火山地質図とは?
火山噴火に対する防災計画や火山周辺の土地の利用計画を考えるためには、過去の火山活動履歴をできるだけ正確に把握することによって、その火山が現在どのような活動状態にあり、将来どのような噴火活動をする可能性があるかを推測することが重要です。また人間活動の歴史よりも長い火山活動の履歴を知るためには、地層に残されたさまざまな地質現象から、過去に発生した火山活動を復元することも必要です(写真)。活火山におけるこのような地質学的な調査研究結果をまとめたものが、産総研地質調査総合センターが作成している「火山地質図」で、これまで国内の主要な14火山について整備されています。
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現地調査が地質調査の基本
活動的火山の火口周辺には、活動履歴を示すさまざまな地質学的証拠が残されているため、特に綿密な調査が求められる。
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地質調査で解き明かされる火山の歴史
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口永良部島火山地質図(主要部)
島の中央部にある火口群やそこから噴出した溶岩流や火砕流などの分布範囲が図示されている。
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14番目の火山地質図として、九州の南海上の火山島である口永良部島火山の地質図を作成しました(図)。口永良部島火山はこれまで何度も噴火を繰り返してきた活発な火山で、たびたび被害をもたらしてきました。1980年以降噴火は発生していませんが火山性の地震が頻発し、また、しばしば山体の膨張が観測されるなど現在も活発な火山活動が継続しています。今回行われた火山地質図の調査によって、口永良部島では過去約1万年間にわたって山頂での爆発噴火と溶岩流の噴出を繰り返してきたことが分かりました。また、現在活動している新岳火口のほかに、古岳火口と呼ばれる火口もごく最近まで活発に噴火し、しばしば火砕流が山麓まで到達していたことが明らかになりました。
噴火活動による火山の変化を示すことも火山地質図の重要な役割です。北海道にある有珠火山の2000年噴火では、水蒸気爆発が繰り返し発生して噴出物を周囲に堆積させたり、貫入したマグマによって地盤が最大約70 m隆起するなど、火山の地質や構造に大きな変化がありました。有珠火山では、すでに前回の1977〜78年噴火の直後の調査結果に基づいて1982年に火山地質図が出版されていましたが、2000年噴火によって新たに形成された火口やその周りの噴出物の分布、マグマの貫入によって隆起した地域などを示した第2版の火山地質図が2007年に出版されました。
このように、火山地質図には火山の活動履歴や災害履歴に関する多くの情報が含まれています。それらは災害の可能性のあるエリアを示すハザードマップの作成や、それに基づいたより適切な火山周辺の土地利用の推進に役立てることができます。火山地質の調査は、大地に残された過去の噴火現象を解読し、将来起こりうる災害への備えを生み出すのです。
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