吉川理事長、中国科学院を訪問しイノベーション関連共同シンポジウムを開催
2004年5月、産総研・中国科学院(CAS)の包括研究協力協定を締結し(路甬祥院長来日)、これを踏まえた具体的アクションとして、2005年11月、日中双方に相互補完的連携のメリットがある環境・エネルギー分野に焦点をあてて、AIST・NEDO−CASの主催で、北京で全体会合、バイオマスなど再生可能エネルギーをテーマとしたワークショップを広州で開催しました。これに引き続き今回、2006年3月開催の全人代直後、全人代において正式承認された中国の第11次5カ年計画が2006年からスタートするタイミングにあわせ、吉川理事長が中国科学院を訪問し路院長と意見交換を行い、2006年3月24日には、中国科学院とのイノベーション(中国語で「創新」)に関するシンポジウムを開催しました。
シンポジウムでは、吉川理事長と路院長の講演が行われ、中国科学院をはじめ中国社会科学院、清華大学、北京大学等の研究者および管理者、日本大使館やNEDO、JETRO等現地日本関係者、合わせて300人あまりが来場し、会場はほぼ満席で、講演後、中国の若い研究者から国際連携のあり方などについて質問もあり、活発な意見交換が行われました(それぞれの講演概要は表のとおりです)。
吉川理事長は、同日、清華大学を訪問、産総研運営諮問会議委員である顧秉林学長に本年2月の来日、運営諮問会議出席の御礼を述べるとともに、イノベーション・マネジメント関連、今後の産総研との連携強化等について意見交換を行いました。顧学長からは、清華大学の歴史、胡錦涛主席ら国家の中枢を担う人材が多く輩出していること、医学部を新設するなど中国のトップレベルの研究を展開し、米国を含め多くの海外の大学・研究機関とのネットワークを重視、企業(欧米や日本、香港や台湾も)との連携を強化していること、等の詳しい説明があり、産総研との連携への期待が述べられました。
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シンポジウムで講演する吉川理事長
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中国科学院・路甬祥院長(左)と吉川理事長
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【中国科学院・産総研“イノベーション”共同シンポジウム】
日時:2006年3月24日
会場:中国科学院文献情報中心(北京・中関村)
- 吉川理事長の講演内容
「産業技術総合研究所におけるイノベーションへの取り組み」
日本のイノベーション、産総研のイノベーションハブ推進、第3期科学技術基本計画を踏まえた産総研の第2期研究戦略、産総研が進める本格研究の理念と事例、本格研究の社会への展開、等について講演。
- 路院長の講演内容
「未来に向かう中国科学院」
中国科学院の歴史的役割、研究分野構成の改革と優先領域、人材育成システム、イノベーションに取り組む組織体制改革、国際連携、等について講演。
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"サイエンス・スクエア つくば"で「福祉特別展」を開催
この4月に展示内容をリニューアルした「サイエンス・スクエア つくば」では、2006年の科学技術週間(4/18〜4/23)に合わせて、産総研が行っている「福祉」関連の研究をテーマにした特別展を開催しました。
“社会のために”研究開発を進めている産総研の研究成果の一端をご覧いただけたものと思います。
期間中、多くの方々にご来場いただきました。今後も体験コーナーやいろいろな企画をご用意する予定です。「サイエンス・スクエアつくば」にご期待ください。
「世界をつなぐグリッドの実現に向けて」
グリッド研究センター 基盤ソフトチーム 田中 良夫さん
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Ninf-Gとは、 「計算の処理の一部をネットワーク経由で遠隔実行(Remote Procedure Call)させる」というアイデアに基づくプログラミングミドルウェアです。
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グリッドとは?
グリッドは「インターネットに代表されるネットワーク上の情報資源(サービス)を安全に、安定して、簡単に、利用する基盤技術」です。最近では、科学技術分野だけでなく産業界などでも積極的に利用されるようになってきています。高速ネットワークで接続されたスーパーコンピュータを1台の仮想的な超スーパーコンピュータに見立てて利用するメタコンピューティング、計算機やデータサーバの共有によるコスト削減や必要に応じて複数のサービスを組み合わせた上位サービスの提供など、グリッドの用途は多岐に渡ります。
簡単に使える安全・安心なグリッドの実現に向けて
田中さんたちは、地理的に分散された複数の計算機上で動作するアプリケーションを、簡単に開発し、実行するためのプログラミングミドルウェア「Ninf-Gシステム」の研究開発を行っています。Ninf-Gを用いて分子シミュレーションを実装し、日米の合計6台の大規模クラスタ計算機を用いた実証実験では、1台のPCでは約17年かかる計算を約20日間で行なうことに成功しました。グリッドが大規模科学技術計算の基盤として実利用可能なレベルにあることを示したものです。また、計算機やデータベースなどを共有するグリッドにおいては、セキュリティの確保は重要な項目です。田中さんはアジア太平洋セキュリティポリシー策定委員会の議長として、アジア太平洋地域のセキュリティポリシーを策定し、欧米のポリシー策定委員会と連携して全世界的な信頼関係を構築する活動を行なっています。
田中さんからひとこと
私は「国際貢献」をキーワードに、成果が実際に世界中の人たちの役に立つことを目指して研究を進めています。私たちが開発しているNinf-Gは2005年10月に米国科学財団(National Science Foundation, NSF)が提供する標準グリッドソフトウェアパッケージNSF Middleware Initiative (NMI) Release 8に導入され、公開されました。NMIに米国以外の機関が開発したソフトウェアが導入されるのは世界で初めてであり、これはNinf-Gのソフトウェアとしての成熟度および有用性が評価されたことを示すとともに、今後グリッドにおけるアプリケーションを開発する際の標準的なソフトウェアとしてNinf-Gが世界で広く利用されるものと自負しています。また、アジア太平洋セキュリティポリシー策定委員会議長として、欧米と連携しながらグリッドを安全・安心な全世界的情報処理基盤として実用化するために尽力していきたいと思っています。