独立行政法人産業技術総合研究所
現在位置広報活動 > 出版物 > 産総研 TODAY Vol.6(2006) 一覧 > VOL.6 No.2 > NMIJによる標準供給の現状(1)

NMIJによる標準供給の現状(1)

 [PDF:382.4KB

計量標準の校正・試験サービスの紹介


計量標準総合センター(NMIJ)と計量標準整備

 計量標準総合センター(NMIJ : National Metrology Institute of Japan)は、産総研の計測標準研究部門と計量標準管理センターにより構成されており、一体となって、国内的にも国際的にも国家計量標準を担う組織として活動している。

 現在NMIJでは、欧米並みの国家計量標準を整備することを最重要課題として取り組んでいる。2000年12月に、経済産業省(当時の通商産業省)に設けられた知的基盤整備特別委員会の中間報告で、図1のように、2010年までに物理標準250種類と化学標準250種類の整備を行うことが定められ、その目標に沿って整備を進めてきた。

 標準整備は順調に進んでおり、ちょうどその折返し点である2005年末現在、約200種類の物理標準、約190種類の化学標準の整備が終わり、標準供給を実施している。これまで、「産総研TODAY」では、個別の標準についての記事は掲載されていたが標準供給の全体像の記事はなかったので、この機に、NMIJで行っている計量標準の供給の概要を説明したい。本号では、主に物理系の校正・試験サービスについて、次号では化学系の標準物質や物理標準の成果普及品について紹介する。

図1

図1 標準整備計画の年次展開

校正・試験サービスの供給スキーム

 校正・試験サービスを目的別に整理したものが表1である。NMIJによる物理系の校正・試験サービスには、(1)計量法校正事業者登録制度(JCSS:Japan Calibration Service System)を通じた供給、(2)依頼試験(一般)による供給、(3)政府関係機関や他国の標準機関などを対象にしたサービス、(4)法定計量がある。

表1 計量標準校正・試験サービスの目的別種類
校正・試験サービスの種類 対象者
(1)JCSS 制度のための校正サービス
   特定標準器による校正(jcss 校正)
   特定副標準器の校正(依頼試験(特殊))

   技能試験のための参照値(依頼試験(特殊))

JCSS登録校正事業者
日本電気計器検定所(JEMIC)
日本品質保証機構(JQA)
(独)製品評価技術基盤機構(NITE)
(2)一般ユーザのための校正・試験サービス
   依頼試験(一般)

一般ユーザ
(3)目的・対象機関を限定した校正サービス
   依頼試験(特殊)

政府関係機関、海外国家計量標準機関など
(4)法定計量関連の試験サービス
   基準器検査、型式承認試験、検定・比較試験

都道府県、計量法に規定された製造事業者など

(1)JCSSを通じた標準供給

 JCSSとは、工場や試験所等の計測器ユーザが、各種計測器についてその信頼性を確保するため、国家標準にトレーサブルな校正を受けられるようにするために、計量法のもとで運用されている任意の制度である。国家標準である「特定標準器」を維持しているNMIJ等の機関が登録校正事業者の計量標準の校正サービスを提供し、登録校正事業者が一般ユーザに対して校正サービスを行うこと、さらには、製品評価技術基盤機構(NITE)が登録校正事業者の校正能力を確認することにより、JCSS校正された計測器のトレーサビリティの確保を確実にしている。一般に、登録校正事業者が行う校正はJCSS校正、NMIJ等の機関が行う校正はjcss校正と呼ばれ、校正証明書に記載されるロゴも、それぞれ、大文字、小文字となっている。

 JCSS制度のためにNMIJが行う校正・試験サービスには、1)特定二次標準器(登録校正事業者の標準器)の校正(特定標準器による校正)、2) 日本電気計器検定所や日本品質保証機構が所有する、登録校正事業者の特定二次標準器の校正に用いる特定副標準器の校正、3)NITEが登録校正事業者の能力を確認する際に行う技能試験に用いる計測器の参照値の供給 がある。

(2)依頼試験(一般)

 JCSSのもとでサービスが行われていない場合に、一般ユーザ向けの依頼試験としてNMIJが直接校正サービスを実施しているものがある。現在、34種類の量に関する110項目(校正器物)の計測器について校正・試験サービスが行われている。ほとんどが、機械量、電気量などの物理標準に関わるものであるが、化学分野では有機分析(純度測定)の一部が依頼試験に登録されている。また、法定計量の対象計量器の構成要素及び検査装置の試験の一部も、依頼試験として行われる。

(3)依頼試験(特殊)

 依頼試験の中で、海外の標準機関や日本国政府機関などに限定したサービスを、依頼試験(特殊)として実施している。民間との競合を避けるため、一般ユーザがJCSSの登録校正事業者による校正サービスを受けることができる校正品目に関しては、依頼試験(一般)のサービスを行っていない。そのため、対象となる機関と校正の目的を限定して校正ができるような仕組みをとっている。(1)で述べた2)、3)の校正もこれに含まれる。

(4)法定計量

 特定計量器と呼ばれる、はかりやガスメーターなど商取引に用いられる計量器や体温計、騒音計といったものは計量法の法規制の対象となっており、 JCSSと並び、国内の計量標準の供給体系の大きな柱となっている。NMIJでは、これらの計量器のための基準器検査、型式承認試験、検定・比較試験を行っている。

 以上、物理系の校正・試験サービスの概要について紹介したが、詳しくはNMIJホームページ http://www.nmij.jp/ をご覧いただきたい。

 また、JCSSの制度や登録事業者の情報などについては、NITEのホームページ http://www.nite.go.jp/ の“適合性評価分野”に詳しく掲載されている。


計量標準管理センター標準供給保証室長(つくばセンター)
小池 昌義
小池連絡先
    旧工業技術院計量研究所に入所後、計測数理研究室で「計測におけるマン・マシンシステムの研究」「成形における品質設計システムの研究」などを通して計測における誤差評価、不確かさ評価の研究を進めてきた。2001年より現職。
小池昌義の写真

戻る産総研 TODAY Vol.6 No.2に戻る