曝露・リスク評価大気拡散モデル(ADMER)の公開
化学物質の広域大気中濃度分布や曝露人口分布を予測するソフトウエアADMER(Atmospheric Dispersion Model for Exposure and Risk Assessment)をバージョンアップし、2008年8月5日から無償でダウンロードできるようにしました。
ADMERは、日本の各地域における化学物質の大気中濃度を排出量と気象条件から計算するモデルであり、2002年から無償公開してきました。今回のバージョンアップでは、Google EarthTMの衛星写真上での濃度マップ表示、並列計算処理による高速化、操作性の向上、気象庁アメダスデータのダウンロード機能の搭載などの改良を行いました。Google EarthTMを利用して大気汚染濃度の分布を表示するソフトウエアは、日本では初めてです。
今回のバージョンアップのポイント
(1)Google EarthTMでの化学物質の大気中濃度マップ表示
以前からADMERには地図表示機能がありましたが、背景地図は市町村境界程度のものしか内蔵されていないため、詳細な地図は別に入手する必要がありました。そこで、Ver.2.5では、Google EarthTMの衛星写真の上に計算結果(濃度マップ)を表示する機能を加えました。Google EarthTMを利用することにより、ユーザーは高価な地図データを使用せずに簡便かつ無償で詳細な地図データを背景として利用することが可能となりました。
(2)並列計算処理による高速化
化学物質の大気中への拡散計算を並列処理することにより高速化を図りました。市販のクアッドコアCPUを搭載したパソコンを用いる場合、計算が約3倍高速化されました。
(3)サブグリッドグループの導入
従来のVer.2.0では、サブグリッド計算を行う場合、ADMERグリッドを1つずつサブグリッド計算対象として登録しなければならず煩雑な操作が必要でした。Ver.2.5では、複数のADMERグリッド(サブグリッドグループ)をまとめて、一度に計算できるように改良しました。
(4)アメダスデータダウンロード機能
必要なデータだけを専用フォーマットで、産総研のADMERサイト※からネットワーク経由にてダウンロードできるようになりました。これにより、アメダス観測年報CD−ROMを用いなくても、ADMER用気象データが作成可能となりました。
(5)その他の改良点
プログラム本体や各種データを、容易にバージョンアップできるようになりました。また、表示色や階級値の設定操作を使いやすくするなどの改良も同時に行いました。
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| ADMER Ver.2.5でのGoogle EarthTMを用いた大気中のベンゼン濃度分布表示の例 |
今後の展開
今後は、データの自動アップデート機能を利用して、気象データや各種指標データなどの供給を行っていきます。また、講習会などを通じてADMERの普及を図りたいと考えています。

東野 晴行 ひがしの はるゆき