有機半導体技術は、シリコン、化合物半導体に続く第三の半導体技術として、近年大きな注目が寄せられている。特に、フレキシビリティーを有する有機トランジスタは、電子ペーパーやプリント可能な情報タグなどのローエンドモバイル情報端末の創製を可能にすることから、近年その研究開発競争が国際的に激化してきているところである。
一般に、電界効果トランジスタ(FET)の特性は、ソースとドレインの間隔(チャネル長)に大きく依存するため、短いチャネル長を得て高性能化するためにフォトリソグラフィーなどの微細加工技術を適応することが検討されている。しかし、有機材料を用いる場合、フォトリソグラフィーは素材そのものを劣化させるという問題があり、適応は困難とされてきた。今回、本研究部門ではフォトリソグラフィーを用いることなく、高性能有機トランジスタを実現する方法を開発した。この方法は、電極および半導体層の素子内配置を大幅に変え、平面構造を立体化した「トップ&ボトムコンタクト型素子構造」という新しいトランジスタ素子構造を実現したものである(図)。この素子は、ソース、有機半導体、ドレインを順次積層していくことで構成されるため、チャネル長の制御は、両電極間に挟まれる半導体層の厚さの制御で可能となる。可溶性の高分子系半導体材料であるポリチオフェンを塗布法で製膜して、この構造を取る素子を作製したところ、0.5µmのチャネル長を有し、ソース−ドレイン間電圧が0.5Vという低い電圧の時でも、サブスレショルド電流の傾きが0.6V/桁を示す有機FETが得られた。この値は、著しく高い移動度を示す有機半導体材料として知られているペンタセンの単結晶を用いて作製した、有機FETで得られる値に匹敵するものである。
今回開発した有機FET素子は、微細加工技術を適応することなく、常温常圧下で単純積層工程だけで製造可能であるため、印刷プロセスなどが適応でき、集積回路の製造プロセスの大幅な簡素化、デバイスの省生産エネルギー化などをもたらす技術になると期待されている。







































