きらりと光る産総研オリジナルソフトウェア |
ミドルウェアに向けて |
コンピュータの小型高性能化や無線ネットワークの高速大容量化が急速に進むなかで、従来の産業用ロボットやヒューマノイドのような単体ロボットから、多種多様なセンサやアクチュエータを生活空間に分散配置させて協調動作によって生活支援や介護などのサービスを提供する“ロボット技術を活用した実世界に働きかける機能を持った知能システム”へと研究開発対象が急速に拡大しつつあります。このような一見ロボットの形をもたないシステムに使われるロボット的な技術の総称をRT(Robot Technology)と呼んでいます。 技術的な可能性を示すプロトタイプの発表が数多く行われていますが、製品開発は本格化していないのが現状です。RT製品を新しい市場として開拓するためには、ロボット開発者だけではなく、ロボット技術を利用したいさまざまな人々を巻き込んで、RTを使った新しいアプリケーションが続々と生まれる環境を実現することが必要です。そのために、RTシステムの開発効率を上げて、誰でも容易にロボット技術を利用したサービスを開発できるようなシステム統合技術の確立が求められています。 RTミドルウェアはその名前が示すように、RTシステムを効率的に開発する際に便利なプログラム開発環境の総称です。開発効率を向上させるためにはシステムを構築する際に求められる共通ライブラリの蓄積も重要ですが、それと同時にRTシステム用のソフトウェアモジュールの標準的なフレームワークを決めることが大切です。 標準化されたインテグレーション技術をRTミドルウェアとして確立することができれば、他社製品とも接続したトータルシステムとしてのRTシステムの実現が可能になります。独立した単体製品ではなく、ネットワークに接続して互いに連携してサービスを提供するRTシステムです。“機器がつながることが価値がある”と言われるように、ここでは、その相互運用性が重要となっています。 産総研、(社)日本ロボット工業会、松下電工(株)の共同プロジェクトとしてRTミドルウェアプロジェクト*9(2002−2004)が実施されました。機能要素をソフトウェア的にモジュール化し、それらを部品として自由に組み合わせることにより、新しい機能を持つRTシステムを容易に構築可能とするソフトウェア基盤技術の確立を目指したプロジェクトです。 そこで、RTミドルウェアのコンセプト検証を目的として、コンポーネント化支援ツールを中心にRTミドルウェアのプロトタイプOpenRTMを開発しました。OpenRTMの特徴はそのフレームワークとなる共通仕様とその実装を分離してオープン化していることです。OpenRTMの共通仕様は、RTシステムの機能要素を連携動作させRTシステムを構成するための抽象的なインタフェースとその使い方を規定しています。この仕様を満たす機能要素をRTコンポーネントと呼びます。 開発した既存のシステムをRTコンポーネント化することで、誰でも簡単にモジュールとして再利用することが可能となり、複雑化する一方のRTシステムの開発効率を高めることが期待されます。 産総研では、OpenRTMに準拠したRTコンポーネントの作成支援と運用支援を提供する開発支援ソフトウェアの参照実装のひとつとしてOpenRTM-aistを開発しました。 現在のOpenRTM-aist*10は、開発の第一段階としてコンポーネント化のフレームワークを構築したところです。今後、アプリケーションプログラムを開発する際に求められる共通的な機能を持つRTコンポーネントが蓄積されて、標準ライブラリ群として発展していくことを期待しています。 現在、後継プロジェクトにおいて機能追加やツール開発を進めると同時に、国際的なソフトウェア標準化団体であるOMGにて仕様の標準化を進めており、この標準仕様に準拠するようにOpenRTM-aistを発展させていく予定です。 技術共有を目指すRTミドルウェアのコンセプトは、単独の企業や単独の研究機関だけの活動で実現できるものではありません。安定した技術の確立に向けて、失敗を重ねた技術のフィードバックが不可欠です。パイオニア諸氏にロボット技術を共有する試みに参加していただきたいと願うものです。 このソフトウェア(OpenRTM-aist-0.2.0)は、(社)日本ロボット工業会、松下電工(株)とともに研究開発を進めたNEDOプロジェクト「ロボットの開発基盤となるソフトウエア上の基盤整備」の研究成果です。 知能システム研究部門
* 9 http://www.is.aist.go.jp/rt/ |
近年「情報家電」という言葉を耳にすることが多くなったと思います。ネットワークに接続して、ネットワーク経由での遠隔操作やコンテンツ視聴が可能になった家電のことを意味する言葉です。ネット対応のエアコンとかハードディスクレコーダーなどがその例です。しかし、このように家電をネットワーク接続していくと、いろいろな問題が生じます。ひとつは、何をどのように操作してよいのか分からなくなるという「ユーザインタフェース」の問題、もうひとつは、異なる機種、異なるメーカの機器がうまく連携しないという「相互運用」の問題です。いくつもリモコンがあって戸惑ったり、規格が異なる機器を接続できなくて困ったり、といったことを経験された方は多いのではないでしょうか。 産総研では、この二つの問題を解決する方法として、人間が意図する語彙に近い形で家電の操作方法を定義して、これを家電に直接理解させるという仕組みのソフトウェアを開発しています(情報家電ミドルウェア)。ここでいう家電操作の定義とは、「電源を入れる」や「録画する」や「音量を上げる」といった形で表現されるものと思ってください。専門的には、オントロジーとよばれる人間とコンピュータで意味を共有するために使われる技術です。このように、人間と家電、家電と家電の間の指示の仕方を統一することで、チャンネル番号を意識することなく「NHKにして」というだけですむようになったり、「電源を入れる」という指示をやりとりするだけで異なる機器の間の連携ができたりするようになります。 産総研秋葉原サイト内にUBRoomと呼ばれる住居スペースを設けて、情報家電ミドルウェアの開発とデモを行っています。UBRoomでは家電だけではなく玄関ドアロックや照明、ブラインドなどの住設機器も含めて、音声による操作やデジタルコンテンツ検索が行えるようになっています。 情報技術研究部門
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