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新材料による高性能イメージセンサを開発

 [PDF:1MB
6倍の高感度、近赤外域(1300 nm)までの広帯域

仁木 栄の写真仁木 栄 にき しげる
仁木連絡先
太陽光発電研究センター
副研究センター長
(つくばセンター)
1991年電子技術総合研究所に入所、2004年から太陽光発電研究センターに所属。電子技術総合研究所入所以来、CuInGaSe2太陽電池の製膜・評価・デバイスに関する研究に従事してきました。現在は、普及拡大を目指したCuInGaSe2太陽電池の高性能化技術、酸化亜鉛系ワイドギャップ半導体のデバイス化に関する研究開発に携わっています。

イメージセンサの外観写真

イメージセンサの外観
(チップサイズ7.5 mm×7.5 mm)

産総研とローム株式会社の共同開発

 産総研太陽光発電研究センターとローム株式会社(以下ローム)は、次世代太陽電池の材料として注目されているCuInGaSe2(CIGS)系の薄膜をCMOS-LSI上に積層させた超高感度・広帯域イメージセンサの試作に世界で初めて成功しました。これは、産総研のCIGS薄膜形成技術と、ロームのLSI微細加工技術を融合したものです。

広帯域で高感度

 今回開発したイメージセンサは、受光部にこれまで使われてきたシリコン(Si)に代わってCIGS系半導体を用いることで、飛躍的な性能向上を達成しました。

 CIGSでは、Siを用いた光電変換素子に比べて2倍以上の量子効率(入射光子数に対する発生電子数)が得られることに加えて、制御回路の上部を覆う形でセンサ部を形成できるので開口率を100 %に近づけられます。このため、Si系のセンサに比べて飛躍的に感度を上げることができました。

 また、Siを用いた光電変換素子では、1000 nm以上の近赤外領域になると感度(量子効率)が急激に低下するのに対して、CIGSを用いた場合は1300 nm程度までの近赤外領域を含む広い波長域で高い感度を持っています。さらに、CIGSのインジウム(In)とガリウム(Ga)の組成比を変えることで、波長域を変えられることもSiイメージセンサにはない特徴です。

製膜技術・プロセス技術の革新

 CIGSはこれまでもイメージセンサ用の材料として注目されていましたが、リーク電流が大きいなどの理由でデバイス化は困難と考えられていました。産総研とロームは、リーク電流を大幅に低減できる革新的な製膜技術とプロセス技術を開発しました。今回作製したイメージセンサは、画素ピッチ10 µm、有効画素数352×288(10万画素)で、波長400−1300 nmの広帯域で高い感度を持っています。

写今回開発したイメージセンサで夜間撮影真

今回開発したイメージセンサで夜間撮影した写真

今後の展開

 今回開発したイメージセンサは、LSI上にCIGS系薄膜を積層した世界で初めての試みです。近赤外領域で高い感度をもつので、今後市場が拡大すると見られる監視カメラなどのセキュリティ分野やナイトビジョンなどの車載分野への展開が期待されます。今後さらに感度が向上すれば、イメージセンサの応用分野がいっそう拡大するものと考えられます。


関連情報:
  • 共同研究者
    櫻井啓一郎、石塚尚吾、山田昭政(産総研)、松島理、宮崎憲一、守分政人、高須秀視(ローム株式会社)

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