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GEO Grid
地球情報イノベーション

GEO Grid の国際展開へむけて


GEO Grid普及のための戦略

 この特集では、衛星画像など地球に関するさまざまな情報を上手に利用するツールとして GEO Grid をとりあげていますが、これを海外でも普及させるために私たちがとっている方策や、その仕組み作りについて紹介します。

 GEO Gridを海外で知ってもらい、使ってもらうためには、どんな戦略を持つべきでしょうか。まず、この計画の牽引役である産総研の経営ポリシーの一部を紹介しましょう。私たち産総研は次のように宣言しています。「わが国のたゆみない産業技術革新を先導することにより、持続的発展可能な地球社会の実現に寄与する」。また、積極的な国際展開を行い、特にアジアを中心に関係構築を図ることを決めています。(「産総研の経営と戦略」 2005)。GEO Gridの国際的普及を、私たちはアジアから始めることにしました。

まずはCCOPを通した技術外交

 海外に何かをアピールする際には、それが国際的な政策につながるとか、どこの国でも使える仕組みができるとか、インパクトがあるほうがやりやすいのですが、そのためには、できるだけハイレベルなチャンネルに話を持ち込む必要があります。幸い、GEO Gridには強い味方がいます。バンコクにある「東・東南アジア地球科学計画調整委員会(CCOP)」という国際機関です。

 CCOPには日本政府も加盟し、外務省がわが国の代表、産総研が副代表になっています。特に重要なのは、外務省がCCOPを日本の技術外交の対象として位置づけていることです。国際的な活動には外交とみなされるものとそうでないものがあるのですが、CCOPとの協力は外交活動として認められているのです。このため、CCOPを通せば、研究成果を高いレベルでアジアに持ち込むことができます。GEO Gridを普及させるためにはCCOPとの協力を中心に据えるのが良いと判断できます。

アジアに対するアピール

 さて、GEO Gridをアジアで進める構想は、CCOPの管理理事会で提案しすでに承認されています。その際には次のような説明を行いました。

  • GEO Gridは仮想のインフラを構築するため、スパコンなど高価な設備を必要としない。アジアではまだ経済力に差があるが、この計画にはどの国も参加しうる。

  • アジアにおけるデジタルディバイドは深刻だがGEO Gridはその解消に貢献しうる。

  • GEO Grid構築はアジアの諸問題を解決するため各国に共通する課題と考えられる。一方、個別の問題への応用は、各国ごとに任される。

  • GEO Gridはテーマとして、資源、環境、防災、地質情報をカバーできる。したがって、これを使えばアジアの持続可能な開発と人間の安全保障に貢献できる(人間の安全保障というのはわが国の外交が重視するテーマのひとつ)。

動き出したGEO Gridのアジア展開

 CCOPへの説明に対しては大きな反響があり、強い賛同が寄せられました。そして、各国代表からGEO Gridに協力する約束をいただきました。管理理事会では、産総研からコーディネータをCCOPに送る案も承認されたので、アジアにおけるGEO Gridの展開は、当面、このコーディネータが中心になって、産総研のGEO Grid担当者と連絡しながら進めることになります。

 すでにタイやベトナムからは具体的な提案が出されています。これからアジアにおけるGEO Gridの構築と普及は速いペースで進展すると期待されます。

地質調査情報センター
村尾  智

2006年11月のCCOP管理理事会でGEO Gridについて説明する筆者の写真

写真 2006年11月のCCOP管理理事会でGEO Gridについて説明する筆者
議事は国連の会議に準ずる方法で進められ、この場で承認された事柄は国際的な約束になる


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