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きらりと光る産総研オリジナルソフトウェア

実績のある産総研のソフトウェア


分散オブジェクト技術「HORB」

 プログラムの作成を学んだり、プログラムを作ったりしている時に、このコンピュータとあのコンピュータを連動して動作させたいと思うことがよくあります。例えば、全国各地で降雪量を計測して集計したり、工場の生産ラインで複数のロボットに次々に加工を行わせるといった場合です。そのような動作をさせるプログラムを分散プログラムと呼びます。分散プログラムを作成することは単一のコンピュータで動作する通常のプログラムを作成することより格段に難しいことです。1960年代頃から、多くの研究者・技術者がプロセッサやOSの違いを越えて分散プログラムを作成する手段を求めてきましたが、1990年代半ばまで実現できませんでした。1995年に公開されたHORB(Hirano's Object Request Broker)は、人気の高いJava言語を用いて、分散プログラムを容易に作成することを可能にした世界初の処理系です。

 インターネット上で公開を始めると、世界中から驚きと賞賛のメールが数百も送られてきてメールボックスが溢れてしまいました。ニューヨークにいる人から興奮した電話がかかってきたり、ライセンスを求めていくつかの米国企業から人が訪ねてきたり、日経BP技術賞を頂いたときには青色LEDで同時に受賞された中村修二さんとパーティーでお話ししたりと、当時のことが今ではよい思い出となっています。

 しかし、技術的には米国の有力企業から競合技術が相次ぐ中、頑張りすぎて体調を崩してしまい、機能や信頼性の向上が遅れてしまいました。同僚の手助けがあったり、企業の方々がユーザー団体を作って開発やシンポジウムの開催を引き継いで下さったことは幸いでした。これまで多くの製品開発で利用されています。現在は、産総研に開発の主体が戻り、4人のチームで組込みシステム向けの研究を行いながら改良版の開発をしています。

情報技術研究部門
平野  聡

図1画像

図1
2003 年の産学官連携功労者表彰で企業の方々と日本経団連会長賞を共同で受賞。(平野は左端)。


「Mule」 と 「the m17n library」世界の文字をコンピュータで

 世界には約6000の言語があり、これらは漢字、アラビア文字、ローマ字などの多様な文字を用いて書かれます。私たちは、どのような文字を使うどのような言語の文書でも、計算機上で利用できるようにするソフトウェアを作っています。

 私たちの最初の多言語ソフトウェアは、10年ほども前の Mule というテキストエディタです。今ではこのソフトウェアは、Linux/Unix 上で広く用いられているエディタ GNU Emacs に統合され、世界中で使われています。

 現在、the m17n library という多言語化ライブラリを開発しています。一昨年からオープンソースソフトウェアとして公開*1しており、ほとんどの Linuxディストリビューションでこの the m17n library 用のパッケージが準備されるようになっています。

 ライブラリとはアプリケーションプログラムを記述する際に利用する部品を集めたものです。部品が多言語化されていれば、アプリケーション開発者が言語やスクリプトの知識を持たなくても、多言語化されたアプリケーションを作ることができます。例えば、広く用いられている入力メソッド SCIM も the m17n library 中の部品を使用しています。

情報技術研究部門
錦見 美貴子

図2

図2 Cairo ベクタグラフィックスライブラリで多言語を表示


*1 http://www.m17n.org/m17n-lib


成長を続ける「DeleGate」インターネットのなんでも中継器

 DeleGate*2は、電子メールやウェブに代表される、インターネット上の各種サービスの通信を中継し、サービスの運用や利用をさまざまな形で支援する基盤ソフトウェア(プロキシサーバ)です。

 DeleGateの用途は、セキュリティ向上とプライバシー保護(認証、アクセス制御、暗号化)、通信データ量の低減(圧縮、キャッシュ)、サーバの統合(バーチャルホスト、リバースプロキシ)、経路制御やトンネリング(応用層ルーティング)、迷惑メール防止、通信データや通信手順の変換、など広範にわたります。中継するデータに対して変換や翻訳を行うフィルタを付加しやすい事が特徴のひとつです。

 DeleGateは主に組織(サイト)の内外を接続するファイアウォール上で使われますが、個々のユーザーのパソコン上でも使われています。Unix や Windows などのほとんどのOS の上で利用できます。また、ほとんどの基盤的通信手順(HTTP, FTP, SMTP, POP, IMAP, Telnet, Socks, SSL, DNSなど)をカバーしています。

 DeleGateは、わが国で一般向けにインターネットが普及し始めた1994年に、世界的にも最も初期に誕生したプロキシサーバのひとつとして使われ始めました。その後12年間、時々の状況や利用者の要請に応えつつ、地道に、留まることなく成長を続けてきました。誕生当初よりそのソースプログラムを公開して無償頒布を行っていますが、その配布先は150ヶ国以上、34,000ドメインにのぼります。一方、2004年より商用利用にも対応し、国内外での各種の製品組み込みや商用サービスにライセンスを供与しています。

情報技術研究部門
佐藤 豊

図3(上)
図3(下)

図3 DeleGate配布先(サイト数)の拡大の様子(上)とDeleGateプログラム規模(行数)の成長の様子(下)


*2 http://www.delegate.org/


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