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愛・地球博に展示会統合情報支援システムを提供  [PDF:916.7KB
CONSORTS アーキテクチャの実用化

従来から研究開発を進めてきた CONSORTS アーキテクチャを実用化し、「愛・地球博」(EXPO 2005 AICHI JAPAN)のテーマ館「グローバル・ハウス」で、展示会向けの統合情報支援システムとして提供している。このシステムでは、来場者への自動音声ガイドと、人流データの解析による会場の運営支援を同時に実現した。
車谷浩一の写真車谷 浩一
Koichi Kurumatani
情報技術研究部門
マルチエージェントグループ 研究グループ長
車谷連絡先
CONSORTS チームメンバーと共に、ユビキタスサービス連携ならびに群ユーザ支援の概念を提唱し、それらを実現する CONSORTS アーキテクチャの研究に従事している。ユビキタスコンピューティング、マルチエージェント、社会シミュレーション、複雑系ネットワークなどに興味を持つ。
Based on CONSORTS architecture, we have realized an integrated information service system for the Global House which is a theme pavilion of EXPO 2005 AICHI. The system provides several kinds of information services including 1) audio content delivery about exhibits, and 2) exhibition management service by human flow analysis such as popularity analysis about exhibits and re-planning of exhibit locations, with composing several information service processes by ubiquitous service coordination. Visitors to the Global House can download audio content by a card-type terminal called Aimulet GH. A wireless IC tag is also embedded in the Aimulet GH that transmit the information about the visitor to infrastructure devices. The CONSORTS receives the data and invokes interpolation, data mining, and human flow simulation process in order to execute human flow analysis for marketing tasks.

 多種多様な情報サービスを分散して提供するユビキタス情報環境において、センシング・通信・コンピュテーションを統合し、ユーザである人・社会の必要性に応じて、適切なサービスを発見・選択・合成して提供するための基本システムとして、我々は協奏計算アーキテクチャ CONSORTS(コンソーツ) の設計・実装に取り組んでいる1-2)。CONSORTSでは、サービスオントロジーを用いてプロセス(情報サービスの部品)を表現し、プロセスの直列結合と並列実行によってサービスを連携させ、ユーザの属性・選好・行動履歴などの状況に応じたサービスの連携を実現する。

 例えば、展示会場でのコンテンツ配信・ナビゲーション(図1)を実現する場合、(1)位置・方向・流れに関するセンシング、(2)空間的位置関係の導出、(3)ナビゲーション計画の策定、(4)コンテンツ配信などのサービスを連携させ、「来場者の近くにあって興味を持ちそうな展示物へ案内し、展示物を説明するコンテンツをユーザに自動的に配信する」というサービスの連携が実現できる。

図1
図1 コンテンツ配信・ナビゲーションサービス

 このようなユビキタスサービスの連携を実現する CONSORTS を用いて、2005年3月25日に開幕した愛・地球博グローバル・ハウス(図2)において、展示会統合情報支援システムを提供している。このシステムでは、(1) 来館者への自動音声ガイドサービス、(2)来館者の入出場管理・来館者の流動解析を行う展示会場の運営支援を同時に実現している(図3)。

図2
図2 愛・地球博グローバル・ハウス 3)

図3
図3  CONSORTS アーキテクチャによる展示会統合情報支援システム

 来館者は、カード型情報端末 Aimulet(アイミュレット) GH(図4)を用いてサービスを受ける。Aimulet GHは音声ダウンロード機能、すなわち赤外線で送られてくる音声信号をそのまま太陽電池で電気信号に変換してスピーカーを鳴らす機能を持っている。バッテリーなどの電源が不要で、小型軽量(カード状、厚さ5mm、重さ28g)という特徴がある。

 また、 Aimulet GH は、アクティブ型無線ICタグを内蔵しており、来館者の情報を電波で送信することができる。CONSORTS アーキテクチャのセンシングサービスが、Aimulet GHに内蔵された無線ICタグからの情報をもとに、来館者の動きを検出・分析する流動解析を行い、(1) どの展示品に人気があるか、(2) 会場をどのようにレイアウトすれば混雑が緩和されるか、などの解析が可能となる。CONSORTS アーキテクチャのサービスとして実現された、(1)センシングデータの補間と推定、(2)言語コンテンツの自動切り替え、(3)来館者の行動を予測するマルチエージェント人流シミュレータ、(4)来館者の行動パターンを推定するデータマイニングなどのサービスが必要に応じて呼び出され、来館者と展示会運営者の双方を同時に、シングルプラットフォーム上で支援するシステムを実現している。

図4
図4 カード型端末 Aimulet GH

 このような来館者の流動解析は、より良いサービスの提供、サービスの改善、混雑・混乱の未然の回避、緊急時の誘導や救援などに役立つ公共的な基盤技術として重要性が高まっているが、その一方でプライバシーへの配慮の視点が不可欠である。今回のシステムでは、来館者は氏名・住所などの個人情報を登録する必要がなく、来館者のプライバシーは確保される。

 このシステムの特徴として、

○ 高い拡張性と柔軟性をもち、さまざまな  規模・目的の空間に合わせた利用が可能

○ 大規模な公共空間で、個人のプライバシーを守りつつ、混雑回避・ナビゲーション・適切なサービスの提供が可能

○ データマイニングとシミュレーションを利用することで、より良いサービス提供のための流動解析・マーケティング支援が可能

○ 展示会における運営の効率化・必要人員の削減が可能

○ 災害などの緊急時に、緊急度・重要度を判定しながらの救援活動や、混雑緩和・安全な避難経路の誘導の支援などが可能

 があげられ、今後、公共施設・商業施設・工場生産ラインなどへの応用が考えられる。


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