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レアメタル |
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産総研レアメタル・タスクフォース |
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レアメタルとは何か3年程前から、「レアメタル問題」とか「レアメタル危機」という言葉を見聞きすることが多くなりました。レアメタルのレアは、英語のRARE(レア)=希少な、希薄な、まれな、という言葉ですが、学術的に定義された言葉ではなく、どの元素をレアメタルと呼ぶかということについてもコンセンサスはありません。近年は、経済産業省の定義に従って、図1に示されている47の金属元素をレアメタルと呼ぶケースが多くなっています。図中の17種類の希土類元素(レアアース)を1種類とカウントして31元素と数えることもあります。自然界に存在する元素は89種類ですから、半分以上の元素がレアメタルということになります。 チタン、マンガン、クロムといった、地殻中に大量に存在する元素もレアメタルとされています。これは、マンガンやクロムは、昔から鉄の特性を向上させる添加物として使われる、工業社会に必要不可欠な元素であったためです。チタンは酸化物として大量に存在する鉱石の精錬に高度な技術が必要で、製造が難しい金属です。一方、歴史的経緯から、古くからの貴金属である金、銀はレアメタルとは呼ばれません。
産業のビタミンから産業の生命線へレアメタルは以前から「産業のビタミン」といわれて、産業上の重要性が認識されてきました。しかし、近年、レアメタルを使わないと作れない製品に、産業が大きく依存するようになり、レアメタルは「産業の生命線」になっています。 レアメタルが大きな役割を果たしている、または将来は果たすであろう製品の代表的な例を紹介しましょう。 現在の自動車、および開発中の省エネ・低環境負荷型の自動車とレアメタルの関係の例を図2に示します。今後、どのようなタイプの自動車が開発されても、レアメタルがますます重要になることが分かります。 もう1つの例として、液晶テレビがあります。最近、急激に生産台数が拡大し、画面も大型化している液晶テレビのパネルには、透明導電膜(ITO)の成分として、非常に希少なレアメタルであるインジウムが不可欠です。
なぜレアメタルが問題かこのようにレアメタルの重要性が増しているにも関わらず、その供給の将来が必ずしも安心できるものでなく、近年、価格も大きく高騰したことが、大きな問題となっています。その国際的な背景として、以下のことがあります。
経済のグローバル化、製品のモジュール化の進展などが、多くの製品の生産力の爆発的増加を可能にしていることも、レアメタルの需給バランスが急変する危険性を高めています。 安定供給が危惧されているレアメタルには、(1)埋蔵鉱量や生産量が極少なく、さらに少数の国に偏在している元素(白金族元素、タングステン、重希土類元素など)、(2)別の資源を採掘する際の副生産物として極少量しか生産されないため、需要に応じた生産増加が困難な元素(インジウムなど −主に亜鉛の副産物として産出−)などがあります。[1][2] 産総研レアメタルタスクフォースとその目指すもの資源小国であるわが国が、将来も「ものづくり」を重視しつつ、新産業を創出し、先進工業国としての地位を保っていくためには、レアメタルの供給不安を緩和する、レアメタル資源セキュリティのレベルを高めていくことが望まれます。 そして、新技術の開発で問題を解決していくことが、わが国の産業にとって大きなチャンスの創造に繋がると考えられます。 公的研究機関で実施可能な対策としては、新資源の探査による資源供給の選択肢の多様化、個別の製品に対応する省資源使用技術および代替材料技術の開発、リサイクル技術の確立があります。また、投機を抑制するためには、適切な情報発信に努力することも重要です。そして、それらは、資源の需給を通じて相互に強く影響します。 産総研は、レアメタルに関わる前述の研究開発要素のほとんどを組織的に行っている日本唯一の研究機関です。また、レアメタルの研究という意識が無くとも、非常に多くの研究員が、レアメタルの特性を利用した技術開発に携わっています。しかし、これまで複数の研究ユニットが自らのポテンシャルを生かして、個別課題に取り組んできたため、レアメタル問題への取り組みに必要な連携および情報発信は不十分でした。 レアメタルタスクフォースは、所内の複数の研究ユニットに跨る分野融合型の研究課題を推進することで、レアメタル問題に積極的に取り組むことを目指して、2006年に組織されました。図3は、レアメタルタスクフォースの目指している融合研究のイメージです。
サステナブルマテリアル研究部門長 |
参考文献
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