近年のULSIの集積度の向上から考えて、2010年頃にはゲート絶縁膜はシリコン酸化膜厚換算で0.7nm程度の厚さのものが必要になると考えられている。このような状況では、現在用いられているシリコン酸化膜では、電子のトンネル効果により絶縁膜を通り抜けて電流が流れてしまい、絶縁膜としての効果は期待できなくなる。その対策として考えられているのが、シリコン酸化膜よりも誘電率の大きい金属酸化膜をゲート絶縁膜として使用することである。しかし、そのままでは金属酸化膜とシリコンとの界面反応が生じ絶縁膜全体の誘電率が低下するという問題があった。
窒化シリコン薄膜はこの問題を解決する材料として期待されている。すなわち、金属酸化膜とシリコンとの間にごく薄い窒化シリコン膜を挿入し、界面反応を抑制するのである。この場合、できるだけ薄く、均一な膜を界面に挿入するのがポイントであるが、従来の製膜技術では不均一なアモルファスの窒化シリコン膜しか得られなかった。そのため、膜を薄くするほどその不均一性が顕著となり、界面反応を抑制する効果が得られなくなる恐れがあった。
窒化シリコン膜がアモルファス構造となる原因は、シリコンと窒素の結合距離が短いため、表面で窒素吸着による均一な周期的構造を形成した場合、下地のシリコンの結晶格子が著しく歪んでしまうためである。
今回我々は、新たにN2/H2ガスを用いた直接熱窒化プロセスを開発し、Si(001)表面上に2×2周期構造を持った単分子層窒化シリコン膜を形成することに初めて成功した。これは、歪みが少なくなるように窒素を表面に均一に吸着させ、それに伴い発生したシリコンの未結合手を水素の吸着で安定化することで、周期構造の形成と表面歪みの低減、および表面の安定化を同時に達成するものである。
この手法により界面反応を抑制する単分子膜を形成できた。この手法は原子レベルでの半導体製造技術の一つとして極めて有効と思われる。


































