KNOPPIXは1枚のCDのみで起動するLinuxディストリビューションである。ハードディスクを必要としないため、Windowsプレインストールパソコンでも手軽にLinuxアプリケーションを体験できる。KNOPPIXはパソコンに接続してあるデバイスの自動認識に優れており、ネットワーク、ビデオデバイスなどの設定が起動時に自動的に行われる。このような利便性を有するLinuxディストリビューションを次世代インターネットプロコルのIPv6に対応し、手軽にIPv6が使えるKNOPPIX/IPv6を開発した。
次世代インターネットプロトコルIPv6は、現在のインターネットプロトコルIPv4がもつアドレス枯渇やセキュリティなどの問題解決が行なえると期待されている。研究開発は日本が世界をリードしながら進んでおり、現在では普及促進段階に移行している。しかし、IPv6が利用可能になるためには、OSのIPv6対応、アプリケーションのIPv6対応、ネットワークのIPv6対応がそれぞれ必要であり、どれか一つが欠けてもIPv6が利用できなくなるため、普及に向けた課題となっていた。
KNOPPIX/IPv6は上記課題の解決策の一つとして開発した。CD-ROMで起動するだけでインストールや設定なしにIPv6が設定され、手軽にIPv6環境を利用可能とした。具体的には、OSのIPv6対応として”USAGI”IPv6スタックを組み込んだ。アプリケーションのIPv6対応としては、Webブラウザ(Mozilla, Konqueror)、メールソフト(Sylpheed, Kmail)など、デスクトップ用として一般的に利用するようなポピュラーなものを収録した。ネットワークのIPv6対応に関しては、現在利用されているIPv4環境であってもIPv6環境に対してトンネル接続を行える6to4機能を組み込んだ。これにより、ユーザはネットワーク環境がIPv4であるかIPv6であるかを意識することなく利用可能である。さらにKNOPPIX/IPv6は中継機の機能(ルータ)を併せ持つため、既存のパソコンにネットワークカードを複数接続すればIPv6ネットワーク実験環境を構築できる。
これらの機能は国際認証機関であるIPv6 Ready Logo Committeeにより動作確認が行われ、Linux ディストリビューションとして世界で初めて国際的接続認証IPv6 Ready Logoを取得した(2004年8月29日付け)。今後はKONPPIX/IPv6を使い、IPv6の普及促進活動を進めていく。

須崎有康
