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AIST リサーチホットライン

タイトル画像 三宅島火山におけるSO2放出量観測 [ PDF:642.8KB ]
世界最大のガス放出をモニタリング 風早康平の写真風早 康平(かざはや こうへい)
風早連絡先
深部地質環境研究センター

 火山ガスの主成分にSO2(亜硫酸ガス)がある。SO2は生物に有毒であると同時に酸性雨のもとにもなるガスである。2000年に始まった三宅島火山の噴火・ガス放出活動は、直径1600m、深さ450mのカルデラ形成、そして、一連の小規模噴火から間欠的な火山ガス放出へと推移してきた。8月中旬になって、陥没により生じた山頂火口内からSO2を含む噴煙が絶え間なく放出され始めた。そこで、相関スペクトロメータCOSPEC-V型(Resonance社製)を用いたSO2放出量の繰り返し観測を開始した。本装置はSO2が310nm付近の光を吸収することを利用して、散乱紫外線を光源として噴煙中のSO2濃度を観測する装置である。この観測は自衛隊、海上保安庁および東京都の協力により、毎週ヘリコプターを用いて行っている。SO2放出量観測は、気象庁が火山監視業務の一環として行っており、産総研は、装置の提供、改造調整、観測手法の改良、データ解析手法、観測結果の解釈などを担当している。SO2の地表における濃度は、2000-2001年では20ppmに達し、環境基準の数百倍の濃度となっていた。最近においても5ppmを越えることがたびたびあるため、2004年3月現在も、三宅島の島民の方々は帰島することができないでいる。我々の提供するデータが三宅島火山活動監視の上でも非常に重要な位置づけとなっている。
 三宅島火山からの噴煙中のSO2濃度は、今までに観測されたことのないほど高濃度であることがわかった。2000年10月には、SO2放出量は日量5万トン規模に達していることが明らかになった。その後、放出量は減少傾向になり変動を伴いながらも、大量のSO2を放出し続けている。1998年時点における全世界の活火山から放出されるSO2の総量(三宅島を除く)は日量26000トンである。三宅島は活動初期に全世界の火山の総和の2倍の量に達するSO2ガスを放出していたことになる。2000年9月から現在(2004年3月)までの総SO2放出量は1900万トンに達し、約2.5km3(80億トン)のマグマが脱ガスしたのに相当する。
 観測結果の解釈は、独自に確立した噴火・脱ガスの理論に基づいて行われており、随時、火山噴火予知連絡会等を通じて防災機関などに提供している。産総研における火山ガス研究は、火山地質研究とならび研究機関として唯一機関対応しているものであり、今後も新型の装置開発および最新の予測理論の提供などにより防災行政のニーズに則した本格研究を展開していきたい。



写真1 写真2
写真1 ヘリコプターを用いて観測

写真2 相関スペクトロメータ(COSPEC)による火山ガス観測

図
図 三宅島SO2放出量の観測結果


関連情報

  • 共同研究者: 篠原宏志(地球科学情報部門).
  • 産総研シリーズ「火山」-噴火に挑む-(丸善).
  • K.Kazahaya, H.Shinohara, K.Uto, M.Odai, Y.Nakahori, H.Mori, H.Iino, M.Miyashita, J.Hirabayashi:Geology (2004) (in press).

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