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シンポジウム「イノベーション実践戦略」開催 報告

 2月27日、産総研主催で、「イノベーション実践戦略−理論から行動へ」と題したシンポジウムを日経ホールで開催しました。このシンポジウムでは、イノベーション創出に向けた取り組みや仕組み、また産総研のイノベーション推進の具体的なモデルや事例が紹介されました。

 産総研吉川理事長は基調講演の中で、持続的発展が可能な社会を目指すためには自らの行動基準を変えなければならないこと、また豊かさの獲得と環境の保全を同時に解決するためには、現在の産業が持続性へ向けて重心移動することが不可欠なことを訴えました。そしてそれを実現するには、独立行政法人の研究所が基礎研究から製品化研究まで一連の流れの中で「本格研究」を推進することが必要であること、さらには独法研究所と民間企業との連携についても、従来の面的連携から人の異動を含む立体的連携が必要であることが示されました。

 黒川 内閣特別顧問からは、イノベーションの鍵は人であり、研究や発明、技術革新の成果を生活者、社会に届け、人々の生活や行動を変えていくことがグローバル時代のイノベーションであるという基調講演がありました。

 小島 産業技術環境局長の基調講演では、イノベーションの推進には研究開発と市場とが双方向に流れる高速道路のように、事業化、市場化がスピードをもって動くことが重要であることが訴えられました。また高速道路の出入口で色々な車が合流するように、異分野や異業種の研究者・技術者が合流する知識・技術の融合が必要であること、そしてイノベーションの起爆剤として技術が生み出す新しい製品・サービスにより経済社会構造を変革することが必要と述べられました。

 続いて、伊藤 産業技術アーキテクトより、産総研が提唱する本格研究の概念やイノベーションハブ戦略の紹介とともに、産総研の具体的な取り組みとして、産業変革研究イニシアティブ制度や産業技術人材育成等の具体的な内容が紹介されました。またパネルディスカッションでは、パネリストから、イノベーション創出に向けた人材育成の重要性や産総研に対する期待等多方向な提案をいただきました。

 なお、当日は536名の参加者で会場内は終始熱気にあふれ、産総研のイノベーションに向けた強い意志を理解いただき、シンポジウムは充実した中に終了しました。

会場に詰めかけた参加者の写真 吉川 理事長の写真
黒川 内閣特別顧問の写真
会場に詰めかけた参加者(左)を前に、講演を行う吉川 理事長(右上)と黒川 内閣特別顧問(右下)。

● 基調講演

「産総研の研究と産業の重心移動」
 吉川 弘之 産総研 理事長

「2025年までを視野に入れたイノベーション25」
 黒川 清 内閣特別顧問、政策研究大学院大学教授

「イノベーション・スーパーハイウェイ構想の推進」
 小島 康壽 経済産業省 産業技術環境局長

● 事例紹介
「イノベーション創出に向けた産総研の取り組み」
 伊藤 順司 産総研 産業技術アーキテクト

● パネルディスカッション 「イノベーション創出に向けた産学官の役割と連携のあり方」
 パネリスト:
  拓植 綾夫 三菱重工業(株) 特別顧問(元総合科学技術会議議員)
  安永 裕幸 経済産業省 産業技術環境局研究開発課長
  村上 敬宜 九州大学 理事・副学長(産総研 水素材料先端科学研究センター長)
  渡部 俊也 東京大学 国際産学共同研究センター(CCR) 副センター長
  久間 和生 三菱電機(株) 常務執行役開発本部長
  山崎 正和 産総研 理事(特命イノベーション推進コア)

● 閉会挨拶 小玉 喜三郎 産総研 副理事長

シンポジウム「イノベーションとベンチャー創出」 報告

 2月21日に日本青年館大ホールにおいて、シンポジウム「イノベーションとベンチャー創出−研究室から社会への飛躍−」が開催されました。

 内閣特別顧問、政策研究大学院大学教授 黒川清氏の基調講演「日本のイノベーション」や産総研におけるベンチャー創出活動の紹介、2部構成のパネルディスカッションが行われました。

 パネルディスカッション第1部では、「イノベーションとベンチャー創出」をテーマに総括的な議論を、第2部では、「公的研究機関・大学のベンチャー創出の新展開」をテーマに、具体的な議論をしていただき、イノベーションに対する考え方やハイテク・ベンチャー創出についての意識を共有する機会とすることができました。

シンポジウム「イノベーションとベンチャー創出」の写真1 シンポジウム「イノベーションとベンチャー創出」の写真2

パネルディスカッション(第一部)「イノベーションとベンチャー創出」

コーディネーター:池上 徹彦 産総研元理事
パネリスト:北城恪太郎 経済同友会 代表幹事(日本IBM株式会社代表取締役会長)
      堀場 雅夫 株式会社堀場製作所 最高顧問
      田中 信義 キヤノン株式会社 専務取締役 知的財産法務本部長
      有本 建男 独立行政法人 科学技術振興機構 社会技術研究開発センター長
      橋本 和仁 東京大学教授 先端科学技術研究センター所長
      小島 康壽 経済産業省産業技術環境局長

パネルディスカッション(第二部)「公的研究機関・大学のベンチャー創出の新展開」

コーディネーター:渡部 俊也 東京大学教授 国際・産学共同研究センター副センター長
パネリスト:山本 貴史 株式会社東大TLO 代表取締役社長兼CEO
      田村真理子 日本ベンチャー学会 事務局長
      西尾 好司 株式会社富士通総研 経済研究所 主任研究員
      佐藤 信行 三菱商事株式会社 イノベーションセンター シニアマネージャー
      大滝 義博 株式会社バイオフロンティアパートナーズ 代表取締役社長

フランス国立科学研究所(CNRS)とのベストマネジメントプラクティスセミナー開催、及び環境触媒(ECSAW)研究連携協定の調印 報告

ECSAWに関する調印の模様の写真
ECSAWに関する調印の模様。
吉川理事長(中央)、Brechignac理事長(左)、Migus総裁(右)
 2月7日に吉川理事長、小林(直)理事、山崎理事ほかの産総研幹部がパリ市のフランス国立科学研究所(CNRS)を訪問し、ブレシニャック理事長ほかのCNRS幹部とともに、研究所運営・経営に資するための標記セミナーが開催されました。

 CNRSは2万6千人の研究者・技術者を有するフランス最大の公的産業科学技術研究機関で、大学との連携研究室を多数有しており、産学官連携やイノベーションクラスターのネットワーク化に注力しています。産総研は、CNRSと包括協定締結後、ロボットのジョイントラボをはじめ、研究連携を推進してきたところですが、両機関がイノベーションや産業技術マネジメントに関する共通の課題を有しており、互いの研究所運営・経営に資する意見交換・相互学習が非常に有益であることから本セミナー開催の運びとなりました。

ベストマネジメントプラクティスセミナーの写真
ベストマネジメントプラクティスセミナー
 今回は、イノベーション、評価、ベンチャー戦略などにつき、各々の研究所の現状を報告し意見交換を行いました。他の項目については今後機会をとらえて同様のセミナーを開催する予定です。

 また、「大気及び水圏環境の持続的保全のための環境触媒技術(ECSAW)」に関する研究連携協定の調印が行われました。これは環境・エネルギー分野の核心技術の一つである触媒技術の革新を目指し、産総研とCNRS双方の複数の研究ユニットが4年にわたって研究協力するというものです。今回の調印を期に、欧州・アジア市場の展開を含め環境関連の研究協力に拍車がかかることが期待されます。

日印首相間共同声明に基づく包括的研究協力協定の調印 報告

DBTとの包括的研究協力協定の調印の写真
DBTとの包括的研究協力協定の調印
 2月12日、ニューデリーにあるインド科学産業研究委員会(CSIR)と包括的研究協力協定の調印を行いました。また同日、科学技術省バイオテクノロジー局(DBT)とも包括的研究協力協定の調印を行いました。

 インドとは産総研発足以来、CSIR、ジャワハルラル・ネルーセンター他と実質3件の研究協力協定を締結しています。

 2005年4月の日印首脳会談で両国政府は日印グローバルパートナーシップを推進することを決定し、その中で科学産業技術協力などに一層焦点をあてることとなりました。昨年12月の安倍首相とシン首相との首脳会議共同声明において、産総研とCSIR及びDBTとの連携協力を含め科学産業技術分野の一層の協力促進が謳われました。

CSIRとの包括的研究協力協定の調印の写真
CSIRとの包括的研究協力協定の調印
 CSIRにおいては、調印に先立ち、産総研、CSIRそれぞれの研究紹介と今後の研究協力の進め方についての意見交換が行われました。またDBTにおいても、調印に先立ち、産総研側から糖鎖医工学研究センター長、生命情報科学研究センター長が研究紹介を行い、意見が交換されました。

 今後は、この研究協力協定調印を契機として、外部資金や産総研の外国人招聘資金を活用した人材交流の強化を図り、両国間の研究協力を推進することが確認されました。

ジャワハルネルー研究センターにおけるナノテクノロジーシンポジウム開催 報告

ナノテクノロジーシンポジウム参加者の写真
ナノテクノロジーシンポジウム参加者
 2月8日と9日に、ジャワハルネルー研究センター(インド、バンガロール)にて「Nano & Soft Matters」と題してナノテクノロジーシンポジウムが開催されました。産総研からは、エレクトロニクス研究部門長、ナノテクノロジー研究部門長など10名が参加しました。

 テーマは液晶とナノソフト物質、ナノ・バイオ・分子エレクトロニクス、ナノ酸化物、グリーンケミストリーの4つです。日本とインド合わせて19件の研究紹介がありました。首相科学顧問委員会座長のラオ教授は講演の中で、インドにおける大学教育の重点化、ナノテクノロジーのインド政策などを紹介され、日本とインドの短期人材交流の重要性を力説しました。

 まとめのセッションでは、人材交流、ジョイント・ワークショップ、共同研究、外部予算、ジョイントラボなど、研究協力の具体的な推進手段について議論が交わされました。今後、ジャワハルネルー研究センターを中心として、ナノテクノロジー分野での一層の研究協力が推進されることとなりました。

インド国際産業&技術フェアに出展 報告

インド国際産業&技術フェアの写真 2月13日から16日にニューデリーにおいて、インド国際産業&技術フェア(IETF2007)が開催されました。日本はパートナーカントリーとして(今回で2回目。1回目は1997年)このフェアの開催に協力し、日本貿易振興機構(ジェトロ)が窓口となって多数の民間企業を含む展示が行われました。日本パビリオンでは、初日に約1万人、二日目からは、毎日3〜4千人の訪問者がありました。

 産総研は12件のポスターを展示し、研究所の概要、技術移転、主な研究成果(10件)について紹介しました。中学生から高齢者まで、男女を問わず、さまざまな人々が産総研ブースを訪問し、関心を示しました。中には、ポスドクや特許の利用について問い合わせる人もいました。

 最終日には用意した産総研パンフレットがすべてなくなるほど、多くの人が来場しました。

“nano tech 2007”  国際ナノテクノロジー総合展・技術会議 報告

技術シーズのプレゼンテーション写真
技術シーズのプレゼンテーション
 世界最大規模の最先端テクノロジーに関する展示会である“nano tech 2007” 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議は、2月21日から23日までの3日間、東京ビッグサイトにおいて開催されました。主催者側の発表によれば、今回の展示会では海外22カ国からの167社を含む484社の参加があり、非常に大規模な催しとなりました。来場者数についても年々増加の傾向にあり、今回は今までで最高の4万8千人を超え、情報収集だけではなく、ビジネスのマッチングの場となっています。

展示ブースでの来場者と担当研究者の写真
展示ブースでの来場者と担当研究者
 産総研からは「ナノマテリアル」、「ナノエレクトロニクス」、「ナノ加工」、「ナノセンサ」、「ナノバイオ」、「社会受容」など、社会的に注目されている最先端の研究分野から25件の研究成果を展示しました。来場者の方々に、より具体的にイメージしていただくため、製品プロトタイプをあわせて展示することにこれまで以上に努めるとともに、展示ブース内では、産総研技術シーズのプレゼンテーションも行いました。

 準備した配付資料が無くなるほど多くの方々にご来場いただき、産総研の研究成果の紹介と産学官の連携推進に役立ったことと確信しています。

山本経済産業副大臣つくばセンター来訪 報告

近藤センター長(手前)から太陽光発電設備の説明を受けられる山本副大臣(奥)の写真
近藤センター長(手前)から太陽光発電設備の説明を受けられる山本副大臣(奥)
 2月19日、山本幸三経済産業副大臣が、産総研つくばセンターを来訪されました。

 吉川理事長の挨拶につづいて、小玉副理事長から概要説明とイノベーション創出への取り組みについての説明を受けられました。その後、視察ではまず、太陽電池試験設備をご覧になり、太陽光発電パビリオン「太陽の広場」で、近藤太陽光発電研究センター長から、さまざまな太陽電池モジュールの説明を受けられました。その後、地質標本館で日本列島地質立体模型や関東地方の地質模型などをご覧になり、説明者と質疑を交えられました。

 さらに、「世界最高性能スピンエレクトロニクス素子の開発」、「ヒューマノイドロボット」をご覧いただきました。ヒューマノイドロボットでは、二足歩行ロボットに触れながら、研究者と歓談されました。最後に、西事業所で「完全無灰炭製造技術(ハイパーコール)」の説明を受けられ、熱心に意見を交わされるなど産総研の研究活動の一端に触れる機会をお持ちいただけました。

九州センター研究講演会 報告

講演会場内の様子の写真
講演会場内の様子
 2月15日に、博多サンヒルズホテルにおいて平成18年度産総研九州センター研究講演会を開催し、168名の参加者がありました。本年度は、「地域に根差し、世界に発信する九州センターを目指して」をテーマとして行われ、産総研の運営諮問会議委員でもある日産自動車株式会社副会長 伊佐山建志氏による「自動車産業の今後と九州への期待」と題した特別講演がありました。

 また、共催の財団法人九州産業技術センターより研究開発を委託したテ−マの中から、「自動車めっき鋼板用スーパーセラミックスロールの開発」と題して九州工業大学工学部 野田尚昭教授による講演が行われました。

 そのほかにも、一般講演では研究成果4件が、ポスター展示(含ショートプレゼンテーション)では、独立行政法人中小企業基盤整備機構九州支部を含め15件の発表が行われました。

産総研の科学技術週間2007 お知らせ

 今年の科学技術週間も、産総研では3つの常設展示施設で特別展示やイベントを行います。ぜひご家族づれで、春の産総研に足をお運びください。

● サイエンス・スクエア つくば

 サイエンス・スクエアは4月に展示をリニューアルしました。新展示の目玉は、産総研が開発したヒューマノイドHRP-2「プロメテ」をそのまま小さくしたような、かわいい小型ロボット「チョロメテ」。なりは小さいですが、基盤ソフトウェアはプロメテと同等の機能を持ったものが使われています。さらに、新感覚の英語学習システムや、遠くにいる人とあたかも同じ空間にいるように感じられるハイパーミラー、筋肉が発する電気を利用して模型を走らせて筋電を実感できる展示など、楽しみながら科学技術を身近に感じられる展示が満載です。

 加えて、4/21(土)・4/22(日)は、サイエンス実験ショーも開催します。「液体酸素を作ってみよう。どんな色かな?」「偏光で遊ぼう」など小学生向けの楽しいプログラムです。詳しくはホームページをご覧ください。

● 地質標本館

 4/21(土)には「つくばの地形環境」と題した普及講演会を開催します。

 また、地質標本館では4/17から7/16までの期間にわたって、「つくばの自然再発見“フィールドに行こう!”」と題した特別展示を行います。野外観察の方法や注意点、記録のしかたや地図の見かたなどにくわえて、つくば周辺の野外巡検コースも紹介します。春のつくばで自然を満喫するための絶好のマニュアルになるかもしれません。詳しくはホームページをご覧ください。

● くらしとJISセンター

 くらしとJISセンターでは、JISパビリオンで、私たちの生活を支える「標準化」の常設展示を行っていますが、4/16(月)〜20(金)には、福祉関連の体験コーナー「高齢者疑似体験」「車いす体験(手動・電動)」が設けられます。

 また、4/19(木)には、普段は公開されない研究室(聴覚研究室・生体材料研究室)の公開も行います。時間等詳しくはホームページをご覧ください。

チョロメテの写真サイエンス・スクエア つくば
 http://www.aist.go.jp/aist_j/museum/science/
 TEL:029-862-6215(広報部 展示業務室)

地質標本館
 http://www.gsj.jp/Muse/
 TEL:029-861-3750(地質標本館)

くらしとJISセンター(JISパビリオン)
 http://unit.aist.go.jp/collab-pro/indus-stan/jis/guide/pavilion/index.htm
 TEL:029-862-6221(工業標準部)

高分子材料とナノテク産総研人
ナノテクノロジー研究部門 ナノ科学計測チーム 堀内 伸さん

堀内 伸の写真1高分子ナノ構造と物性 − 分子と材料の接点

 高分子材料はプラスチック・フィルム・繊維など日常に密着した素材であると同時に、ハイテク機器の部品としても欠かせない基幹材料です。高分子材料とナノテクの接点はどこにあるのでしょうか?高分子材料は、鎖のような長い分子が互いに絡まり合うことにより材料を形作っています。そもそも分子の大きさが数ナノメートルであり、分子が伸びる、配向する、折りたたまって結晶化する、などのナノレベルでの現象が、強度や光学特性など材料として目で見える現象に現れてきます。誕生から百年あまりの短い歴史の高分子は、その便利さゆえに実用化が進む一方、分子の振る舞いに関する本質的な問題は意外に未解明なことが残っています。また、分子と材料の中間レベルのサイズ(数十〜数百ナノメートル)においてさまざまな構造を形成し、物性に影響を及ぼします。しかし、このような高次構造の制御から産み出された材料は、そう多くありません。

 堀内さんは、産総研(当時の工業技術院物質工学工業技術研究所)に入所以来、電子顕微鏡による高分子材料の構造解析、異種高分子や無機物との複合化による材料開発を行ってきました。特に、電子線を分光するエネルギーフィルターを装着した透過型電子顕微鏡を使った構造解析では、高分子の分野における先駆的な研究を行い、さらに、多くの企業との共同研究により、高分子材料の構造に関して多くの新しい知見を得ました。今後は、この手法を駆使して、ナノスケールの構造制御から新しい材料の開発へつなげたいと考えています。

堀内 伸の写真2堀内さんからひとこと

 エネルギーフィルターを装着した透過型電子顕微鏡により、ナノ領域の元素や化学状態に関する情報を得ることができます。構造を直接画像化することは、インパクトのある結果であり、初めて見ることができたり、新しい発見があると、感動します。しかし、電子顕微鏡で見る領域は、全体の中のごくわずかな部分であり、観ているものが全体を代表しているものか、ということは常につきまとう問題です。最終的な確信に至るには、材料に関する理論や実験結果などの知見を総合して、判断するしかありません。そのため、装置の操作だけに熟知したオペレーターに任せていては、このような研究を進めることはできず、高分子を理解した研究者が直接観察を行うことが重要です。

 高分子の本質は分子鎖の絡まり合いであり、これを直接観ることは現状の技術では夢のようなことですが、観ることを通じて、見えるものの先にある本質にどこまで迫ることができるかが課題です。


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