有機化合物のスペクトルデータベース |
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SDBS Web [http://riodb01.ibase.aist.go.jp/sdbs/cgi-bin/cre_index.cgi] |
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はじめに産総研では、研究情報公開データベース(RIO−DB)を通じて有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)を1997年からWeb公開している。そのアクセス数は毎年増加傾向にあり、2006年10月には公開以来の総アクセス数が1億5千万件を超え、RIO−DBの中でも、群を抜いている。 構築のコンセプトSDBSは1957年に産総研の前身である工業技術院東京工業試験所に分析センターが発足した時に始まったスペクトルデータ活動の基盤的研究を源流とする。SDBSでは1982年のデータ収集開始当初から、
の2つの柱となるコンセプトを打ち出していた。これらに加え、研究者自らが測定した高品質なスペクトルを収録し、データベースそのものを時代に合わせて発展させてきた。SDBSは世界的に見ても類を見ないスペクトルデータベースである。当初は化合物に対して分析によく利用される6種類のスペクトル、すなわち赤外吸収(IR)、1H及び13C核磁気共鳴(1H NMR及び13C NMR)、質量(MS)、ラマン(RM)及び電子スピン(ESR)スペクトルの収録で活動を開始した。現在でもIR、1H NMR、13C NMR及びMSスペクトルの活動を継続し発展し続けている。 収録データ収録スペクトルは、それぞれのパターンデータとピーク(シフト)データを持つ。NMRはこれらに加えピークの帰属と帰属付きの構造式を登録している。現在活動しているSDBSスペクトルデータの一般的な測定条件等は表の通りである。 スペクトルの登録に必要な化合物辞書も、スペクトルの活動と合わせて構築しており(図1)、化合物に付与したSDBS番号に対して登録したスペクトルの情報に加え、化合物名、分子式、構造式やCASレジストリキー等を登録している。化合物名称は主として市販試薬を対象としていることから現在は試薬メーカーのカタログの先頭に表示されている名称を先頭に登録している。この他にIUPAC名称、CAS名称や慣用名等様々な種類の名称を登録している。 近年は農薬や劇物等の危険物を中心にスペクトルを収集している。特徴的なデータとして約50種のPCBのNMRスペクトルが収録されている。
SDBS WebSDBSはWeb環境さえあれば免責事項に同意することで誰でも利用できる。データの更新は年に2回行っている。基本的な情報はすべて英語であるが、国内ユーザーの利便性向上のため日本語環境からのアクセスに対しては日本語フレームを表示することとした。これによって、国内での利用が増加することを期待している。例えば、化合物同定などの研究ツールとしての利用をはじめ、国内の大学教育等で、有機化学の講義や演習の参考資料としての活用が考えられる。 CAS登録番号、SDBS番号の化合物情報と、登録されているスペクトルの種類、NMRのシフト及びMSのピークのスペクトル情報があげられる。日本語環境下では、日本語の化合物名称を検索することもできる(図2)。
将来展望Webによる簡単な利用もさることながら、スペクトルの信頼性の高さが世界中からの多くのアクセスに結びついたと考えられる。今後は高品質なスペクトルを継続的に増加させ続けるのに加え、ユーザーインターフェースの改良等の利便性を高めることにも注力したい。また、SDBSを発展させた高分子化合物のスペクトルデータベース等への展開も考えている。 さらに、Web上に埋もれた様々な形の情報とSDBSの情報を相互補完させ、いろいろな化学情報が利用可能な総合的データベースへの発展を目指したい。 |
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