当研究部門太陽光発電システムグループは、モンゴル国立大学との2年間の研究協力に合意し、モンゴル・ゴビ砂漠の東端に位置するドルノゴビ県サインシャンド市において太陽電池モジュールの運転計測を開始した。ゴビ砂漠は、国際エネルギー機関(IEA)太陽光発電システム研究協力協定(PVPS)におけるタスクVIII「大規模太陽光発電システムに関する調査研究」において、100MW級大規模太陽光発電システムの有望な候補地として挙げられ、その概念設計や発電コストの試算が行われている。
今回、サインシャンド市の気象官署内に太陽光発電運転評価システム(写真)を設置した。約3ヶ月間(2002年10〜12月)の実測値から日射量は45゜の傾斜面において1日平均5.0kWh/m2で、東京や札幌の同時期平均の2倍近くあった。太陽電池の等価稼働時間(DC発電量を電池容量で除した数値)は、単結晶シリコンモジュールで4.7時間、多結晶シリコンモジュールで4.6時間であり、東京の平均的な3kWシステムの約2倍である。太陽電池の温度上昇や汚れに起因するDCキャプチャ損失率は6%であり、国内の事例に対して極めて小さい。このシステム効率の良さは、気温の低さ(平均-5.7℃)と風の強さ(平均3.1m/s)の影響と考えられる。適切なパワーコンディショナの選定により、モンゴルでの系統連系形太陽光発電システムは相当に高いシステム効率と大きな発電量が得られるものと期待できる。来年度も観測を続けることで一年を通してのシステム評価が可能となり、更に長期的に観測を継続することで、ゴビ砂漠の厳しい気象環境が与える太陽光発電システムの経年劣化等を評価することが可能となるであろう。
また、この調査研究では、当グループが開発した太陽光発電システムシミュレーションと日射量リモートセンシング手法(図)を融合し、モンゴル国において幅広く利用可能なシステム設計手法を開発し、検証することも目指している。モンゴル国立大学側では、モンゴル気象庁による過去30年間の日射量観測値を我々の計測データによって校正し、長期的な日射量統計値を整備することを計画している。これらにより、サインシャンド周辺のみならず、モンゴル国全土(および北東アジア域)において太陽光発電システムの設置効果を正確かつ迅速に見積もることが可能となり、長期的なエネルギー戦略に大規模太陽光発電システムを反映することが期待できる。
![]() |
写真 サインシャンドの気象官署内に設置した太陽光発電システムの運転評価システム
左から、水平面全天日射計、傾斜面日射計、単結晶シリコン太陽電池評価装置、多結晶シリコン太陽電池評価装置、気象観測装置、太陽光発電式独立電源。 2種類の太陽電池モジュールについて最適動作時の電圧・電流、太陽電池モジュールの裏面温度を10分毎に計測し、日射量、気温、湿度、風向風速、地面アルベド(反射率)の気象も計測している。 |
![]() |
図 気象衛星ひまわり(GMS-5)の雲画像によるリモートセンシングで、広大なモンゴル国土の日射量分布地図が作成可能である。左のサンプルは1998年5月における全天日射量の日平均を示した地図。
|
|
●この研究は、エネルギー需給構造高度化受託研究費「石油代替エネルギー国際共同研究開発」により実施した。
●この実施に当たり、モンゴル社会基盤省、サインシャンド気象観測所、NGOゴビ開発基金、東京農工大学、IEA PVPSタスクVIII国内作業部会、他、国内外から多数の支援を頂いた。 |
|
|
|
関連情報
|
|
|
|
|
|

































