。

下司 信夫と宝田 晋治の写真

下司 信夫 げし のぶお(写真右)
下司連絡先
地質情報研究部門
火山活動研究グループ
研究員
(つくばセンター)

火山野外地質調査から、火山とその活動を制御する地下のマグマ供給系の構造発達過程のモデル化を進めています。野外地質学・構造地質学・岩石学などさまざまな手法を組み合わせることにより、目に見えない地下の現象や、長いタイムスケールの現象を扱えることが地質学の魅力であると考えています。

宝田 晋治 たからだ しんじ(写真左)
宝田連絡先
地質情報研究部門
統合地質情報研究グループ
主任研究員
(つくばセンター)

火山地質学が専門で、火砕流など火山で発生する重力流を研究しています。1998年北海道駒ヶ岳火山、 2000年有珠火山の噴火においては降灰調査によって噴出量測定を行い、噴火の推移予測に役立てました。最近では、GEO Gridプロジェクトにおいて、ITと火山を融合した重力流シミュレーションの研究も行っています。社会との接点の広い火山研究はまさに第2種基礎研究であり、研究成果を直接社会に還元できるところが研究の醍醐味(だいごみ)です。


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