多孔質セラミックスは自動車用排ガスフィルターや排水フィルターなど、地球環境保全に密接した数多くの分野で実用化されている。近年では石炭ガス発電システム等の、より高温で過酷な環境下でのフィルター材料としての適用が進められている。
これまでに我々は、合成と焼成とを同時に行う「その場合成プロセス」を用いることにより、非常にシャープな気孔径分布とユニークな三次元網目構造をもつ新しい多孔質セラミックスを開発してきた1)、2)、3)。この材料はジルコン酸カルシウム(CaZrO3)とマグネシア(MgO)の微粒子が互いに強く結合した多孔体で、1300℃まで強度が低下しないだけでなく、メタンガスに対する電気抵抗変化をも示すという特徴をもつ。このため、高温での脱塵(有害微粒子の分離・除去)とガスの検知が可能な多機能フィルター材料としての応用が期待されている4)。
さらに、酸化白金(PtO2)の大気中熱分解をその場合成プロセスに組み合わせることにより、ナノサイズの微細な白金粒子が担持された新しい多孔質セラミックスの開発に成功した(写真1)。従来法で白金をコーティングするのに比べて装置が簡便であり、環境を汚染する物質がプロセス中に生じないというメリットがある。この材料はNOxを最大約50%分解できることが確認されており、高温脱塵と有害ガスの分解を同時に行うことが期待できる5)、6)。
現在、これらの多孔質セラミックスのさらなる高性能化・高機能化に取り組んでいる。写真2はその一例である。美しい自形をもって成長したスピネル(MgAl2O4)粒子とジルコン酸カルシウム微粒子が結合している特異な構造を持っており、気孔率30%で曲げ強度110MPaと従来の高純度アルミナ多孔体(60〜70MPa程度)をしのぐ高強度材料となっている。溶液中のコロイド粒子のろ過も可能で化学的安定性も改善されていることから、今後この多孔体をベースとした様々な応用が期待できる。

































