地球の温暖化問題を解決するためには、平成6年に公布された「気候変動に関する国際連合枠組み条約」第二条に明記されているように、大気中に含まれる温暖化ガスを安全な濃度で安定化させることが特に重要である。この目的の達成のためには温暖化の原因とされる化合物が大気中に放出されたときに、その化合物が大気中から除去されるまでを考慮する必要がある。しかし、現在フロン等の代替物の温暖化評価は100年間を基準にしているため、100年以上大気に存在する大気寿命の長い化合物に関する十分な評価がなされていない。大気寿命の長い化合物には温暖化の主要な原因である二酸化炭素が含まれるために、100年間のみの評価では代替物の選択に大きな誤差が生じる。この様な状況から現在の温暖化評価に持続可能性を導入した新評価手法が必要と考えた。
新規な評価指標開発に取り組み、温暖化ガスの大気濃度を安定化させる概念としてS-GWPを考えた。この概念は 大気中への放出量と大気中での分解量を釣り合わすことで大気濃度を一定に保つ考え方であり、長期間の評価を必要とする。この概念に基づき、二酸化炭素を評価期間にかかわらず常に“1”とする現行の温暖化係数(GWP : Global Warming Potential)の代わりに、二酸化炭素の100年間の温暖化効果を常に“1”と基準にして100年間以降外も評価する新しい指標である積算温暖化効果(IWE : Integrated Warming Effects)を算出し提案した。表にIWE値の一部を示す。IWEにより、これまでできなかった異なる積算期間での温暖化効果比較、異なる特定期間の温暖化効果比較、無限大の評価期間の評価が可能となった。IWEは100年間以降の温暖化も化合物が無くなるまで評価できるのである。この評価手法は持続可能社会の構築に最適な評価法といえる。
IWEを用い大気中に放出した温暖化物の効果と使用機器のエネルギー使用量を合わせて評価する手法を積算総量温暖化効果(ITWE:Integrated Total Warming Effects)と名づけて評価を行った。その結果を図に示す。図は持続可能社会の構築には、代替化合物の温暖化係数よりも性能や効率が重要であることを示唆し、従来のGWP(100年値)を用いた評価順位と逆転する場合が非常に多いことが明らかとなった。つまり、エネルギー効率、二酸化炭素の100年以降の温暖化等を考慮することで、GWPの大きい含フッ素化合物が炭化水素などのGWPの小さい化合物よりも地球環境に優れるケースが多いことが明らかになった。間接的な温暖化効果を適切に評価することで、後世により良い地球環境を残せるように、この評価手法が役立つことを望む。
![]() ※GWP(100年)は、IWE100年にほぼ等しい。 |
|
![]() |
表 代表的なIWE計算例
20年から無限大の期間でIWEを計算した。無限大値は二酸化炭素を60と仮定して計算した。 |
|
図 カーエアコンでのITWE評価(北米)
左の各冷媒を用いた場合を100年から1,000年まで計算。100年と1,000年では各冷媒の温暖化効果の順位が異なる。「Ref.75966 A.D.Little社, Cambridge. MA, P.E-9, 2002」より計算を行った。 |
|
|
|
関連情報
|
|
|
|
|
|






























