ロボットのための環境構造化
従来、ロボットは目的に合わせて、個々にデザインされてきました。しかし、ロボットシステム開発のコスト削減や期間短縮などのためには、異なったロボット間でも使える共通のプラットフォームが必要です。
産総研では、過去のロボットの研究開発や、独立行政法人科学技術振興機構のプロジェクトにより、家庭内でのロボットの作業を容易にする環境構造として、ユニバーサルハンドルなどの提案、作業の際に必要となる位置決めを簡単・確実にするためのビジュアルマーカー(CLUE:Coded Landmark for Ubiquitous Environments)、作業のプログラムを手間をかけずに書くための作業プログラムテンプレート(UTD:Universal Template for Doing)を開発しました。
ユニバーサルハンドル
ユニバーサルハンドルは、最近の家電などにおけるユニバーサルデザイン(高齢者、子供、障害者などでも容易に扱えるような共通デザイン)を拡張し、人間でも作業が容易であることを考慮しつつ、複数のロボット間でも作業が容易にできるようなデザインを重視しています。
通常のハンドルは、人間がつかむ動作を基本としており、把持力の弱い高齢者や子供にとっては難しい作業といえます。扉を開ける場合、ハンドルをつかむ必要はなく、開く方向に手を引っ掛ける形でデザインすれば把持力が弱くても開けることができます。ハンドルをつかんで開ける動作は、物理的な条件が厳しいこともあり、ロボットにとっても難しい作業です。ユニバーサルハンドルは、ロボットが引っ掛けるだけで開けられるようにデザインされています。
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![]() ユニバーサル密閉容器 |
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ユニバーサルハンドルとCLUE
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ビジュアルマーカー:CLUE
CLUEは、ロボットのための情報提供の手法で、人間が見ても違和感のない、または人間には見えずにロボットにだけ情報を提供できる形態を重視しています。
人間はハンドルを見ることで、位置を認識し、どのように開けるかを判断していますが、ロボットの場合は、ハンドルの位置を特定するマーカーがあり、同時にそのハンドルをどのように操作すればよいかという情報が得られると有用です。今回、ロボットの目としては工業用QRコード読取装置を用いており、読取装置からQRコードの4隅の位置を出し、その情報を用いて相対位置の検出を行いました。
作業プログラムテンプレート:UTD
UTDは、物をつかみ、移動し、離す操作を基準に、ロボットの作業を構造的に記述したテンプレートです。物理的な条件を変えるだけで、人間の作業に多い扉の開閉などに適応できる一般的なロボットの作業プログラミングの記述が簡単にできます。
このテンプレートにより、容易にロボットのプログラムを構造的に書くことが可能となり、開発コストの軽減などが期待できます。
今後の展開
人間環境においてロボットの操作対象となる器物の標準的なデザインが決まると、人間の身近な空間でのロボットの利用が広がることが期待できますし、ロボットシステム産業の創出も視野に入ってきます。平成20年度には、神奈川県ロボットパークにおいて、ロボットの実証試験を行い、実用化を目指します。

大場 光太郎 おおば こうたろう
