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パルス駆動ジョセフソン電圧標準の開発

 [PDF:407.5KB
交流量子電圧標準の実現に向けて

浦野 千春の写真浦野 千春 うらの ちはる
浦野連絡先
計測標準研究部門
電磁気計測科 電気標準第1研究室研究員
(つくばセンター)
2002年に産総研入所以来、量子化ホール抵抗標準およびジョセフソン電圧標準の開発に従事。この間、抵抗標準と電圧標準のそれぞれの国際比較に参加。

直流電圧と交流電圧

 ジョセフソン効果を使うと電圧を正確に発生できます。産総研ではこれを直流10V電圧標準に応用し、直流電圧校正を提供して産業に貢献しています。一方、世の中の電気信号は圧倒的に交流が多いため、ジョセフソン効果で交流電圧も正確に発生できれば、広範な交流電気信号の精度向上が期待できます。

交流量子電圧標準の開発

 交流量子電圧標準のしくみはCDプレーヤーで音楽を再生するしくみとよく似ています。CDのようにデジタル化された110101. . のような 2進数のデータを元に電気信号の波を発生させます。また、交流量子電圧標準で狙うのはせいぜい音楽と同じようなオーディオ周波数(数kHzまで)なので、オーディオ領域のS/N比が良くなる方式を採用します。交流量子電圧標準と音楽の再生で異なるのは2進数のデータを電気信号に変換する方法です。CDプレーヤーでは半導体素子を用いて電圧信号に変換しますが、量子電圧標準ではジョセフソン接合を利用します。ジョセフソン接合というのは超伝導現象を利用したデバイスで、極低温で使用します。ジョセフソン接合には電流パルスを入力してやると出力電圧パルスの時間積分がh/2eh:プランク定数、e:電荷素量)の整数倍に厳密に量子化されるというとても面白い特徴があります。

 図に示したのはジョセフソン素子(100接合直列、写真)が電流パルス(繰り返し周波数49.7MHz)を量子化された電圧パルスに変えることを示した実験です。電流パルスの時間積分(図において横軸の光強度に比例)を増加させていくと階段状に電圧が増加していきます。電圧ステップの間隔は(h/2e)×49.7(MHz)×100(接合)に対応しています。グラフの横軸が「光強度」となっているのは電流パルスを発生させるためにいわゆる光コムと呼ばれる超短パルスレーザーの光を光ディテクタで電流パルスに変換したためです。

今後の計画

 今後、接合数をさらに増やすことと繰り返し周波数をより高くすることで出力電圧振幅を増加させ、通信で用いられる技術を応用することにより交流信号を発生する技術を開発する計画です。また、出力交流信号を精密に評価する技術を開発し、実用化を目指します。

図

図 ジョセフソン素子の平均出力電圧の電流パルス強度(光強度に比例)依存性


実験に用いたジョセフソン素子の写真

写真 実験に用いたジョセフソン素子(100接合)


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